薬で効き目の悪かった気管支喘息に鍼灸が有効との研究
薬で効き目の悪かった気管支喘息に鍼灸が有効との研究
以下のような場合は気管支喘息が疑われます。
・たばこは吸わないのに咳が出る。
・アレルギー体質である。
・小児喘息があった。
・気管支拡張薬の吸入で楽になる。
・家族に気管支喘息の人がいる。
また以下のような場合は咳喘息が疑われます。
・風邪のあとに咳だけがいつまでも残る。
・8週間以上慢性的な空咳が続いている。
・気管支喘息のような喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や呼吸困難を伴わない。
・気管支喘息にも使用する気管支拡張薬の吸入で楽になる。
喘息の人の気道は、症状がないときでも常に炎症をおこしており、健康な人に比べて気道が狭くなって空気が通りにくくなっています。
炎症がおこっている気道はとても敏感になっていて、正常な気道ならなんともないホコリやタバコ、ストレスなどのわずかな刺激でも狭くなり、発作がおきてしまいます。
喘息の治療は、発作をおこさないための気道炎症の治療が中心となります。
主に治療に使われるのはステロイド薬と気管支拡張薬です。
このように薬の治療で改善すればよいのですが、薬の効果が悪い人もいます。
そのような人に鍼灸を活用することで改善させることができるという研究を紹介します。
『気管支喘息に対する鍼治療の臨床的効果の検討』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/56/4/56_4_616/_article/-char/ja
【概要】
副腎皮質ステロイド薬を含む薬物治療の使用においてもコントロール不良であった気管支喘息患者6症例に対して鍼治療を行い効果を検討した。
薬物治療を行っても喘息発作が十分に改善しなかった喘息患者に、「鍼治療期間 (A期間)」 と「鍼治療休止期間 (B期間)」 を交互に繰り返した。
A期間は10週間とし、1週間に1回の鍼治療を行った。
結果、A期間に一致して全例で喘息発作や呼吸困難感の改善が認められた。一方、B期間では6例中5例において喘息発作の再燃が認められた。
また喘息発作の改善に伴い、全例で重症度の改善も認められ、6例中4例でステロイド薬の減量が可能となった。
結論。薬物治療でコントロール不良であった気管支喘息患者に対して、鍼治療を行った結果、患者の喘息発作、自覚症状、呼吸機能の改蓄に有効であったと考えられた。
当院の考察
クスリ治療の効き目が悪かった気管支喘息の方に鍼灸をしたところ、鍼灸を続けている期間は発作や呼吸困難がラクになり、2/3の方は薬の量も減らせたとのこと。
鍼灸がどうして効くのかと言えば、ひとつは「自律神経を通じた気管支拡張作用があること」で、もうひとつは「炎症作用を起こす血球を減らす作用」があることが分かっています。
ひとつめは、ツボへの刺激が脳にある自律神経をつかさどる部位に届き、そこから気管支の拡張を促すという仕組みです。
ふたつめは、鍼刺激が気道の炎症を引き起こす好酸球の数を減少させることが分かっています。
ただし鍼灸も即効的に効くわけではありません。
今回の研究でも「1週間に1回の鍼治療を10週間」ですので、やはり2~3ヶ月の継続治療が有効と言えます。
継続することで効果につながります。
また当院では、このような現代医学的知見も有効に活用しますが、ツボの選び方や道具の選択や刺激の量などは、伝統的な東洋医学的な観点で行っています。
それが一番鍼灸のチカラを発揮させられると考えるからです。
脈・舌・腹などの東洋医学的なカラダのチェックやカウンセリングから、東洋医学的な見立てをして、それに則ってツボを選び刺激をします。
現代医学的にはまだまだ分かっていない鍼灸の効果効能を、東洋医学的手法では十全発揮させられるのです。
病院での治療とあわせて「他にも何でもできることをしたい」と考えていらっしゃれば、鍼灸も試してみてください。
お待ちしています。