耳鳴り鍼灸治療の最新論文|78.6%「鍼治療は耳鳴り治療に有効そうである」
【耳鳴りに鍼灸は効果ある?】最新の研究論文を東洋医学の視点で解説

当院には、仕事や家事、育児で慌ただしい毎日を送る30代から50代の女性が多く来院されます。
その中で非常に増えているご相談が、「キーン」「ジー」という不快な音が鳴り止まない「耳鳴り」です。
病院の耳鼻科で検査を受けても「特に異常はありません」「ストレスでしょう」「うまく付き合っていくしかありません」と言われ、途方に暮れて当院にいらっしゃる方も少なくありません。
耳鳴りは命に関わる病気ではないことが多いものの、静かな場所で気になったり、寝つきが悪くなったり、仕事や家事に集中できなくなったりと、生活の質(QOL)を大きく下げてしまいます。
近年では、耳鳴りに対する鍼灸治療の研究も世界中で行われています。
今回は、2022年に発表された「耳鳴りに対する鍼治療」に関する世界中の研究をまとめた大規模な論文をご紹介しながら、東洋医学がどのように耳鳴りにアプローチするのかを解説いたします。
論文の内容を紹介
今回ご紹介するのは、『Frontiers in Neurology』という権威ある医学誌に掲載された以下の論文です。
論文タイトル:
Effects of acupuncture on the outcome of tinnitus: An overview of systematic reviews(耳鳴りの転帰に対する鍼治療の効果:システマティックレビューの概要)
著者:
Xianpeng Xu 他
掲載誌:
Frontiers in Neurology (2022年)
URL;
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9716106/
論文の内容と結果

この論文は、新しい臨床試験ではありません。
これまで発表された14本のシステマティックレビュー・メタ解析をさらにまとめて評価した「オーバービュー・オブ・レビュー」という研究です。
つまり、「鍼灸と耳鳴り」に関する現時点の研究全体を俯瞰した論文です。
過去に行われた「耳鳴りに対する鍼治療」の研究14件を、さらに厳密に再評価した非常にスケールの大きなものです。
■調査の結果
14件の研究を精査した結果、以下のことが分かりました。
・14件中11件(78.6%)の研究で「鍼治療は耳鳴りの治療に有効である」と報告されていた。
・14件中3件の研究では「鍼治療が有効であるという確固たる結論は出せない」と報告されていた。
つまり、
全体的な傾向として「鍼治療は耳鳴りに対してポジティブで効果的な治療法である可能性が高い」ということが示されています。
西洋医学的な特効薬がない中で、鍼治療が生活の質(QOL)を向上させる臨床的な証拠を持つ数少ないアプローチであることが浮き彫りになりました。
科学的な「証拠の質」はまだ低いというのも事実
ここで誠実にお伝えしなければならない重要な事実があります。
この論文では、AMSTAR-2やGRADEといった非常に厳しい国際的な評価基準を用いてデータの質を判定しました。
その結果、「現時点では、科学的証拠(エビデンス)の質は全般的に低い」と結論づけています。
「鍼灸が効きそうだという結果は多いものの、研究方法に課題があるため、まだ確実とは言えない」ということです。
なぜ、効果が出ていると報告されているのに「証拠の質が低い」と判定されるのでしょうか?
論文の中で指摘されている最大の理由は、「鍼灸師が、本物の鍼と偽物の鍼を分からないようにして治療する(盲検化)ことが困難だから」です。
薬の実験であれば、本物の薬と見た目が同じ偽薬(プラセボ)を飲ませることで客観的な比較ができます。
しかし、鍼灸は「人間の手」で行う物理療法です。施術者自身が「自分が今どちらを刺しているか」分かってしまうため、どうしても西洋医学が求める厳格な実験ルール(二重盲検法など)を満たすのが難しく、評価が下がってしまうのです。
東洋医学的な解釈:なぜ「耳」だけでなく「全身」を診るのか

