「足三里」のツボが自律神経を整える研究結果|鍼灸師が解説

足のツボへ鍼して、なぜ全身へ作用するのか?|最新研究

足三里に抗炎症作用・写真1

当院は、鎌ケ谷市(初富駅より徒歩2分)で、鍼とお灸の専門院を営んでいます。
私(院長)は、鍼灸師として25年、延べ5万人以上の患者さんの体と向き合ってきました。

当院には、30代から50代の働く女性が数多く来院されます。
「仕事や家事で忙しく、常に疲れが取れない」「病院の検査では異常がないのに、めまいや動悸がする」「生理不順や婦人科系の悩みを体質から改善したい」といった切実なお悩みを抱えている方が少なくありません。

当院では、じっくりと時間をかけてお話を伺います。
そして、手首の脈に触れ、舌の状態を見て、お腹の張りを確かめることで、東洋医学に基づいてお体の状態を判別します。

例えば、目に症状(緑内障や眼精疲労など)がある場合でも、目だけに鍼をするわけではありません。
足や手、背中など、全身のツボを使ってアプローチします。

患者さんからよく聞かれるのが、「どうして足のツボに鍼をしたのに、胃腸の調子が良くなったり、自律神経が整ったりするのですか?」という質問です。

実は、この「離れた場所のツボがなぜ効くのか?」という東洋医学の長年の謎が、最新の科学によって解き明かされようとしています。

今回は、世界的にも権威のある科学誌『Nature』に掲載された、鍼灸のメカニズムに関する論文をご紹介します。

論文の内容を紹介

足三里に抗炎症作用・イラスト

論文タイトル:
A neuroanatomical basis for electroacupuncture to drive the vagal-adrenal axis(電気鍼刺激が迷走神経-副腎軸を駆動するための神経解剖学的基盤)

著者:
Shenbin Liu 他

掲載誌:
『Nature』 (2021年)

URL:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9178665/

論文の内容と結果

足三里に抗炎症作用・写真2

この論文は、「あるツボへの刺激が、神経ネットワークを通じて最終的に、全身の炎症を抑える」というメカニズムを証明しました。

私たちの体には、「自律神経」と呼ばれる無意識下で内臓や血管の働きをコントロールする神経があります。
「自律神経」には、アクセルの役割をする「交感神経」と、リラックスを促すブレーキの役割の「副交感神経(迷走神経など)」があります。

現代人は、ストレスによって交感神経が優位になりすぎ、体内で微弱な「炎症」が慢性的に起きていることが、様々な不調(めまい、疲労、免疫低下など)の原因となっています。

この論文の研究者たちは、「足三里(ST36)の電気鍼では全身性の抗炎症作用が起こる」ことを証明しました。

■研究ではマウスを用いて、

・足三里(ST36)への電気鍼

・天枢(ST25)への電気鍼

・神経を切断したマウス

・特定の神経細胞だけを除去したマウス

…などを比較しました。

結果、以下の事実を突き止めました。

【1】 後ろ足にある「足三里(ST36)」というツボに低周波の電気鍼刺激を与えると、脳(後脳)の迷走神経が活性化される。

【2】 その信号が副腎(ストレスホルモンなどを分泌する臓器)に伝わり、カテコールアミン(ドーパミンやアドレナリンなど)が放出される。

【3】 結果として、細菌の毒素によって引き起こされた全身の激しい炎症反応が強力に抑制され、生存率が劇的に向上する。

つまり、
足にあるツボ(足三里)への刺激が、脳を経由して内臓に働きかけ、全身の炎症を鎮めるスイッチとして機能することが科学的に観察されたのです。

さらに興味深いことに、この神経を除去すると、足三里へ鍼をしても抗炎症作用は消失しました。

つまり、足三里の効果は偶然ではなく、特定の神経回路によって説明できることが示されたのです。

Aというツボでは効いて、Bというツボでは効かない理由

さらに「足三里では抗炎症作用が起こるのに、お腹の天枢(ST25)では同じ作用が起こらないのはなぜか?」という疑問を解明しました。

「ツボには特定の効能があるだろうこと」を解明したことです。

東洋医学では、どのツボを刺激するかによって、現れる効果が違うと考えます。
「ツボの効能」「穴性」などと呼びます。

実験では、足にある「足三里」に刺激を与えると抗炎症効果が出ましたが、お腹にある「天枢(ST25)」というツボに同じ弱い刺激を与えても、この効果は出ませんでした。

なぜでしょうか?

研究チームが調べたところ、カギを握っていたのは「PROKR2」という特定のタンパク質を持つ感覚神経でした。

この特殊な神経線維は、足の深部の筋膜(骨膜など)には豊富に張り巡らされているのに、お腹の筋膜(腹膜)には存在していなかったのです。

遺伝子操作でこの「PROKR2を持つ神経」だけをなくしたマウスを作ったところ、足三里に鍼をしても炎症を抑える効果は完全に消えてしまいました。

東洋医学ではこの結果をどう見るか?

