頭痛薬が効かない緊張型頭痛に対する鍼灸の効果
鎮痛剤が効かない緊張型頭痛に対する鍼灸の効果
緊張型頭痛とは、頭の両側が締めつけられるような頭痛が数十分~数日間ダラダラと続くタイプの頭痛です。
片頭痛のように、前兆や悪心・嘔吐などはなく、動いてもひどくはなりません。
緊張型頭痛のなかでも、「反復発作性緊張型頭痛」とは平均して1ヵ月に1回(始まると数十分~数日間続く)の頻度で起こる頭痛で、「慢性緊張型頭痛」は平均して1ヵ月に15日以上(年間180日以上)の頻度で起こる頭痛です。
それぞれのタイプの緊張型頭痛に鍼灸がどう効果を出すかを調べた研究がありますので紹介します。
『薬剤で期待すべき効果の得られなかった緊張型頭痛に対する鍼治療の臨床的効果』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/33/3/33_480/_article/-char/ja
【要約】
1ヶ月以上薬物療法を行い効果の得られなかった「反復発作性緊張型頭痛」と「慢性緊張型頭痛」の患者に分ける。
それぞれに鍼治療を行い,痛みの自覚評価が50%以上改善したのを有効として,両群の治療回数・期間について検討した。
結果、「反復発作性緊張型頭痛」の有効率80.1%、「慢性緊張型頭痛」の有効率59.9%であった。
反復発作性緊張型頭痛の方が治りやすかった。
回数・期間は、「反復発作性緊張型頭痛」で2.8回(14.9日間),「慢性緊張型頭痛」で8.9回(35.9日間)であった。
「反復発作性緊張型頭痛」は,鍼治療を3回(または2週間)継続する必要性が示され、「慢性緊張型頭痛」は,鍼治療を9回(または5週間)継続する必要性が示された.
【治療方法】
天柱・風池・完骨・肩井・膏肓・肩外兪に置鍼または鍼通電を10~15分。
当院の考察
緊張型頭痛は首から肩・背中のコリとも関係があります。
筋肉のコリや緊張は血流とも関連しています。
血流が悪いことで、筋肉細胞がこり固まっている状態です。
それが頭痛の原因になるのですから、コリをほぐし・血流を良くすることが求められます。
頭痛薬はそういう作用で効くのでなく、神経的に痛みをブロックする作用ですので根本的な改善とは言えません。
鍼灸は、頭痛薬のように即効的に痛みをブロックするわけではありません(※鎮痛作用もあるけど劇的には効かない)。
その代わり、首肩のコリをほぐし、血流を改善することで痛くなりづらい環境を作っていくのが目的になります。
今回の研究でも首・肩・肩甲間部のツボが選択されています。
あくまで「頭痛になりづらいカラダづくり」が目的ですので、少し継続的な治療が必要です。
それが今回の結果にも出ています。
少なくとも2週間~1ヶ月程度(3~8回程度)の治療を受ける必要はあるという結果でした。
これも普段の当院の経験でも実感できます。
慢性の頭痛にはやはりある程度の継続治療が有効です。
反復発作性と慢性緊張型頭痛の差ですが、頭痛が起きる回数が多いことから慢性緊張型頭痛の方が血流やコリなどがひどいことが予想されます。
その分の治療回数(と治療期間)が必要になるのだと推察されます。
厳密にタイプを分けないまでも緊張型頭痛の患者さんには、当院では2~4週間で5回程度の治療をお勧めします。
(※その人の状況によって異なりますので初回に治療計画をご提案しています)
日常生活の中では、薬で抑えるべきは抑えつつ、根本的なアプローチとして鍼灸を活用してみてください。