鍼灸の論文・研究
乳がん術後のリンパ浮腫のむくみを鍼灸で減らせるという研究
乳がん術後のリンパ浮腫が鍼灸で改善
乳がんという大きな病気と闘いながら、しかもリンパ浮腫という不安にも対応しなければいけないことは大変な負担かと思います。
鍼灸がそこでお役に立てる…という話を書きます。
リンパ浮腫とは
乳がん治療のひとつに手術があります。
リンパ節転移が有ると、腫瘍だけでなくわきの下のリンパ節手術(腋窩リンパ節郭清)を受けることとなります。
腋窩リンパ節郭清の一般的な副作用のひとつは、腕のリンパ浮腫(腕の浮腫)です。
腋窩(わきの下)のリンパ節を切除すると、手術後に体の老廃物を運ぶリンパの流れが悪くなり、手術した側の腕に溜まり腫れることがあります。… 全文を読む
妊婦さんで腰痛でお悩みの方へ
妊娠中の腰痛に対する鍼灸が73%に効いた報告
腰痛は多くの妊婦さんが経験すると言われています。
原因は「ホルモンの作用(骨盤が開きやすくなる)」「体形や姿勢の変化」「下半身の血行不良」などが考えられます。
ホルモンのはたらきによる骨盤のゆるみの影響で、妊娠4週~15週頃の早い時期から腰痛が起きることがあります。
また妊娠28週~32週頃には、体形の変化や下半身の血行不良が関係する腰痛も増加するようです。
このように妊娠期には腰痛がつきものですが、その悩みに鍼灸で対応できるのではないかという研究をご紹介します。
『妊娠中の腰痛に対する鍼治療』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29482798… 全文を読む
体外受精しない女性にも不妊鍼灸は価値あり
体外受精を受けない女性にも鍼灸は良い
妊活目的の患者さんが鍼灸を試そうと思った理由には、「知人が鍼灸を使って良かったから」というクチコミ的な理由の人もいれば、「何となく良さそう」という雰囲気的な理由から選択する人もいれば、「研究結果で有効性がある」という理由の人まで、多様です。
とくに「研究による証拠」に関しては、たしかにいくつか論文がでています。
(※妊娠に鍼灸が有効であったという論文が少なくないですが、中には無効であったという論文もあります。)
その多くの論文は「体外受精を受ける人に鍼灸が効くかどうか」で語られることが少なくありません。
たしかに、現代医学的な生殖医療の主役は「体外受精」ですし、結果を測定しやすいという意味でも、体外受精が使われるのは妥当でしょう。… 全文を読む
ガン患者の何に鍼灸は使われてるか?そして効果は?
緩和ケア現場での鍼灸の実践結果
ガン治療は病院が主役、つまり西洋医学が主役です。
その主軸となるのは、手術・抗がん剤・放射線の三大療法でしょう。
新薬の開発・副作用をやわらげる方法の多様化・検査機器の進化など複数の理由があいまって、ガン治療の成績も少しずつは改善されてきているようです。
そうは言ってもまだまだ多くの方が悩まれる病気ですし、先の三大療法は体への負担が大きい治療です。
現在、緩和ケアは病気が分かった段階から介入した方が効果があると言われています。
必要以上の痛みやストレスを緩和する方向性は、早期だろうが末期だろうが必要なことだと考えます。
建前通り治療部門と緩和ケア部門の連携が上手くいっているのかは分かりませんが、… 全文を読む
不眠症には耳ツボを併用した方が効くか?
不眠症の鍼治療に耳ツボを併用した方が効くか?