足三里に抗炎症作用・写真3

私はこの論文を読んで、「2000年以上前から経験的に知っていた東洋医学の理論が、現代科学(ミクロの神経解剖学)によっても裏付けられてきた」と感じました

東洋医学において、「足三里」は「胃経(いけい)」というグループに属する代表的なツボです。
古くから「胃腸の働きを整え、気を補い、全身の疲れをとる万能のツボ」として有名です。
江戸時代の松尾芭蕉の『奥の細道』にも登場します。

論文では、足三里への刺激が「迷走神経」を活性化させるとありました。

迷走神経は、まさに胃腸の働きを活発にし、体をリラックス状態(休息と消化のモード)に導く副交感神経の主役です。

「足三里を刺激すると胃腸が動いて元気になる」という東洋医学の教えと、「足三里のPROKR2神経が迷走神経を介して全身の炎症を抑える」という現代科学の発見は、言葉は違えど全く同じ現象を指し示しているのです。

鍼灸師歴25年の院長の感想とまとめ

鎌ケ谷の鍼灸専門院

毎日患者さんの治療にあたっていると、「鍼とお灸には、薬にはない素晴らしい力がある」と感じます。

長年の生理不順で悩んでいた方が、鍼灸による体質改善で周期が整い妊娠されたり、病院のホルモン剤を避けたいと来院された子宮筋腫や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方が、症状の落ち着きを取り戻したりする姿を数え切れないほど見てきました。

こういった成果は、時に西洋医学的な基準では「メカニズムがよく分からない」と言われることがありました。

しかし、今回の『Nature』論文のように、現代科学的にも裏付けができてきました。

鍼灸が単なる「気休め」や「プラセボ効果」ではないという研究結果は、鍼灸師として嬉しい結果です。

電気鍼と当院の「痛くない鍼」の違いについて

少し専門的な補足になりますが、この論文の実験では「電気鍼(電気を流す鍼)」が使われています。

電気鍼は一定の刺激を強制的に神経に与えるため、実験のデータを取るのには適しています。

しかし、当院では電気を流す鍼はあまり使用しません。

理由は、強すぎる刺激は時として患者さんの体へのストレス(交感神経の緊張)になり得るからです。

当院では太さわずか0.16mmという、一般的な鍼灸院よりも細めの鍼を使用しています。
「最初は怖かったけど、全く痛くなくて驚いた」と皆様おっしゃいます。

痛くない微細な鍼であっても、確かなツボ(深部の筋膜などのポイント)を正確に捉えれば、PROKR2のような神経受容体は十分に反応します。

お灸(棒灸、点灸、台座灸)の心地よい温熱刺激と組み合わせることで、体がじんわり温まり、こりがほぐれ、心地よい倦怠感のあとに内側から元気が湧いてくる。

人間の手による繊細なアプローチでも、心と体を同時に整えることができると、私は考えています。

また、この研究はマウスが対象で、かつ実験環境下での結果でありました。
そのため、そのまま全ての結果を人間に当てはめることはできないことも付け加えておきます。

まとめと当院(千葉県鎌ケ谷市)の鍼灸のススメ

今回は、少し専門的な学術論文を題材に、鍼灸の効果について解説いたしました。

まとめると以下のようになります。

1. 足のツボ(足三里など)への刺激は、神経のネットワークを通じて脳に届き、全身の炎症やストレスを抑える効果があることが最新科学で証明された。

2. ツボによって効果が違うのは、皮膚の下にある感覚神経(PROKR2など)の分布が異なるからである。
(ツボごとに効能が違うと言われていることにも意味がある。)

3. 東洋医学が昔から行ってきた「経絡・経穴を使った治療」は、現代の神経学や解剖学でも説明可能になりつつある。

家事、育児、そして仕事。現代の女性は本当に慌ただしい毎日を送っています。
知らず知らずのうちに自律神経が乱れ、冷えやストレスが蓄積し、それが生理不順やめまい、動悸、倦怠感となって表れます。

薬(ホルモン剤や抗不安薬など)で症状を一時的に抑えることも時には必要ですが、それだけでは根本的な「体質改善」にはなりません。

当院の本格的な東洋医学鍼灸は、部分的なマッサージや整体とは異なり、皆様の体の内側(神経、内臓、ホルモンバランス)に直接アプローチします。

鎌ケ谷市周辺には多くの治療院がありますが、「鍼とお灸のみ」で本格的な東洋医学に基づく施術を行っているのは当院だけです。
それは、鍼とお灸の力に絶対の自信を持っているからです。

もしあなたが、長引く不調や婦人科系の悩み、自律神経の乱れでお困りなら、ぜひ一度当院の鍼灸を試してみてください。

皆様のご来院を心よりお待ちしております。

当院の鍼灸のご案内

鍼灸治療院ほっと・ばらんす・写真

千葉県鎌ケ谷市周辺には多くの整体院やマッサージ店がありますが、「鍼とお灸の専門院」は当院のみです。
当院が患者さんに選ばれ、そして結果を出せるのには明確な理由があります。

■最適な刺激点を見つけ出します
当院では、25年の経験を持つ院長が、手で体に触れ、脈やツボの反応を的確に読み取ります。
機械には見つけられない「あなたの本当の痛みの原因」を見つけ出し、最適な刺激を行います。

■痛くない鍼と、心地よいお灸
当院で使用する鍼は太さ0.16mmと、一般的な鍼灸院よりもさらに細いものです。
そのため痛みはほとんどありません。
また、お灸も熱すぎることはなく、皮膚レベルへの浅く心地よい刺激(八分灸など)を用います。

■時間をかけた問診と丁寧な説明
初めての鍼灸は不安がつきものです。
当院では施術前にしっかりと時間を確保し、患者さんの話を丁寧に聞きます。
完全予約制のため待ち時間もなく、他の方を気にせず何でも質問していただけます。