メニエールにおける鍼治療に根拠はあるか?
メニエールにおける鍼治療に根拠はあるか?
メニエール病の鍼について調べた研究を紹介します。
『メニエール症候群治療における鍼治療の根拠探究』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19505974
【概要】
メニエール症候群に対して、エビデンス(科学的証拠)を根拠に治療決定を行うため、メニエール症候群の鍼治療の各種論文の調査を行った。
6つのデータベースから、英語と中国語の体系的レビューを集めた。
結果、27件の研究があった(英語では9件、中国語では18件)。
これら研究では、通常の身体への鍼・耳鍼・頭皮鍼・お灸などが行われていた。
研究の質はさまざまだった。
急性または慢性のメニエール病患者に鍼治療を行うべき科学的証拠があるか調べた。
全体的な結論は、(急性期でも慢性期でも)メニエール病患者への鍼治療には効果があることが確認できた。
ただし、中国での研究結果を西洋へすんなり移転できるかどうかは確認が必要である。
また、鍼治療の適切な頻度および回数を明確にするため、さらなる研究も必要である。
事前に鍼治療のツボの配穴を明確にすることも重要である。
中国医学における長い歴史的伝統を考慮すると、鍼灸を調べるには中国語での研究調査の重要性を示している。
「治療方法」
各研究で用いられた施術の回数・治療期間は統一されていなかった。
2つの対照試験では「1日1回の鍼治療を10日間」行っていた。
別の研究では「治療の回数と頻度についての示唆はなかった」。
さらに別の研究においては「患者は症状緩和まで治療を続けた」。
研究の全体にわたってでは、「1日1回」で「最大10回コース」の治療が一般的であった。
当院の考察
メニエール症候群に対して鍼灸が効果ある、と言えそうだという結果でした。
治療方法やツボ選びなどは各研究によって大きく異なることが予想されます。
それは実際の鍼灸治療が施術者ごとによって異なる「技術・ウデ」の世界だからです。
ですので本来、大人数を一律に治療しての成果を、数値で表すような研究には不向きと言えます。
そういったばらけた研究情報を27件集めて総合した結果が「効果あり」ということで信用してもよいと考えます。
※今後もまだまだ検討課題があるし、今までの研究が絶対と言うわけではありませんよ…。
当然、鍼灸だけでなく病院での治療も重要と考えます。
そのうえで、病院での治療で効果が出づらかったり、それ以外にも何かもっとないかと思っていましたら鍼灸をおススメします。
鍼灸を選んでいただく際に大事な事をいくつか挙げます。
●全身治療
「メニエール病にはこのツボ!」という特効穴のようなものはありません。
めまいや難聴・耳鳴りなどメニエール病のつらさを改善させるためにも、カラダ全体からその人に相応しいツボをセレクトする必要があります。
その方が、結果として早く改善します。
●継続治療
1回2回の施術で大きく改善するとは考えないでください。
急性・慢性で違いはありますが、基本的には「週1回の施術を3ヶ月間」くらいのつもりで始めて欲しいです。
ただし、その人に本当に相応しいペースなどは、身体を拝見しないと提案できませんので、1回目の施術後にお伝えしています。
●日常生活の見直しも
ストレスや疲れが原因で起こるメニエール病では、やはり日常の生活習慣の見直しも大事になります。
睡眠・食事・過労ストレス管理など…。
鍼灸院での治療と日常生活改善の両輪でいち早く改善していきます。
以上を参考に、ぜひ鍼灸も活用ください。
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