妊娠中の肩こり・腰痛のツボ

妊娠中の肩こり・腰痛

妊婦さんの肩こり腰痛・写真1
元々肩こり・腰痛のある人だけでなく、妊娠中に肩や腰がこり始める人もいます。

妊娠してお腹が大きくなることで、結果的に首肩~腰への負担が増加することが原因です。

お腹が大きくなると、バランスをとるため腰が反ります。
ここでまず腰が負担を受け、腰痛が出やすくなります。
さらに、そのバランスを保つため、肩は内側に入り首が前に出やすくなります。
首が前に出る姿勢をし続けると、首の痛みだけではなく肩こりや頭痛など身体に様々な不調につながります。

また、妊娠中に乳腺が発達し胸(バスト)が重くなることも、妊婦さん特有の肩こりの原因にもなります。

それ以外にはホルモンバランスの乱れも関係します
妊娠するとホルモンバランスが妊娠前とは異なり、体調の変化にもつながります。
とくにホルモンの分泌は自律神経(交感神経と副交感神経)と関連が深く、ホルモンバランスの乱れは自律神経の乱れとなります。
その結果、血行不良が起こったりストレスを感じやすくなったりして肩こり・腰痛というツラさで出てくる人もいます。

肩こり・腰痛対策

ツラい肩こりを放置すると、頭痛や吐き気などにもつながります。
腰の痛みも日常生活で不快なものです。
セルフケアなどでなるべく早め早めにケアをして欲しいです。
そのための方法をいくつか挙げます。

軽いストレッチ

体が温まっているお風呂上りや仕事の休憩時間などに、肩や首や肩甲骨や腰やお尻の筋肉を軽く伸ばしてみましょう。
ストレッチの仕方がわからない場合はインターネットで解説付きの動画を探すのもおすすめです。
妊婦さん向けのストレッチ動画はとても役に立ちます。
体の硬さは人それぞれですので、あくまでも軽め軽めでお願いします。
お腹や腰に負担をかけないストレッチを選んでください。

軽い運動

軽い運動をすることで血流も良くなり、肩こり・腰痛改善が期待できます。
ウォーキングや妊婦さん向けの軽いエクササイズが最適です。
こちらも必ず無理のない範囲で行ってください。

体を温める

体を温めることで血流促進がなされ肩こり・腰痛の解消につながります。
レンジで温めるホットパックやカイロなどで、肩や首、肩甲骨、背中、腰を温めてください。
ただし、温めたら気持ち良いと感じる人に有効ですので、暑苦しく感じるようでしたら、温めるのは控えてください。
肩コリや腰痛の場所だけを温めるのではなく、体全身(とくに下半身)を温かくすることで、結果的に肩や腰も温まりやすくなります。
シャワー浴ではなく湯船につかるような入浴や、冷えないように靴下を履くなど冷え対策もコリ痛みのために有効です。

セルフツボ押しやセルフお灸

東洋医学的に肩こり・腰痛に有効なツボをセルフケアに使うのもひとつです。
軽いマッサージやツボ押し、もしくはせんねん灸のような台座灸を使う方法があります。
これについては以下に詳細します。

妊娠中のツボ刺激で気をつけること

最初に注意事項を挙げます。

・強すぎる刺激は避ける。
・気持ちよくない刺激(不快に感じる)は避ける。
・セルフケアは安定期に入ってから。
…これらは守っていただきたいです。

また読んでいただいてお分かりの通り、どのくらいの力加減が強すぎなのかはその人により異なります。
これらはツボ刺激だけでなく、ストレッチでも運動でも冷え取りでも、すべてのことに通じると思います。

さて、
鍼灸治療では「妊婦さんには気をつけた方が良いツボがある」としています。
有名なところでは「合谷」「肩井」「三陰交」です。
とくに「肩井(けんせい)」のツボは肩こりがちょうど出る場所にあり、肩こりの人には扱いに困るツボとなります。

