痛み
痛みに鍼灸はすぐ効くか?の研究
痛みに鍼灸はすぐ効くか?の研究
鍼治療は、世界的に見れば「痛みの治療」に使用されることが多いです。
もちろん日本でも同様なのですが、日本では整形外科疾患(頭痛・膝痛・腰痛など)に偏って使用されている向きがあります。
今までの世界中の研究では、「慢性疼痛の治療」に鍼治療が有効であるという重要なエビデンスはあります。
現在までに80以上の系統的レビューが、痛みの軽減における鍼治療および関連療法の役割を評価するために実施されています。
しかし、これらの体系的なレビューの結果は、全て同じ結果にはなっていません。
たとえば、大多数のレビューでは、腰痛と変形性膝関節症の痛み軽減の鍼治療には肯定的な結果を報告しています。
また2つの最近の体系的レビューでは、がんに関連する痛みの軽減における鍼治療の有効性に肯定的な結果を報告しました。… 全文を読む
慢性頭痛の治療に鍼灸を加えるメリット
慢性頭痛の治療に鍼灸を加えるメリット
慢性頭痛への治療は、β遮断薬・抗うつ薬・抗けいれん薬などの予防薬の組み合わせや、頭痛発作が出た場合はトリプタンや非ステロイド性抗炎症薬などを使って継続的に治療することが必要な場合が少なくありません。
ただし、必ずしもすべての頭痛が薬でコントロールできるわけではありません。
診断が不完全であったり間違っていたりなどの理由で薬物療法が不十分であったり、その他の要因で投薬治療が失敗することもあります。
クスリ以外の治療手段を増やすのは有効と考えられます。
鍼治療は、頭痛を含む多くの「痛みの治療」において長い歴史を有しています。
その有効性は、主に頭痛(とくに片頭痛および緊張型頭痛)において研究されています。
鍼治療は、投薬の必要性を減らし・頭痛を減らすとコリをほぐし・脳内鎮痛物質を増やし・自律神経を整え・ストレスを緩和をもたらすと結論付けられています。… 全文を読む
鍼灸はなぜ痛みを緩和させるのか?(下行性抑制系)
鍼灸はなぜ痛みを緩和させるのか?
鍼灸(=東洋医学)の世界は、現代西洋医学的に解明されていることと不明なことに分かれています。
開拓途上、と言ったところ。
(※西洋医学的に開拓されなければいけないわけでもないとも考えますが…)
実際の施術の際、患者さんに「気の働き」や「経絡のありよう」を熱く語ってもなかなかピンと来てはいただけないので、どうしても西洋医学的な解釈モデルを簡便に話します。
今回のお題は「鍼灸がなぜ痛みを緩和させるのか?」
…そんな話を、書いてみようと思います。
鍼灸施術には「鍼の響き」「灸の熱感」など、ズーンとした重だるさやチクっとした熱さのような特有の感覚があります。… 全文を読む
膠原病への鍼灸の効果
膠原病への鍼灸の効果
膠原病は、現在、西洋医学でもとても難しい病気です。
やはり東洋医学(鍼灸)でもそれは変わりません。
ただ、病院での治療を受けていて、他にもっとできることはないかと考えた時に鍼灸は選択肢になり得ます。
病院(西洋医学)とは全く違ったアプローチですので、試す価値があると考えます。
「鍼灸が膠原病に影響を与えられるのか」を調べた論文がありますので紹介します。
『血管病変に対する鍼灸治療の臨床的効果』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/53/1/53_1_43/_article/-char/ja… 全文を読む
頭痛薬が効かない緊張型頭痛に対する鍼灸の効果
鎮痛剤が効かない緊張型頭痛に対する鍼灸の効果
緊張型頭痛とは、頭の両側が締めつけられるような頭痛が数十分~数日間ダラダラと続くタイプの頭痛です。
片頭痛のように、前兆や悪心・嘔吐などはなく、動いてもひどくはなりません。
緊張型頭痛のなかでも、「反復発作性緊張型頭痛」とは平均して1ヵ月に1回(始まると数十分~数日間続く)の頻度で起こる頭痛で、「慢性緊張型頭痛」は平均して1ヵ月に15日以上(年間180日以上)の頻度で起こる頭痛です。
それぞれのタイプの緊張型頭痛に鍼灸がどう効果を出すかを調べた研究がありますので紹介します。
『薬剤で期待すべき効果の得られなかった緊張型頭痛に対する鍼治療の臨床的効果』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/33/3/33_480/_article/-char/ja
【要約】… 全文を読む
機能性月経困難症と鍼灸
月経困難症とは
生理痛がひどくて起きていられず、学校や仕事に行けないなど日常生活に支障をきたすほどのつらさの場合を「月経困難症」といいます。
おもな症状は、生理中の下腹部痛、腰痛、背中の痛み、頭痛、吐き気などです。
便秘や下痢、寒気や発熱、貧血を伴うことや、憂うつなど様々な症状を感じる場合もあります。
生理痛に関して、痛みや不快感がある人は7~8割にものぼると言われています。
そのなかには子宮筋腫や子宮内膜症などの病気があって起こる「器質性月経困難症」と、はっきりした原因のない「機能性月経困難症」とに分けられます。
前者は30代以降の女性に多く、後者は年齢の若い女性に多いという特徴があります。
「月経困難症」には、「器質性」のようにつらさを引き起こす別の病気が原因の場合もあるので、生理痛などの症状がある人はまずは婦人科の病院に相談することをおすすめします。… 全文を読む
鍼を刺すとなぜ痛みが和らぐのか?
鍼治療の局所鎮痛の仕組み
鍼治療に鎮痛効果があることは長く言われてきました。
「EBM(証拠に基づく医療)」が重要と言われるなかで、鍼の局所の鎮痛が現代医学的にどのような仕組みで効果を発揮するのかは分かっていませんでした。
もちろん、仕組みは定かではない状況でも、世界中で鍼治療は行われていますので、我々鍼灸師は「経験的に効果が認められていることがイコール実践の根拠」としてきました。
私のような一介の鍼灸師にとっては「日々の実践で効果があることが大事」ですので、それ以上のうんちくはなくてもよいのですが、最近の知見で局所の鎮痛がなぜ起こるのかは分かってきているので、紹介します。
鍼の局所鎮痛に関する論文
『鍼刺激による局所鎮痛にアデノシンA1受容体が関与している… 全文を読む
オピオイド中毒と鍼灸治療
オピオイド中毒の問題
オピオイドとは強い鎮痛作用のある医療用麻薬です。
米国では、この鎮痛剤の過剰摂取で2万人以上が死亡しています(2015年)。
依存症患者も200万人いるとみられています。
医療用麻薬の歴史を簡単に書くと、原料はアヘンでした。
製薬会社はアヘンからさまざまな鎮痛剤(オピオイド系鎮痛剤)を開発していきました。
1804年にはモルヒネ、1832年にはコデインが作成され、1874年にはヘロインもつくられました(最初は鎮咳薬として販売されたが、のちに違法薬物に)。その後も各種オピオイド系鎮痛剤がつくられていきました。
90年代に入り米国では「米国人は不要な痛みに苛まれている」ことの害が強く訴えられ、その対処方法としてオピオイド系の鎮痛薬の使用が飛躍的に増加しました。… 全文を読む