眼精疲労による頭痛と適応障害の鍼灸症例

頭痛・適応障害・不眠の鍼灸症例

頭痛と適応障害の鍼灸症例

患者さま

40代 男性

初来院

2021年4月16日

お悩みの症状

頭痛、眼精疲労、適応障害

初来院までの経過

眼精疲労からくる頭痛で、ひどい時は仕事にも行けない。
10年前くらいから目の疲れはあり、少しずつ悪化している。
5年前から、電車に乗った時にめまいや気分が悪くなることから「適応障害」と診断され、その頃から頭痛もでるようになる。
精神科にかかり抗うつ薬や睡眠剤をもらっている。
週1~2回の頭痛があり、月1回程度は大きな痛みの波が来るのでその時は仕事にも行けない。
頭痛は鎮痛薬も効かないので、飲まずに横になってやり過ごすしかない。
鍼灸で体調を整えたいと来院。

その他の症状。
体がすっきりしない。
不眠。
首肩コリ。

治療方針

「心」・「肝」の臓腑の気滞がある。
不眠やダルさなどもあることから「気虚」もある。
気血の巡りを活発にする作用の強いツボとリラックス効果の高いツボにを多く使うようにしつつ、エネルギーを補うツボも使うこととする。

治療と経過

1回目。
「膻中」「神門」「足三里」「太衝」に置鍼。「中脘」「関元」に温灸。足にホットパック。「肩のコリ部分」に単鍼+円皮鍼。「天柱」「心兪」「膈兪」「肝兪」に置鍼。「神道」「至陽」に温灸とせんねん灸。

2回目(8日後)。
頭痛とダルさが少し落ち着く。
基本的には1回目の準じた施術内容。円皮鍼を「膻中」「神門」に追加。

3~9回目(1週間に1回ペース)
時々頭痛は出るものの、会社を休むほどにならない。
少しずつ「不眠(途中覚醒)」・「首肩のコリ」・「目の疲れ」などが訴えの中心になってくる。
「膻中」「太陽(から側頭部)」「足三里」「太衝」に置鍼。「中脘」「膻中」に温灸。「神門」「曲池」「足三里」にせんねん灸。「肩のコリ部分」に単鍼+円皮鍼。「天柱」「風池」「心兪」「肝兪」に置鍼+円皮鍼やせんねん灸。「神道」「至陽」あたりに温灸。

10~15回目(2週間に1回ペース)。
当初の「頭痛」が緩和されてきたので、治療間隔を2週間に1回ペースにする。
「不眠(途中覚醒)」・「首肩のコリ」にツラさのメインがうつる。
施術内容は大体3回目以降と同じ。
最初の悩みである頭痛が改善したが、不眠やコリに関しては思うようには改善しなかったため、いったん鍼灸治療は終了を希望される。

同時に治療した症状

・くび肩こり
・不眠
・疲れ

まとめ

主に眼精疲労からの頭痛に悩んでいたが、背後には適応障害というストレスからくる不眠や自律神経の乱れがあったケース。

頭痛に関しては改善していったが、首肩コリや不眠のツラさが残ってしまった。
“動きやすい”症状から改善していくことが多く、“根が深い”症状の改善には時間もかかることが少なくない。
今回は、より根本にある不眠など適応障害からくる症状には大きな変化を出すことができなかった。

もう少し継続していればあるいは…とも思うが、患者さんからしたら費用対効果が合わないと判断されたのだろう。
そのことについては己の至らなさを反省するケースともなった。