夜寝ていられない腰痛の鍼灸症例

夜寝てられないツラい腰痛への鍼灸治療

腰痛症例2:夜寝ていられない腰痛|鎌ヶ谷市(新鎌ヶ谷)鍼灸院

「夜中に腰が痛くて目が覚めてしまう」「朝起きると腰が重くて一日が憂鬱…」。

このような腰痛に悩まされている方も少なくありません。
とくに、夜間の腰痛は睡眠不足を招き、日中の活動にも支障をきたすため、生活の質を著しく低下させます。

今回ご紹介する症例は、長年の腰痛に苦しんでいた20代の患者さまの症例です
彼女は当院の鍼灸治療を通して、長年の痛みから解放され、快適な睡眠と活動的な日々を取り戻しました

これをお読みになり、鍼灸治療が慢性的な腰痛にどのように効果を発揮するのか、その可能性を感じていただければ幸いです。

患者さまについて

年齢・性別:
20代女性

主訴:右腰の痛み。時々右足に電気の走るような痺れを伴う。

鍼灸院に来るまでの経緯:
7~8年前に運動部の部活動で腰を痛めたのが始まり。
病院では湿布とリハビリを勧められるも、症状は改善せず。

その後、2年ほど前から慢性的な腰痛に移行。
同じ姿勢での座り仕事や、夜間の睡眠中に痛みが強くなり、目が覚めてしまうほどであった。

半年前からは右足に電気の走るような痺れも出現し、不安を感じていた。
他院での整体治療を受けたが、効果は得られなかった。

真面目な性格で仕事熱心。責任感が強く、常に「頑張らなければ」という思いが強い。

東洋医学的考察

東洋医学では、痛みは「不通即痛(ふつうそくつう)」、つまり「流れが滞ることで痛みが生じる」と考えます。

今回の患者様の場合、長年の腰痛に加え、夜間に症状が悪化することから、以下のように考えました。

腎虚(じんきょ):
東洋医学でいう「腎」は、西洋医学的な腎臓の機能に加え、成長・発育、生殖、水分代謝、骨や関節の健康などを司ると考えられています。
年齢的に若いながらも慢性的な腰痛を抱えていることから、下半身を支える「腎」の機能低下、すなわち「腎虚」が根本原因の一つとして考えられました。

血瘀(けつお):
夜間は身体の活動が低下し、血流が滞りやすくなります。
この患者様は夜間に痛みが強くなることから、血行不良、すなわち「血瘀」が腰痛を悪化させている要因と考えられました。
過去の怪我の影響も、血流の滞りを引き起こしている可能性があります。

気滞(きたい):
患者様の真面目な性格や「頑張らなければ」という強い思いは、気の巡りを滞らせる「気滞」を引き起こしている可能性がありました。
「気」は血を巡らせる原動力となるため、気の滞りは血流の滞りにも繋がり、痛みを増強させます。

これらの考察から、この患者様の腰痛は、根本的な「腎虚」を背景に、「血瘀」と「気滞」が複合的に関与していると判断しました。

治療方針

上記の東洋医学的考察に基づき、以下の治療方針を立てました。

補腎益精(ほじんえきせい):
「腎」の機能を補い、生命エネルギーを充実させることで、腰痛の根本原因にアプローチします。

活血化瘀(かっけつかお):
血流を促進し、滞った血を解消することで、痛みを緩和します。

疏肝理気(そかんりき):
気の巡りを整え、精神的な緊張を和らげることで、痛みの緩和と心身のリラックスを促します。

これらの治療方針を実現するために、鍼灸治療を中心に、必要に応じて棒温灸や電気鍼を併用することとしました。
また、治療中は患者様がリラックスできるよう、心地よい空間と丁寧なコミュニケーションを心がけました。

治療経過

1回目:
仰向けで、腹部の硬い部分への棒温灸とお灸をしました。「曲池」、「三陰交」、「右陽陵泉」、「太谿」に置鍼をしました。
うつ伏せで、背部のツボ(「心兪」「肝兪」「脾兪」あたり)への置鍼と棒温灸をし、「腰の痛む部位」へのパルス鍼(電気鍼)と円皮鍼を行いました。

治療後、体が温まり、腰回りが楽になった感覚があったとのことでした。

2回目(1週間後):
足の痺れは消失していました。
腰の痛みも軽減していました。
前回と同様の治療を行いました。

3・4回目(1週間に1回ペース):
足の痺れはその後も出現せず。腰の痛みも徐々に範囲が狭くなり、日常生活での支障も少なくなってきました。

その後:
腰痛の根本的な改善と再発予防のため、2~3週に1回のペースで継続治療を提案しました。
また、日常生活での腰痛ケア(適度な運動、正しい姿勢の保持、身体を温めることなど)についてもアドバイスを行いました。

使用した主なツボとその代表的な効果

曲池(きょくち):
血流を促進し、痛みを緩和する効果があります。

三陰交(さんいんこう):
婦人科疾患、冷え、むくみなどに効果があります。下半身の血流を改善し、腰痛にも効果を発揮します。

陽陵泉(ようりょうせん):
筋肉や関節の痛みに効果があります。

太谿(たいけい):
「腎」の機能を高め、腰痛、冷え、足のむくみなどに効果があります。

心兪(しんゆ)、肝兪(かんゆ)、脾兪(ひゆ):
それぞれ心・肝・脾の背部兪穴。内臓の機能を調整し、全身の気血の流れを整えます。
とくに心兪は精神的な安定にも効果があります。

腰の痛む部位への局所治療:
電気鍼や円皮鍼を用いて、直接痛みを緩和します。

まとめ

今回の症例では、鍼灸治療が慢性的な腰痛に対して、顕著な効果を発揮することが示されました

東洋医学的な視点から原因を捉え、適切なツボを選択することで、痛みの緩和だけでなく、体全体のバランスを整え、根本的な改善を促すことができます。

この患者様は、比較的若い年齢で、他の疾患を併発していなかったこともあり、比較的早期に症状が改善しました。

しかし、長年の腰痛は体質的な要因も関係しているため、継続的なメンテナンス治療と日常生活でのケアが重要です。

当院では、患者様一人ひとりの症状や体質に合わせた丁寧なカウンセリングと施術を心がけております。

「長年の腰痛で悩んでいる」「夜も眠れないほどの腰痛がある」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
鍼灸治療を通して、皆様の健康と快適な生活をサポートさせていただきます。

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