子宮頸がんの不安からくる下腹部痛への鍼灸症例

子宮頸がんの不安と下腹部痛への鍼灸

子宮頸がんの不安からくる下腹部の違和感

患者さま

40代 女性

初来院

2021年12月11日

お悩みの症状

子宮頸がんの不安からくる下腹部痛

初来院までの経過

半年前の健康診断で子宮頚部の異形成を指摘され、婦人科で3ヶ月ごとにチェックを受け始める。
3ヶ月前に仕事やプライベートが忙しく疲れがたまったころに血尿が出る。
泌尿器科に行き、「膀胱炎」と言われ、これは薬で改善した。
一応、婦人科でも確認してもらうと「膣カンジタ症」があることが分かり、これも薬で改善。
1ヶ月半前、体への不安もあり近所の内科も受診してみる。
CT検査を行うと「子宮頸がん」が見つかり、大きな病院へ行くよう指示が出る。
そこでMRI検査を受けて「3cmほどの塊はある」「でもマーカー値は正常だし、生理や尿に異常がなければ良性かもしれないから3ヶ月ごとにチェックすることで様子を見よう」となる。

この頃より、子宮頸がんへの不安が強く下腹部に違和感(痛み)が出るようになる。
胃から背中の方もギューッと痛むこともある。
便秘もあり、お通じがると下腹部の違和感も少しラクになる。
眠りはもともと浅く、寝不足感はある。

他の症状。
片頭痛。
肩こり。
腰痛。
冷えと疲れ。

治療方針

不安感が強いので、肝・心の気の滞りとみる。
同時に仕事が心身ともに負担が大きいようで、気血の虚もある。
心・肝・脾・腎の働きを活性化するようにする。
下腹部にも気は配るが、全身から気血の補うツボやリラックスやのツボを多く使うようにする。
刺激はややソフトに行うようにする。

治療と経過

1回目。
下腹の張り感の強い場所に温灸をしてからお灸。「内関」「三陰交」「足三里」「陰陵泉」に軽めに置鍼。「足三里」にはせんねん灸追加。足先にホットパック。「肩こりの部分」に単刺+円皮鍼。「風池」「天柱」「完骨」「心兪」「肝兪」「腎兪」に置鍼。「至陽」「命門」に温灸。

2・3回目(2週間に1回ペース)
同様の施術とする。
下腹部の痛み(違和感)は改善傾向。

4回目(3週後)
安心のために本人が受けたPET検査で「胸にしこり」が発見され、より詳しく検査したところ「左乳がん」と指摘される。
詳しい検査をしてから説明するので、詳細はもう少し後になるとのこと。
癌の指摘のためか、左の肩甲骨辺りに痛みコリがでてくる。
下腹部の違和感は良い。
「中脘」「関元」に温灸。「内関」「神門」「足三里」「三陰交」「陰陵泉」に軽めに置鍼。頭部の反応点にも刺鍼。足先にホットパック。「肩甲骨コリ部分」に単刺+お灸。「百会」「風池」「心兪」「肝兪」「腎兪」に置鍼。「脊柱」「命門」に温灸。

5・6回目(1週間おき)
左の肩甲骨から腕の付け根辺りが痛むとのことで5回目はそのあたりに鍼と円皮鍼を行うことで、6回目には無くなっていた。
基本的には4回目の治療と同様に行う。
気の巡りを良くするような施術を心掛ける。

数日後に病院での検査結果および治療方針の説明などがあるとのことで、それをふまえてどうするか考えるとのことで鍼灸は予約を入れずに終了。
その後、連絡はなく詳細不明。

同時に治療した症状

・疲れ
・冷え
・肩こり
・片頭痛

まとめ

ガンという病への「不安感」を対象に施術をしたケース。
下腹部の不安感が減ったことは嬉しかったのだが、全く違う病気(乳がん)の発覚があり、その喜びも霧散してしまった。
不安な気持ちがその場所近辺に痛みやコリなどを発生させる。
この方も乳房の裏側(肩甲骨近辺)にコリや痛みを出した。
今回も肩甲骨の違和感は早期に軽減したことなど、ガンそのものへのアプローチはできないけれど、それが引き起こす様々な不快な症状へは鍼灸は対応できると考える。