ガン患者の何に鍼灸は使われてるか?そして効果は?
緩和ケア現場での鍼灸の実践結果
ガン治療は病院が主役、つまり西洋医学が主役です。
その主軸となるのは、手術・抗がん剤・放射線の三大療法でしょう。
新薬の開発・副作用をやわらげる方法の多様化・検査機器の進化など複数の理由があいまって、ガン治療の成績も少しずつは改善されてきているようです。
そうは言ってもまだまだ多くの方が悩まれる病気ですし、先の三大療法は体への負担が大きい治療です。
現在、緩和ケアは病気が分かった段階から介入した方が効果があると言われています。
必要以上の痛みやストレスを緩和する方向性は、早期だろうが末期だろうが必要なことだと考えます。
建前通り治療部門と緩和ケア部門の連携が上手くいっているのかは分かりませんが、鍼灸はどちらかと言うと「西洋医学の攻撃的な治療での負担や薬などでは取り切れない苦痛」に対して行うとよいと考えます。
今回は鍼灸専門誌に緩和ケア特集が載っており、そこで緩和ケア病棟で鍼灸を行ったケースをまとめた報告があったので紹介します。
『鍼灸OSAKA(131号)』(森ノ宮医療学苑出版部)
「高齢者ケア・緩和ケアに適した鍼灸治療」(篠原昭二)
【概要】
・患者数:75名
・年齢:71.5±12.6歳
・傷病名:大腸がん・乳がん・肺がん・食道/胃がん・膀胱がん・腎がん・舌/咽頭がん・卵巣がん・肝がん・膵がん・悪性リンパ腫・悪性神経性膠腫・葉状腫瘍・胃潰瘍
・悩み事:合計113例(複数回答あり)
痛み61例・全身倦怠感9例・呼吸苦3例・しびれ9例・腸管/蠕動不全10例・むくみ3例・そのほか18例
・結果:著効35例・有効32例・やや有効27例・無効/不明19例(悪化事例はゼロ)
当院の考察
鍼灸単独でガンそのものが治るわけではありません。
この論文も「ガンそのものに対しての鍼灸」ではなく「ガンを患っているからこその体のツラさに対しての鍼灸」です。
悩まれている内容としては「痛み」「だるさ」「しびれ」「便秘」が多いですね。
そういったものに対して鍼灸の成果は著効~有効が半数を超えています。
素晴らしい結果です。
鍼灸には鎮痛作用や腸の動きを良くする作用・血流促進などがありますので、そういった作用が奏効していると考えます。
もちろん、この論文で書かれたものと同じ結果がどこでも出せるわけではありません。
鍼灸は技術的な要素が強いので、やはり鍼灸師ごとの差は出ます。
でも、少なくとも鍼灸には上記のような症状に良い効果が出せる、ということだけでも知っていただきたく紹介しています。
実際、鍼灸はまだまだ病院では取り入れられていません。
そうすると街の鍼灸院(か往診)で施術を受けることになります。
病院で受けている治療以外に、何か他にもできることがないかと思っていらっしゃれば東洋医学(鍼灸)がありますので活用ください。
当院も主に院内で施術を行っています。
通院できる人が対象にはなりますが、抗がん剤の副作用(しびれ・ダルさ・痛み)などに対して施術させていただいております。
施術のメニューは「鍼灸」をメインで行っております。
やはり継続することで効果を出すものですので、まずは「なにか良さそうだ」「気持ち良い」と思っていただけるかどうかを試していただければと思います。