論文の中でも言及されていますが、耳鳴りの治療において、鍼は必ずしも耳の周りだけに刺すわけではありません。
手足や背中など、耳から遠く離れたツボを使うことが多々あります。
東洋医学では、耳鳴りを「耳だけの病気」とは考えません。
耳鳴りは全身のバランスが乱れた結果として現れる症状の一つと考えます。
例えば、
■腎虚(じんきょ)
加齢や慢性的な疲労によって「腎」の働きが低下すると、耳の働きも弱くなり、耳鳴りや難聴が現れやすいと考えます。
■肝陽上亢(かんようじょうこう)
ストレスや怒りなどによって「肝」の働きが乱れ、気が頭へ上りすぎることで耳鳴りが起こると考えます。
■気血不足(きけつぶそく)
長期間の疲労や睡眠不足などで気血が不足すると、耳へ十分な栄養が届かず耳鳴りが続くことがあります。
■痰湿(たんしつ)
体内の余分な水分代謝が悪くなることで耳閉感やめまい、耳鳴りを伴うケースもあります。
つまり、同じ「耳鳴り」という症状でも原因となる体質は一人ひとり異なります。
そのため、本格的な東洋医学では、
脈
舌
お腹
全身状態
睡眠
食欲
冷え
ストレス
などを総合的に診て証(体質)を判断し、ツボを選びます。
耳の近くだけに鍼をするのではなく、手や足、お腹、背中など全身の経穴を使って体質改善を目指すのが東洋医学の特徴です。
実際、この論文でも耳の周囲だけではなく、四肢や体幹など離れた部位のツボが使われている研究があることに触れられており、耳鳴りへの作用機序は単純ではないと考察されています。
そして、耳周辺の血流を良くする局所のツボだけでなく、ストレスを鎮める手足のツボや、疲労を回復させる背中のお灸などを組み合わせることで、「耳鳴りが起きにくい体質」へと根本から作り変えていくのです。
まとめと本格的な鍼灸のススメ
「耳鳴り」は、他人にツラさが分かってもらえない非常に孤独でストレスのたまる症状です。
「本当に鍼で治るんですか?」とよく聞かれます。
嘘はつきたくありませんので正直にお答えします。
耳鳴りは、発症してからの期間が長ければ長いほど、改善に時間がかかる難しい症状の一つです。
しかし、
この論文を読んで感じたのは、「鍼灸には可能性があるが、まだ科学的な検証は続いている」という点です。
鍼灸師として25年以上臨床に携わってきた経験では、耳鳴りの患者さんでも、
よく眠れるようになった
首や肩の緊張が和らいだ
ストレスが軽くなった
耳鳴りが気になりにくくなった
という変化を経験される方は少なくありません。
一方で、すべての方に同じような結果が得られるわけではありません。
耳鳴りは原因も経過もさまざまであり、症状の改善には個人差があります。そのため、「必ず治る」と断言することはできません。
当院では、刺激の強い治療や、バキバキとする整体やマッサージは一切行いません。
使用するのは太さわずか0.16mmの極細の鍼です。「最初は怖かったけど、全く痛くない鍼なので驚いた」と皆様おっしゃいます。
鎌ケ谷市周辺にも多くの治療院がありますが、東洋医学の理論に基づいて本格的な「鍼とお灸のみ」の施術を行い、時間をかけてしっかりとお話を伺うのは当院ならではの特徴です。
もしあなたが、ずっと鳴り止まない耳鳴りや、それに伴うめまい、不眠、自律神経の乱れでお悩みなら、一人で抱え込まずにぜひ当院にご相談ください。
当院の鍼灸のご案内

千葉県鎌ケ谷市周辺には多くの整体院やマッサージ店がありますが、「鍼とお灸の専門院」は当院のみです。
当院が患者さんに選ばれ、そして結果を出せるのには明確な理由があります。
■最適な刺激点を見つけ出します
当院では、25年の経験を持つ院長が、手で体に触れ、脈やツボの反応を的確に読み取ります。
機械には見つけられない「あなたの本当の痛みの原因」を見つけ出し、最適な刺激を行います。
■痛くない鍼と、心地よいお灸
当院で使用する鍼は太さ0.16mmと、一般的な鍼灸院よりもさらに細いものです。
そのため痛みはほとんどありません。
また、お灸も熱すぎることはなく、皮膚レベルへの浅く心地よい刺激(八分灸など)を用います。
■時間をかけた問診と丁寧な説明
初めての鍼灸は不安がつきものです。
当院では施術前にしっかりと時間を確保し、患者さんの話を丁寧に聞きます。
完全予約制のため待ち時間もなく、他の方を気にせず何でも質問していただけます。
【関連記事】

