胸水を抜いた後が痛むびわ温灸症例

肺がん治療後の痛みへのびわ温灸治療

肺がんの水を抜いた後の傷の痛み|鎌ヶ谷市(新鎌ヶ谷)の鍼灸院

現代医学の進歩は目覚ましく、がん治療においても様々な選択肢が提供されています。
しかし、治療に伴う副作用や後遺症は、患者様のQOL(生活の質)を大きく低下させる要因となります。

今回は、肺がん治療後に残る痛みに苦しむ50代女性の症例です

抗がん剤治療と並行して当院のびわ温灸治療を受けられたことで、痛みの緩和だけでなく、心身のリラックスにも繋がり、前向きに治療に取り組む力になった事例です

この記事を通して、東洋医学の可能性、とくにびわ温灸の温もりを感じていただければ幸いです。

患者さまについて

年齢・性別:
50代女性。

鍼灸院に来るまでの経緯:
9ヶ月前から左背部の肋骨付近に痛みを感じ始めました。
整形外科を受診するも異常は見つかりませんでした。

痛みが続くころに受けた健康診断で、胸水が発見されます。
詳しい検査の結果、肺がんと診断されました。

診断から2ヶ月ほど前から感じていた元の痛みに加え、胸水を抜いた後の傷の痛みも加わり、苦痛は増していました。

病院では抗がん剤治療を勧められ、「肋骨辺りの痛みは仕方ない」と言われたそうです。

最初に受けた抗がん剤は効果が薄く、再検査の結果、肺がんは腺がんと小細胞がんの混合型であることが判明しました。
幸い、肺以外の転移は見られませんでしたが、新しい抗がん剤治療を控えている状況で、痛みを何とかしたいという強い思いから当院にご来院されました。

東洋医学的考察

東洋医学では、痛みは「不通則痛(ふつうそくつう)」、つまり気血の流れが滞ることで生じると考えます。
患者様の症状を東洋医学的に考察すると、肺がんという病気自体が身体のエネルギーである「気」の巡りを阻害し、さらに胸水を抜いたことで局所の気血の流れが滞り、痛みを引き起こしていると考えられます。

また、季肋部(肋骨の下部)は肝経が走行する部位であり、精神的なストレスや抑うつ状態と関連が深いとされています。
患者様の場合、がんの診断や治療に対する不安や緊張が「肝うつ(かんうつ)」の状態を招き、痛みを増強させていた可能性も考慮しました。

治療方針

患者様はびわ温灸を希望されていたため、びわ温灸を中心とした治療を行うこととしました。

びわの葉には温性があり、温めることで血行を促進し、痛みを和らげる効果が期待できます。
また、びわの葉に含まれる成分には抗炎症作用や鎮痛作用があるとも言われています。

当院では、単に痛みを取り除くのではなく、心身全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることを重視しています。

そのため、季肋部とその裏面は肝の病理が出現しやすい場所と言われていることから、肝うつの改善も視野に入れ、疲れやコリなど、その都度の体調を丁寧に伺いながら、心身のリラックスを促す治療を行うこととしました。

治療経過

1回目:
初診時、表情は不安と緊張で硬く、痛みで身体を動かすのも辛そうでした。
仰向けで、「湧泉」「太衝」「足三里」「陽陵泉」「臍周辺」「合谷」「曲池」「内関」「季肋の痛む部位」にびわ温灸を行いました。
うつ伏せで、背部も「背部兪穴」と「痛む部位」に丁寧に施灸しました。

施術中は、びわの温かさと香りに包まれ、次第に表情が和らいでいくのが見て取れました。

2回目(1週間後):
前回と同様の施術を行いました。
「少し楽になった気がする」という言葉をいただきました。

3回目(1ヶ月半後):
前回のびわ温灸施術の数日後、病院で新しい抗がん剤治療を開始し、入院されていました。
そのため、3回目の施術まで間が空いてしまいました。
再会した患者の表情は以前とは全く異なり、明るく穏やかでした。

元の痛みの部位は最初の1/10程度にまで軽減していて、抗がん剤の副作用による疲れや食欲不振はあるものの「(びわ温灸を希望した)元の痛みがほぼ良くなったので、施術は今回で終了にします」とおっしゃい、一旦びわ温灸治療は終わりとしました。

使用した主なツボとその代表的な効果

湧泉(ゆうせん):
足の裏にあるツボ。全身のエネルギーを高め、足の冷えやむくみ、疲労回復に効果があります。

太衝(たいしょう):
足の甲にあるツボ。肝の気を巡らせ、精神的な緊張やイライラ、目の疲れなどに効果があります。

足三里(あしさんり):
膝の下にあるツボ。胃腸の働きを整え、消化不良や食欲不振、全身の倦怠感などに効果があります。

陽陵泉(ようりょうせん):
膝の外側にあるツボ。筋肉や関節の痛みに効果があります。

臍周辺(せいしゅうへん):
おへその周りを温めることで、全身の血行を促進し、内臓の働きを整えます。

合谷(ごうこく):
手の甲にあるツボ。鎮痛作用があり、頭痛や肩こり、便秘などに効果があります。

曲池(きょくち):
肘の外側にあるツボ。皮膚疾患やアレルギー症状、肩や腕の痛みに効果があります。

内関(ないかん):
手首の内側にあるツボ。精神安定作用があり、動悸や吐き気、不眠などに効果があります。

背部兪穴(はいぶゆけつ):
背中にあるツボで、各臓腑に対応しています。各臓腑の機能を高め、全身のバランスを整えます。

まとめ

今回の症例は、がんそのものの治癒は難しくとも、びわ温灸が癌治療後の痛み緩和に有効である可能性を示唆するものです

3回の治療で痛みが大幅に軽減しましたが、治療間隔が空いたことなどから、単純にびわ温灸だけの効果とは言い切れません。
しかし、治療を通して患者様の表情が明るくなり、前向きな気持ちで治療に臨めるようになったことは、びわ温灸が心身両面に与える影響と言えるでしょう。

当院では、痛みだけでなく、患者様の心の状態にも寄り添い、心身両面からのケアを大切にしています。
もし、がん治療後の痛みや副作用でお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度当院にご相談ください。

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