不眠に百会が効くワケ

不眠に百会が効くワケ

不眠に鍼治療|千葉県|鎌ヶ谷・船橋・松戸

脳内には微弱な電気信号が常に流れています。
脳波とは、脳内で発生する電気活動を測定したものです。
人の脳波は、α波(アルファ波)、β波(ベータ波)、γ波(ガンマ波)θ波(シータ波)、δ波(デルタ波)に分けられます。
この中でも、α波が出ていると、集中することが出来たり、脳がリラックスしている時に出る脳波です。
β波は、人が普通に起きて活動をしている時の脳波です。

これらから、人が眠りにつく際には、β波→α波→θ波→δ波という順番になります。
活動のβ波の脳波から、布団に入って体がリラックスしてくると、脳波がα波になってきます。
そこから、ぼんやりして意識が薄らいでくるとθ波となり、睡眠が深くなってくるとδ波になってくる順番です。

眠りに関しては、β派が減ってα波が増えるような状態が眠りに近づいていると言えます。
鍼灸を施すことでこの脳波に変化が出るのかを調べた研究がありますのでご紹介します。

『睡眠不足に対する百会穴への鍼治療の即効性鎮静効果』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29896222

【概要】
最近の研究では、鍼治療は睡眠不足の新たな代替治療法であると示唆されている。
しかし、鍼治療が脳波にどう影響するかは不明である。
本研究では、脳波を解析することにより、不眠症ラットの百会穴(GV20)への鍼治療の効果を調べた。
合計16匹の睡眠不足ラットをつくり、「百会穴に鍼する群」と「ニセ鍼をする群」と「無治療群」の3つの群と「正常に戻した群」の4つの群に分け、すべての脳波データが記録された。
「百会に鍼する群」は百会穴に鍼をし、「ニセ鍼群」は百会でないツボに鍼をし、治療中にそれらの脳波を記録した。
介入前に「百会に鍼群」「ニセ鍼群」および「無治療群」のα波周波数は、「正常な群」と比較して有意に低かった。
一方、これら3つのグループのβ波頻度は、「正常群」と比較して有意に高かった。
これは、睡眠不足が脳波の頻度に影響を与えることを示唆した。
結果。
「百会に鍼する群」は、治療後にβ波頻度の有意な減少と同様にα波頻度の有意な増加を示した。
「ニセ鍼群」には重大な変化はなかった。
結論。
ラットの睡眠不足モデルの結果から、百会穴への鍼治療は脳皮質の興奮性を低下させる可能性があることが示唆された。
その鎮静効果のために、百会における鍼は、不眠症治療のために有効と言える可能性がある。

当院の考察

不眠に鍼灸
百会穴に鍼をすると脳波に「眠りにつきやすくなる変化」が起こる、という結果でした。

百会は「安神」の作用があると言われています。
安神作用とは「精神を安定させる作用」という意味です。
普段の治療でも、不眠症には代表的なツボです。

今回はそれを脳波で計測し、α波が増える(=眠りに向かう変化が起こる)という結果でそれが証明されたわけです。
対象はラットでしたが、人間にも敷衍してみる価値は大いにある、もしくはそれを予見させる材料になる研究でした。

人間の不眠症と鍼灸は相性が良いことは日々実感していますが、このように長らく伝承されてきたツボの作用が、違った視点で再確認されることは鍼灸師としては大いに励まされます。

もちろん、百会1穴だけで全ての不眠症が改善、という訳ではないです。
不眠にもいろいろなパターンがありますし、その他の体の状態から何が不眠を招いているのかも違ってきます。
それに合わせて施術するツボは変わってきます。
そしてそれは一人一人違ってきます。

不眠症で悩まれていて、病院での治療を受けつつもさらに何かないかと思った際は、鍼灸を頼ってみてください。
お待ちしています。

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