立夏|鍼灸師が教える二十四節気の健康法
立夏の今できる健康法について
立夏(りっか)は二四節気の7番目で、暦の上では夏の始まりを告げる節気です。
毎年5月5日または6日頃(2025年は5月5日)に訪れます。
春から夏へと移り変わるこの時期は、日差しが一段と強まり、気温も上昇し始めます。
木々は青々と茂り、生命力に満ちた風景が広がるのが特徴です。
しかし、朝晩の寒暖差が大きく、湿度も徐々に上がってくるため、体調を崩しやすい時期でもあります。
立夏に起こりやすい心身の不調
立夏の時期は、春から夏へと移行するため、身体が急激な変化に適応しにくく、さまざまな不調が現れます。特に以下のような症状が多く見られます。
自律神経の乱れ
気温の上昇や日照時間の変化により、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
とくに交感神経が優位になりがちで、イライラや不眠、動悸などの症状が出ることがあります。
消化器系の不調
この時期は、食欲が低下したり、胃もたれや下痢などの症状が出やすくなります。
これは、暑さによる消化器の機能低下や、冷たい飲食物の摂取が影響していると考えられます。
だるさや疲労感
急に気温が上がることで、体がまだ暑さに慣れておらず、だるさや疲労感を感じることが増えます。
今でいう熱中症に近い症状で、体内の水分・ミネラルバランスが崩れることが原因の一つです。
むくみや湿気による不調
湿度が高くなり始めるこの時期は、体内の余分な水分が排出されにくくなり、むくみやだるさを引き起こします。
また、東洋医学では「湿邪(しつじゃ)」の影響を受けやすい時期とされ、関節痛や頭重感なども現れることがあります。
気象病や頭痛
天候が不安定で、気圧の変化が大きくなるため、頭痛やめまい、気象病の症状が出やすくなります。
立夏におすすめの健康法
この時期の不調を防ぐために、以下のような健康法を実践すると良いでしょう。
朝の適度な運動
朝の涼しい時間帯に軽い運動をすることで、自律神経のバランスを整え、体温調節機能を高めることができます。
とくにウォーキングやストレッチ、太極拳などのゆったりとした運動がおすすめです。
食養生の工夫
立夏の時期は、消化に良い食事を心がけることが大切です。
具体的には、
・体を冷やしすぎないように、常温または温かい飲み物を選ぶ。
・胃腸にやさしい消化の良いもの(豆腐、山芋、白身魚など)を摂る。
・水分補給を意識しつつ、過剰な冷たい飲食物は避ける。
湿気対策
室内の湿度管理を意識し、除湿器や換気を活用しましょう。
とくに寝室の環境を整えることで、快適な睡眠を確保できます。
規則正しい生活
気温の変化が大きいため、早寝早起きを心がけ、睡眠のリズムを整えることが大切です。
とくに夜更かしは自律神経を乱し、疲労回復を妨げるため注意が必要です。
リラックスする時間を持つ
交感神経が過剰に働くのを防ぐために、ゆっくりとした呼吸法や瞑想、アロマテラピーなどでリラックスする時間を確保するとよいでしょう。
立夏におすすめの経穴(ツボ)
この時期の不調を和らげるのに効果的なツボを3つ紹介します。
合谷(ごうこく)
手の甲で親指と人さし指の間。
【効果】ストレス緩和や自律神経の調整に役立ち、気象病による頭痛やイライラの解消に効果的です。
足三里(あしさんり)
膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみに人差し指を置き、指幅4本揃えて小指が当たっているところにあります。
【効果】胃腸の調子を整え、疲労回復を助けます。消化器系の不調やだるさを感じるときに有効です。
陰陵泉(いんりょうせん)
膝の内側、太い骨(脛骨)の下にあるくぼみです。
【効果】むくみや湿気による不調を改善し、水分代謝を促進します。湿度の高い時期に体が重だるくなる人におすすめです。
これらのツボを指圧やお灸で刺激する際は、基本的には「優しく」「気持ち良いくらい」を目安にします。
強い刺激にならないようにしてください。
また、
鍼灸院での本格鍼灸では、これらのツボや体質に合わせて選んだツボを刺激することで、自律神経のバランスを整え、心身の不調を改善することができます。
お困りの症状がある場合は、お気軽にご相談ください。
立夏は活動的な季節への移行期であり、心身のバランスを取ることが重要です。
日々の生活習慣を整え、適切なケアを行うことで、健やかに過ごしましょう。