乳がんのホルモン療法の副作用(関節痛)を鍼灸が軽減できるという研究

鍼治療がアロマターゼ阻害薬に伴う関節痛を軽減

ホルモン療法の副作用と鍼灸・写真1
乳がんを患えば大きな不安や負担を抱えることになります。
さらにホルモン療法を数年にもわたって続けることは大変な苦労かと思います。
しかもホルモン療法には副作用があります。

そのホルモン療法の副作用に鍼灸がお役に立てる、という研究結果をご紹介します。

アロマターゼ阻害薬とは

「アロマターゼ阻害薬」は、閉経後の乳がんの患者さんに使われるホルモン療法のお薬です。

「ホルモン療法」の一環として使われますので「ホルモン受容体陽性乳がん」に効果があります。
再発予防効果が期待され、進行・再発乳がんでは進行を抑える効果が期待されています。

ホルモン受容体陽性の乳がんは、女性ホルモン「エストロゲン」が多いと腫瘍が成長してしまいます。
そこでエストロゲンの生成を阻害する効果があるアロマターゼ阻害薬が有効なのです。

ホルモン療法でよく聞く「タモキシフェン」(商品名:ノルバデックス)は、閉経前・後に関係なく用います(薬の効き方がまた異なるためです)。

ちなみに閉経とは、
年齢が60歳以上か、45歳以上で過去1年以上月経がないか、両卵巣を摘出をしている場合かです。
閉経しているかどうかわからない場合は、血液中の女性ホルモンの値を測定して判断します。

アロマターゼ阻害薬の副作用

アロマターゼ阻害薬は有効な治療法の一つです。
しかし、副作用のために治療を続けられなくなる人もいます。

【具体的な副作用】
・骨密度の低下
・関節痛
・関節のこわばり

アロマターゼ阻害薬副作用に鍼灸が有効という研究

ホルモン療法の副作用と鍼灸・写真2
アロマターゼ阻害薬の副作用に鍼灸が有効であるという研究があります。
『鍼治療がアロマターゼ阻害薬に伴う関節痛を軽減』
http://mb.cision.com/Public/3069/2402463/9f223fd6ab7ee5f0.pdf

研究者らは、アロマターゼ阻害薬を使う乳がん患者を「鍼治療する群」「ニセ鍼治療をする群」「なにもしない群」の3つに分けました。

患者は薬の副作用である「関節痛」を持っています。
「鍼治療群」と「偽鍼治療群」の患者は、12回(週2回×6週間)の鍼治療を受けた後、6回(週1回×6週間)の鍼治療受けました。
患者は、簡易疼痛質問表(BPI)などを用いて治療前、治療中、治療後の疼痛を報告します。

結果、「鍼治療する群」が他の群よりも、痛みが改善されたと自己評価しました。
「鍼治療が厳密な大規模試験で顕著な副作用がなく、持続的で有益な効果がみられたのは非常に喜ばしいことでした」と論文の中でHershman医師は述べています。

当院の考察

ホルモン療法の副作用と鍼灸・写真3
今回は薬の副作用での関節痛でしたが、鍼灸治療は(関節痛やこわばりなど)整形外科的なお悩みは得意としています。
痛み症状と鍼灸は相性がとても良いです。
それは鍼灸の保険適用という形で国がお墨付きを与えている6疾患が「肩こり」「腰痛」「リウマチ」「神経痛」などであることからも明らかだと思われます。

鍼灸が痛みに良いという理由も、現代医学的にも解明されつつあります。

癌の治療は病院での治療がメインです。
それはもちろん大事ですが、そこで出る副作用など現代医学は対応しきれないおツラさには、他に何か試したいなら鍼灸を併用してみる価値があると考えます。

痛みやこわばりなどが和らげば日常生活の快適さが増します。
結果、健やかに過ごすことでますます病気や副作用と闘う力が増します。
また、副作用が減れば薬物治療を継続できます。

日常での「生活の質」はQOLとも呼ばれ、とても大事な観点です。
鍼灸がそこで役立てることは間違いありません。
ぜひ、活用してみてください。

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