不安や落ち込みが強い鍼灸症例

不安や落ち込みが強い・自律神経の乱れ

自律神経失調の鍼灸症例

患者さま

60代 女性

初来院

2020年9月27日

お悩みの症状

不安や落ち込みが強い、モモの前面がゾワゾワする、肩コリ腰コリ

初来院までの経過

2ヶ月前よりエアコンが強めの職場にいるためか、太ももが常にゾクゾクするようになる。
家で温めたからといって大きく改善するわけでもない。
例年はそのようなことはなく、10年ほど前にも1回あった記憶がある。

1ヶ月ほどたち、婦人科に行くと漢方薬が出たが、飲んでもあまり変化なし。
元々不安やうつ傾向があり、10年ほど前には心療内科に通っていたこともある。
今回は、少し前に同居していた娘が結婚で家を出て寂しくなったことと新型コロナ感染症流行のための自粛で一人で居ることが増えたために落ち込みが増している。

寝つきは悪い。
肩こり・腰痛もある。

全般的な不調が何とかならないかと娘さんからの紹介で、鍼灸を希望して来院。

治療方針

不安/落ち込みが土台にあり、太ももの冷えというカラダのイレギュラーな反応が出ていることは、気血(とくに血)の虚が原因だろう。
同時に「気滞」もある。
そのバックボーンには、臓腑で言えば心・肝・脾胃の虚があるとみる。
全体からの補気血をしつつ、気の巡りを整える方向で臨むことにする。

治療と経過

1回目。
「中脘」「関元」に温灸。「合谷」「内関」「神門」「復溜」「太衝」「三陰交」に置鍼。「足三里」にお灸。足にホットパック。「肩こりの局所」に単刺。「風池」「心兪」~「大腸兪」辺りの反応穴に置鍼。
2~4回目(1週間に1回ペース)
1回目に準じた施術内容を継続。
気温の低下する時期とも重なり2回目3回目くらいには太もものゾクゾク感は変化しない(若干悪化)だったが、4回目辺りから気にならない時期が増えてくる。
5~23回目(1週間に1回ペース)
太もものゾクゾク感はほとんどなくなり、同時に不安感も減少する。
仕事が立ち仕事でもあり、腰痛や肩こりの方が目立ってくる。
また元々の不眠(寝つきが悪い)も目立ってくる。
首肩こりや腰痛の部位にはパルス鍼を併用したり、お灸や円皮鍼を貼ったりと多少のアレンジ。
回数を重ねるごとに少しずつ改善を実感。
肩こり腰痛もコリはあるがツラくない、というほどになる。

ある程度の改善があったので、これで鍼灸は終了とする。

同時に治療した症状

・肩こり
・腰痛
・不眠
・冷え

まとめ

生活の変化(同居の娘の結婚・コロナ自粛など)により、孤独感と不安感が増し自律神経が失調したケース。
血虚と気滞からくる症状とみて刺激量は抑えつつお灸を多めに施術。
不安の改善や自律神経系が整って以降は、元々ある首コリや腰痛が気になって鍼灸治療を受けていた。
一定の改善がみられたので、患者さんの意思で鍼灸治療は終了とした。

ある程度良くなっても、本来は少し長期的に継続治療(間隔はあけてもよいので)をやっていくのが良い。