血の道症
血の道症とは
「血の道症」は東洋医学の考え方で、気血の不足や滞りから起こる女性特有の不調のことです。
たとえば月経、妊娠、出産、更年期などに現れやすい症状です。
症状は、
生理痛・便秘・むくみ・ほてり・冷え・動悸・腰痛・頭痛・月経異常・不安・イライラなど多岐にわたります。
西洋医学でいう月経前症候群（PMS）・更年期障害・マタニティブルー・月経前不快気分障害（PMDD）・産褥うつ病なども含みます。
思春期から閉経の期間までで、女性ホルモンの変動に心身に疲労やストレスが影響し合うことで起こると考えられています。
じつは血の道症に悩む女性はとても多いものの、“仕方ないこと”と放置している人も少なくありません。
今回はそんな血の道症に東洋医学である鍼灸が効くことをお話します。
血の道症と鍼灸
鍼灸(東洋医学)では体の中にある“気(き)・血(けつ)・水(すい)”の3つ量と巡りが過不足なければ健康でいられると考えます。
今回の血の道症は、気と血が深く関わっていると考えています。
気の変調
まずは女性ホルモンのバランスの問題です。
ホルモンバランスをコントロールする「気」が乱れるとホルモンの乱れにつながると考えています。
そのため、「気」にトラブルが生じると、女性ホルモンのバランスがうまく保てず、血の道症になってしまうのです。
気が少ない「気虚」や気の巡りの悪い「気滞」と呼ばれる状態です。
【気の不調によって起こる症状】
不安、イライラ、抑うつ、冷えのぼせ、動悸、月経周期が乱れるなど
血の変調
婦人科系(女性ホルモンや子宮卵巣など)を養っているものが「血」です。
血の量が不足したり、巡りが悪くなるとホルモンの量や質にも悪影響が出ます。
血の少ない「血虚」や巡りの悪い「瘀血」と呼ばれる状態です。
【血の不調によって起こる症状】
ほてり、冷えのぼせ、便秘、肩こり腰痛、頭痛、しびれ、腹痛など
血の道症に効果的なツボ
鍼灸ではこれら気血水の乱れを、ツボ(経穴)に鍼やお灸をすることで改善に導きます。
その人の体の状態に合わせてツボを選びますので、「この病気にはこのツボ」とは決められないのですが、血に道症に効果の高いツボをいくつかご紹介します。
基本のツボ
どのタイプの人にも有効です。
三陰交（さんいんこう）
足の内くるぶしから指４本分くらい上。
気海（きかい）
おへそから指２本分くらい下。
腎兪（じんゆ）
背中の指２～３本分くらい横（おへその高さあたり）
血の巡りが悪いタイプ
生理痛がキツイ、冷えが強いなどのタイプの人は以下のツボも追加。
血海（けっかい）
ももの内側、ひざのお皿から指４本分くらい上。
気の巡りが悪いタイプ
ストレスが強く、肩こりなどコリ痛みが強い、PMSでのイライラが強い人は以下のツボも追加。
合谷（ごうこく）
手の甲で親指と人さし指の間。
太衝（たいしょう）
足の甲で親指と人さし指の間。
以上、
東洋医学では、血の道症の治療には体質改善が重要視されます。
鍼やお灸を用いて、経絡（気血の流れる経路）を刺激し、臓腑の機能を調整することで症状の緩和や改善を促します。
ただし、
個々の患者さんの症状や体質によって適切なツボの選択や施術方法は異なります。
患者さんお一人お一人の体質に合わせたツボを全身より選択して、実際の施術は行います。
自律神経を整える＝冷えとストレス対策が重要
ホルモンバランスから血の道症を解いてきましたが、ホルモンの働きも「自律神経の働き」が大きく関係しています。
両者はほぼ一体と考えても差し支えないかと思います。
当院では、血の道症の改善とは「ツラさだけを抑えること」が目的ではなく「ツラさというサインがでているあなたの体質改善」が目的になると考えます。
自律神経の乱れの原因は「冷え」と「ストレス」と考えています。
当鍼灸院では、冷え対策とストレス対策に力を入れています。
症状の多くが全身からの影響を受けています。
当院の鍼灸では、自律神経の働きを整えることから、多様な症状に対応しています。
