糖尿病性の足のしびれや異常感に鍼が有効
糖尿病性の足のしびれや異常感に鍼が有効という論文
糖尿病が怖い病気だと言われるのは、合併症があるからです。
その代表例は以下にあげるようなものです。
1)網膜症
高血糖が続くと網膜の毛細血管に障害が起きます。
進行すれば失明の原因になります。
2)神経障害
高血糖が続くと神経の働きが障害されます。
例)足のしびれ・冷え・つる・感覚低下
3)腎症
高血糖が続くと腎臓の機能に障害が起き、最終的には人工透析が必要になります。
4)動脈硬化
高血糖が続くと動脈硬化が進みます。
今回はこの中の、足のしびれや違和感に鍼灸がどう作用するのかを調べた論文を紹介します。
『糖尿病性末梢神経障害による両下肢感覚異常に対する鍼治療の効果』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/60/7/60_489/_article/-char/ja/
【要約】
3ヶ月以上の糖尿病性の両足の神経障害(ジンジン・しびれ・痛み・異常感覚など)がある患者に対する鍼治療の効果について検討した。
治療は、1週間に1回の頻度で合計7回の鍼治療を行った。
初回は置鍼のみとし、2診目からは低周波鍼通電治療を15分間行った。
治療部位は下腿に位置する経穴、陽陵泉(GB 34)―太衝(LV 3)・陰陵泉(SP 9)―太渓(KI 3)の計4箇所とし、左右に行った。
結果、鍼治療後に「しびれの自覚症状」に有意な改善が認められた。
また,こむら返りの回数についても鍼治療を行ったことで、有意な改善が認められた。
以上のことから、鍼治療は副作用も少なく、一定の効果が期待できる為、糖尿病性神経障害を有する患者の治療法の一つとして有用な手段となりうることが示された。
当院の考察
鍼灸の効能は「痛みを緩和する」「血流を良くする」「神経系を整える」ことにあります。
今回の足のしびれや違和感は、まさに「血流」「神経」が絡んでいますので、鍼灸が効果を出せるつらさだと考えます。
実際に論文内で、患者さんの自覚症状が改善しています。
これは糖尿病が鍼灸単独で改善すると言っているわけではありません。
糖尿病という足のつらさの原因はなくなりません。
病院での経過観察や投薬もまた大事なケアになってきます。
同じことは抗がん剤の副作用で起こる足のしびれにも言えます。
薬の副作用で血流が悪くなり神経系に不調が出ている訳です。
原因は糖尿病と抗がん剤使用と異なれど、つらさの仕組みが同じなので、鍼灸で効果を出せます。
糖尿病は他にも合併症が起こり得ますのでしっかりケアをしてほしいです。
病院での治療・生活習慣、そして鍼灸です。
鍼灸は、糖尿病対策の総合チームの一員としてお役に立てます。