では、
このようなツボを触ってはいけないのかと言えば、じつはそんなことはありません。
たとえば「三陰交(さんいんこう)」などは、安産のためにも有効で、妊婦さんには大事にしたいツボになります。
これらは「絶対禁忌のツボ」ではなく「気をつけて使えば有効なツボ」と言えます

実際に自宅で行うセルフケアの場合「強い刺激はしない(少しでも我慢していると感じる力加減は強すぎ)」ことを目安にしていただきたいです。

もちろん、肩こりのない人が肩井のツボをわざわざ刺激する必要はなく、そこにツラさがあるからこそ大事に使いたいツボとなるわけです。

妊娠中の肩こりのツボ

妊婦さんの肩こり腰痛・写真2
ツボ押しは、ゆっくりと「1・2・3・4」と数えながら押し込んでいき、「5・6・7・8」と数えながら力を抜いていきます。
それを5~10回繰り返します。
力加減はあくまでも気持ち良いくらい。
妊婦さんなので、少し物足りないくらいの力加減でもよいでしょう。

せんねん灸などのお灸をする場合も同様です。
一番温度の低い商品から始めて、我慢するような熱さを感じたらすぐに取り外してください。
お灸ができない部位(頭など)もあります。

風池

首の後ろの左右のスジに指をおき、指をすり上げていきます。髪の生え際まできたら、左右外側のくぼみでいちばんへこんでいるところ。

百会

耳のいちばん高いとこりに親指をあて中指を頭のてっぺんにあててそこから前げ押しながら移動し、気持ちよく感じるところが百会です。

曲池

親指を上にして腕を前に出し、ヒジを曲げてできる曲がりジワの先端が曲池です。

肩井

乳頭から真上に手をすり上げ、肩の一番高いところを押して痛みを感じるところが肩井です。
※肩井のツボへの不安が強いようなら控えてください。使う場合も少し物足りないくらいの力加減がよいでしょう。

妊娠中の腰痛のツボ

妊婦さんの肩こり腰痛・写真3
ツボ押しの注意や方法などは肩こりの項を参照ください。

志室

まずヒジの高さを確認します。ヒジと同じ高さで背骨の両脇やや外側を親指で押して気持ちよく感じるところが志室です。

大腸兪

両手親指を腰骨のきわにあて背骨にむかってスライドし、両手親指と背骨のあたったところから外側へ指幅2本よこが大腸兪です。

委中

ひざの後ろにある曲がりジワの真ん中が委中です。

湧泉

足でグーをした時、足裏でいちばんへこんでいるところが湧泉です。足裏を3等分して約3分の1のところです。

まとめ

妊婦さんの肩こり腰痛・写真4
日常生活での過労・ストレス過多・睡眠不足・食べ過ぎ・運動不足…など、全ての「~し過ぎ(足りな過ぎも含む)」は妊婦さんにはふさわしくありません
セルフケアでも同じように、強すぎる刺激や我慢する刺激はNGです
どちらかというとソフトに気持ち良く刺激してほしいし、不安があるようならツボ押しなどはしないほうが良いです(他にもセルフケアはたくさんあります)。

妊娠中は、体の中で大きな変化が起こります。
それはホルモン量のバランスをかえ、自律神経のON/OFFの感度をかえ、それによって心にも変化を引き起こします。
妊娠出産は期待や喜びでもありますが、不安や怖れでもあります。

体と心の変調が起こる時期ですので、少しでも良いコンディションを保ってほしいです。

そのために、軽いウォーキング、ストレット、ツボ押しや呼吸法などを活用してください。

それでもなかなか取りきれないおツラさがあれば、鍼灸院での鍼灸もお勧めです。
妊娠初期から臨月の方まで全ての妊娠期間を通じて、妊婦さんの健康のお役に立ちたいと当院は考えています。
ご相談やお問い合わせなどはお気軽にお願いします。

お子さんを向き合って抱けるまであと少しです。
元気でお過ごしください。