末梢性めまいに鍼灸が有効との研究
メニエール病など末梢性めまいに鍼灸が有効との研究
「めまい(眩暈症)」には脳に原因がある「中枢性」とそれ以外の場所が原因の「末梢性」があります。
末梢性めまいの原因は内耳という場所が主です。
この内耳の病気の代表的なものとして「メニエール病」があります。
ぐるぐる回るめまい(回転性)、耳鳴り、難聴(低い音が聞きにくい)を起こす病気です。
ある特定の方向に頭を傾けたときにだけ起きるめまいは「良性発作性頭位眩暈症」と呼びます。
「めまい」はストレスや疲労、自律神経失調が原因になるといわれています。
例えばメニエール病への病院での治療としては、薬を飲む事も出来ない強い発作時はめまい止めの点滴を行います。
薬が飲めれば、めまい止め・利尿剤を中心に抗不安薬や循環改善薬・ビタミン剤などを組み合わせて使用します。
「めまい」は病院で原因をしっかり確認する必要があります。
そのうえで、末梢性めまいと診断され、なおかつ薬での治療でもあまり改善が芳しくないこともあります。
そのような方に鍼灸を試みた研究があるので紹介します。
『眩暈症に対する鍼灸治療の効果』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/59/2/59_2_291/_article/-char/ja
【概要】
西洋医学的治療で治癒困難であった末梢性眩暈症患者7例に対し鍼灸治療を行い臨床的効果を検討した。
観察期間は平均9ヵ月、平均年齢44.7歳であった。
効果は治癒・軽快・不変・悪化の4段階とした。
鍼灸施術後、治癒1例,軽快5例,不変1例であり85%に有効性を認めた。
無効例を1例に認めたが悪化するものは認めず,鍼灸治療による副反応は認めなかった。
難治性の眩暈症に対して鍼灸治療は一定の効果を示したことから前治療として抗眩暈薬等の西洋医学的治療が無効の症例では代替治療として本鍼灸治療を施行することで治療効果が期待できる。
「施術方法」
腎経(足の経穴)を重視しつつ、脾経(足の経穴)・少海・後渓・承山・飛陽・跗陽・曲沢・内関・膝関・曲泉の硬結・浮腫・陥凹・冷えの有無を確認して取穴。
寸3-1番デイスポ鍼で接触鍼または置鍼。
陥凹や冷えには棒灸。
施術回数は、平均9ヵ月間で24回。
当院の考察
メニエール病などの末梢性めまいに鍼灸が有効であったという結果でした。
しかも、病院での治療が上手くいっていないケースでの結果なので、より鍼灸活用の意義の証しになります。
(※論文で指摘があるようにもちろん、施術した患者さん数が多くないので一般性があるかどうかまでは言えませんが、少なくとも「鍼灸を試してみても良い」一つの材料足り得ると考えます。)
メニエール病などは自律神経失調と関連が深いとされています。
鍼灸は自律神経を整える作用が強くありますので、そこと「合う」のだと考えられます。
使用しているツボも、リラックス作用のあるツボが多く使われています。
施術期間が平均9ヵ月ということで、やはりある程度の継続治療が必要なこともわかります。
病院での治療が効果的でなかったケースですので、鍼灸でも即効で改善というわけにはいきません。
鍼灸を試す際は、少し腰を据えて取り組まれることをおススメしたいです。
どの程度の頻度と期間が必要になるかは、その人も状態や体質などにより異なります。
当院でしたら初回にその辺もご提案します。
めまいは心理的にもツラいものです。
ぜひ鍼灸をうまく使ってみてください。
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