鍼治療には催眠作用があります。
今までの他の研究でも、不眠症に対してニセ鍼治療より効果的である結果が示されてきました。
特殊鍼法である耳介鍼もまた不眠症の治療に有効です。
耳の鍼治療は三叉神経、顔面、舌咽頭、迷走神経を含むいくつかの脳神経活動を増強し、交感神経の不均衡を改善することで効果につながると考えられています。
通常の鍼治療では不眠症に効果の出るツボとしては内関(PC6)や四神聡(EX-HN1)があります。
これらのツボへの刺激は、脊髄および三叉神経の感覚系を活性化することで不眠症に効果を出すと考えられます。
このように身体の鍼と耳鍼は違ったルートで効き目を出すのだから、通常の鍼治療と耳ツボ治療を併用したら、通常の鍼治療単独よりも効果を出すのではないかと推測した研究があるのでご紹介します。… 全文を読む
耳鳴りに鍼治療が有効との研究
耳鳴りに鍼治療が有効との研究
耳鳴りは「拍動性耳鳴り」と「非拍動性耳鳴り」に大別することができます。
拍動性耳鳴りとは心臓の鼓動のように一定のリズムで脈打つタイプの耳鳴りで、非拍動性耳鳴りとは一本調子な音色でリズムのない耳鳴りのことをいいます。
拍動性耳鳴りは、動脈硬化・高血圧・片頭痛・不整脈・薬の副作用などが原因で起こります。
非拍動性耳鳴りでもっとも多い原因は「難聴」です。
耳鳴りにかかわる難聴には、大きく2つの原因があります。
1つ目は加齢による難聴、2つ目はストレスによる難聴と言われています。
非脈動性耳鳴りはほとんど主観的なもので、程度も軽度から重度まで様々です。… 全文を読む
産後うつに効果のあるツボ
産後うつに効果のあるツボ
「産後うつ」は絶対的な定義があるわけではありません。
ただし通常、出産後から1年以内に発症するうつのことを言います。
一般のうつ病よりも、早く見つけて早く対応すれば治りも早いのが特徴です。
里帰りをしていれば親の援助もあり気づかなかったことも、自宅に帰れば支援がなくなり、1対1の育児が始まります。
まだまだ小さな赤ちゃんを前にして、自分のしている育児が正しいかどうか不安、待望の子どもなのに可愛いと思えない、眠れない…。
身体的に、精神的にも追い詰められていくのが産後うつです。
産後うつは、お母さんの10%(約10人に1人)が経験すると言われています。… 全文を読む
鍼灸のダイエット効果
肥満の鍼治療
そもそも私たちが生きていくためには「エネルギー」が必要です。
体の中では「脂肪」はたいへん優秀なエネルギー源です。
歴史的な背景から、人間のカラダは飢餓状態に備えて、脂肪をたくわえておく仕組みを備えるようになりました。
肥満とは、その体脂肪が過剰に蓄積された状態です。
ではどうして体脂肪が過剰に蓄積されてしまうのでしょう。
一般的に、毎日の食事からとったエネルギーが、その日一日の活動(呼吸をしたり、胃腸を動かしたり、仕事をしたり)するエネルギーとして使われます。
その摂取エネルギーと、消費エネルギーの収支が合っていれば、太ることもやせることもありません。… 全文を読む
うつ病への電気鍼治療
うつ病への鍼灸治療
うつ病は「脳のエネルギー」が欠乏した状態であり、それによって眠れない・食欲がない・一日中気分が落ち込んでいる・何をしても楽しめないといった心身の症状を引き起こす病気です。
精神的・身体的ストレスが重なるなどの理由から脳のエネルギー欠乏になり、結果として脳がうまく働かない状態になっていると考えることもできます。
そのため普段なら乗り越えられるストレスも、よりつらく感じられるという、悪循環が起きてきます。
治療はうつになった原因により様々ありますが、基本的には投薬治療です。
抗うつ薬などをメインにした薬の治療です。
一方、鍼灸もうつ病治療に役立てられないかということで、この薬の治療と鍼治療を比較した研究があるのでご紹介します。
じんましん(蕁麻疹)に鍼治療は効果的か
じんましん(蕁麻疹)に鍼治療は効果的か
最初に蕁麻疹症状が出始めてから1ヶ月以内を「急性蕁麻疹」、それ以上を「慢性蕁麻疹」と呼びます。
蕁麻疹の多くは痒みを伴います。
一過性であればまだしも繰り返し続く慢性蕁麻疹では、仕事や勉強など日常生活の問題となります。
蕁麻疹のことを思うとストレスがたまり、仕事に集中できない、眠りが悪くなる、など「生活の質」を大きく損ないます。
原因はアレルギー・ストレス・内臓からなど複雑多岐に及び、原因が分からないことも少なくありません。
治療としては、第1は、原因・悪化因子を取り除く、または避けることです。
第2は抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤などの薬の治療です。… 全文を読む
陽陵泉穴への鍼刺激はパーキンソン病に関する脳神経を活性化する
陽陵泉穴への鍼刺激はパーキンソン病に関する脳神経を活性化する
我々が活動すること(手足を動かす・食べたものを胃腸で消化するなど)は、すべて脳からの指令で行われています。
この脳からの指令は「神経伝達物質」という物質を介して体の各部分へ伝えられています。
パーキンソン病の患者さんは、脳の中で神経伝達物質のドパミンが不足することで、指令がうまく伝えられなくなっています。
このドパミンは脳(中脳)の「黒質」という部分の神経細胞で作られています。
パーキンソン病の患者さんの脳では、黒質細胞が減り、ドパミンの作られる量が少なくなっているのです。
なぜ黒質の神経細胞が減少するのかは、まだよくは分かっていません。
今回は、鍼灸で使うツボの「陽陵泉」穴を使い、パーキンソン病患者さんの脳神経がどう反応するかを調べた研究を紹介します。… 全文を読む
慢性頭痛の治療に鍼灸を加えるメリット
慢性頭痛の治療に鍼灸を加えるメリット
慢性頭痛への治療は、β遮断薬・抗うつ薬・抗けいれん薬などの予防薬の組み合わせや、頭痛発作が出た場合はトリプタンや非ステロイド性抗炎症薬などを使って継続的に治療することが必要な場合が少なくありません。
ただし、必ずしもすべての頭痛が薬でコントロールできるわけではありません。
診断が不完全であったり間違っていたりなどの理由で薬物療法が不十分であったり、その他の要因で投薬治療が失敗することもあります。
クスリ以外の治療手段を増やすのは有効と考えられます。
鍼治療は、頭痛を含む多くの「痛みの治療」において長い歴史を有しています。
その有効性は、主に頭痛(とくに片頭痛および緊張型頭痛)において研究されています。
鍼治療は、投薬の必要性を減らし・頭痛を減らすとコリをほぐし・脳内鎮痛物質を増やし・自律神経を整え・ストレスを緩和をもたらすと結論付けられています。… 全文を読む
更年期のホットフラッシュや動悸が鍼治療で36.7%改善
更年期のホットフラッシュや動悸が鍼治療で36.7%改善
女性は50歳前後で閉経を迎えます。
この閉経の前後10年間(一般的に45~55歳頃)を“更年期”と呼びます。
加齢とともに卵巣機能が低下し、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が急激に減少することでホルモンのバランスが崩れ、心身にさまざまな不調があらわれやすい時期でもあります。
ただ、更年期症状は女性ホルモンの減少だけでなく、生活習慣や心理要因(仕事や家族環境など)も複雑に関係しますので、現れる症状も多岐にわたります。
今回は、その中でも「血管運動神経症状」と呼ばれるものについてです。
具体的には「ホットフラッシュ、冷えのぼせ、動悸などの症状」です。
それらに鍼治療が役立てるという研究をご紹介します。… 全文を読む
緑内障患者の眼球血流に鍼治療が有効
緑内障患者の眼球血流に鍼治療が有効
緑内障の原因は複数の要因が考えられています。
もっとも重要な危険因子は「眼圧」です。
西洋医学の緑内障治療では、クスリなどにより眼圧を低下させ、この疾患の進行を止めるため努力がなされます。
しかし、眼圧以外にも緑内障を進行させる要因があるようです。
いくつかの研究では、クスリで十分にコントロールされた眼圧にもかかわらず視野低下が進む可能性のある原因として、「眼球血流の障害」が確認されています。
鍼治療が緑内障の補完代替療法となる可能性を持つ、という研究もいくつかあります。
実際、いくつかの研究では「鍼治療の有益な効果」が報告されています。… 全文を読む
末梢性めまいに鍼灸が有効との研究
メニエール病など末梢性めまいに鍼灸が有効との研究
「めまい(眩暈症)」には脳に原因がある「中枢性」とそれ以外の場所が原因の「末梢性」があります。
末梢性めまいの原因は内耳という場所が主です。
この内耳の病気の代表的なものとして「メニエール病」があります。
ぐるぐる回るめまい(回転性)、耳鳴り、難聴(低い音が聞きにくい)を起こす病気です。
ある特定の方向に頭を傾けたときにだけ起きるめまいは「良性発作性頭位眩暈症」と呼びます。
「めまい」はストレスや疲労、自律神経失調が原因になるといわれています。
例えばメニエール病への病院での治療としては、薬を飲む事も出来ない強い発作時はめまい止めの点滴を行います。… 全文を読む
アルツハイマー病への鍼灸の効果
アルツハイマー病への鍼灸の効果
日本の認知症患者数は2012年で65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。
今後、高齢化がさらに進んでいくにつれ、認知症の患者数がさらに膨らんでいくことは確実です。
2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占めるとも見込まれています。
認知症の中で一番多いのが「アルツハイマー型認知症」です。
脳の神経細胞が減って脳が小さく委縮してしまうために、症状が現れます。
最近では生活習慣病との関係性が分かっていますが、原因はまだ不明の部分も多いです。
徐々に進行する病気で、急激に進行したりするものではありません。… 全文を読む
生理の不快な症状に対する鍼灸の効果
生理の不快な症状に対する鍼灸の効果
生理前から生理中の不快な症状を「月経随伴症状」と呼びます。
具体的には、腹痛・腰痛をはじめ、乳房がはる、眠くなる、イライラする、倦怠感、肌あれ、下痢、便秘などさまざまな症状があります。
元々婦人科疾患がある人の方が症状が強く出やすい傾向があります。
このような生理にまつわる不快な症状に、鍼灸が効果を出すかを調べた研究がありますので紹介します。
『月経随伴症状に対する鍼灸治療の効果』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam/63/4/63_252/_article/-char/ja
【要約】… 全文を読む
膠原病への鍼灸の効果
膠原病への鍼灸の効果
膠原病は、現在、西洋医学でもとても難しい病気です。
やはり東洋医学(鍼灸)でもそれは変わりません。
ただ、病院での治療を受けていて、他にもっとできることはないかと考えた時に鍼灸は選択肢になり得ます。
病院(西洋医学)とは全く違ったアプローチですので、試す価値があると考えます。
「鍼灸が膠原病に影響を与えられるのか」を調べた論文がありますので紹介します。
『血管病変に対する鍼灸治療の臨床的効果』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/53/1/53_1_43/_article/-char/ja… 全文を読む
頭痛薬が効かない緊張型頭痛に対する鍼灸の効果
鎮痛剤が効かない緊張型頭痛に対する鍼灸の効果
緊張型頭痛とは、頭の両側が締めつけられるような頭痛が数十分~数日間ダラダラと続くタイプの頭痛です。
片頭痛のように、前兆や悪心・嘔吐などはなく、動いてもひどくはなりません。
緊張型頭痛のなかでも、「反復発作性緊張型頭痛」とは平均して1ヵ月に1回(始まると数十分~数日間続く)の頻度で起こる頭痛で、「慢性緊張型頭痛」は平均して1ヵ月に15日以上(年間180日以上)の頻度で起こる頭痛です。
それぞれのタイプの緊張型頭痛に鍼灸がどう効果を出すかを調べた研究がありますので紹介します。
『薬剤で期待すべき効果の得られなかった緊張型頭痛に対する鍼治療の臨床的効果』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/33/3/33_480/_article/-char/ja
【要約】… 全文を読む
PMS(月経前症候群)のイライラに鍼が効くという研究
PMS(月経前症候群)のイライラに鍼が効くという研究
生理周期で排卵後から月経までの期間に起こる不快な症状を、PMS(月経前症候群)と呼びます。
体の痛みやだるさといった身体的症状のほか、情緒不安定になる、イライラする、落ち込むといったメンタル面での悩みなどです。
生理前(高温期)のホルモンのせい(イライラなどは心のバランスを整えるセロトニンが減少するせい)と考えられていますが、はっきりとは分かっていません。
家事・子育て・仕事と日々の疲労やストレスを感じやすい30代の女性に多いです。
疲れとストレス…。
心身を整えるために「自分をいたわる(生活習慣に気を配る)」のも大切ですね。
今回はそんなPMSで悩む(とくにイライラ)人に、鍼灸が役立てるという研究を紹介します。… 全文を読む
鍼はプラセボか?
鍼はプラセボか?
『鍼はプラセボか?』
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22390147/
【要約】
鍼治療の適応として最もよく知られる肩こりに対し、鍼治療は本当に効果があるのかを証明するために、治療者と患者に治療の真偽を知らせずに治療する「ダブルブラインド法(二重盲検法)」を用いた無作為化プラセボ対照臨床研究を実施した。
その結果、治療しない場合よりも、鍼治療を施した方が肩こり感は改善したが、鍼が刺さっても刺さらなくても一定の肩こり改善効果が認められた。
また肩こりの部位に鍼を刺して治療した場合にのみ、皮下血流に変化が認められた。
これらのことは、「鍼治療を受ける」ことによって肩こり感は和らぎ、特に鍼を刺す治療であれば血流改善の効果も期待できることを示唆する。… 全文を読む