メンタル不調
メンタル不調とは
西洋医学では、「メンタル不調」は精神疾患や精神的な問題の総称として使われます。
うつ病、不安障害、適応障害など、気分や思考、行動に影響を及ぼす様々な状態が含まれます。
おもに脳の神経伝達物質（セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンなど）の働きが乱れることで、情緒や行動に変化が現れます。
原因はストレス、加齢によるホルモンバランスの変化、人間関係、生活習慣、遺伝的素因などが複雑に絡み合っています。
たとえば更年期を迎える50代女性では、エストロゲンの低下に伴う心身の不調が重なり、メンタルに影響を及ぼしやすくなります。
西洋医学での治療法は、主に精神療法（カウンセリングや認知行動療法など）と薬物療法（抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬など）が中心となります。
症状の種類や重症度に応じて、これらの治療法が単独または組み合わせて用いられます。
重症の場合には、休息や環境調整のために一時的な入院が必要となることもあります。
メンタル不調を放置するとダメな理由
メンタル不調を放置すると、症状が慢性化・重症化するリスクが高まります。
日常生活や社会生活（仕事、学校、人間関係など）に大きな支障をきたすだけでなく、不眠、食欲不振、頭痛、胃痛といった身体的な不調を併発・悪化させることも少なくありません。
さらに、アルコールや薬物への依存、希死念慮など、より深刻な問題に発展する可能性もあるため、早期に専門家へ相談し、適切なケアを受けることが非常に重要です。
心と体は表裏一体。
心の問題が体にも症状となることは、逆に言えば「体の方から心の問題へアプローチが可能」と言えます。
まさに鍼灸（東洋医学）は、体から心を整える治療です。
「病院（西洋医学）での治療以外にも何かできることがないか？」と考えた際には、鍼灸（東洋医学）も試してみてください。
東洋医学の強み｜自然治癒力を引き出す施術
西洋医学は、「症状を抑えること」が得意です。
例えば、頭痛なら痛み止め、炎症なら抗生剤といった具合に対処します。
一方、東洋医学は「症状の原因となる体質」に着目し、体全体のバランスを整える「体質改善」を目指します。
頭痛ひとつとっても、血流の滞り・冷え・ストレスなど原因はさまざま。
鍼灸は、その人に合ったツボを刺激し、本来の治る力を引き出します。
不調の原因は目に見える症状だけではなく、体の内側のバランスの乱れにあります。
例えるなら、私たちの体は、大河を流れる水のようなもの。
血液や気（エネルギー）が滞りなく巡ることで、健康という豊かな流れが保たれます。
しかし、ストレスや不規則な生活習慣によって、川のどこかに泥や石が溜まり、水の流れが悪くなってしまうことがあります。
それが体の不調として現れるのです。
鍼灸は、川の流れを整える水路の管理人のようなもの。
滞った部分を取り除き、スムーズな流れを取り戻すことで、体全体が元気に機能するように導きます。
東洋医学は、2千年の経験値を持つ体質改善の医学です。
鍼灸では「脈・舌・お腹」を診て、気・血・水の流れを察し、ツボ（経穴）に刺激を与えることで、全身の調和を取り戻します。
鍼灸とメンタル不調
東洋医学では、心と体は切り離せない一体のものと考えます。
東洋医学では「心身一如（しんしんいちにょ）」の考えに基づき、心と体は一体と捉えます。
メンタル不調は、単に脳の問題として捉えるのではなく、体内の「気（生命エネルギー）」、「血（血液）」、「水（体液）」の巡りの滞りや不足、そして「肝」「心」「脾」「肺」「腎」といった五臓の機能バランスの崩れが原因で起こると考えます。
五臓六腑では、とくに「心」「肝」「脾」のバランスが崩れた結果と考えられます。
「肝」は気の巡りに関係していますので、気の巡りが滞る状態（肝気鬱結）が起こると、イライラや抑うつ、不眠の原因になります。
「心」は精神活動に関係しているため、心の「血」が不足する状態（心血虚）が起こると、不安感や焦燥感が出やすくなります。
「脾」は消化吸収に関係しているため、冷えや疲労から脾のエネルギー不足状態（脾虚）が起こると、気力が出ず、思考力が低下することもあります。
東洋医学では、患者様一人ひとりの訴え、顔色、脈、舌、お腹などを詳しく観察し、現在の心身の状態を「体質（タイプ）」として弁別します。
メンタル不調に関連する代表的な体質（タイプ）には以下のものがあります。
■ストレスによる気の滞り（肝気鬱結）
■考えすぎや過労による心身の疲弊（心脾両虚）
■不安や不眠を伴う血の不足（心血虚）
■更年期などに多い潤い不足（陰虚火旺）
…などです。
治療は、この体質に基づいて、気の巡りを良くする、血を補う、体を温める、熱を冷ます、心を安らかにする、といった目的でツボや施術方法を選び、体全体のバランスを整え、心身の調和を取り戻すことを目指します。
メンタル不調に効く代表的なツボ(経穴)
体質（タイプ）別に効果的なツボがありますが、ここではメンタル不調に共通して効果の高いツボをいくつか挙げてみます。
■合谷（ごうこく）
手の甲にあるツボ。
万能穴。全身の気や血の流れをスムーズにし、痛みを和らげる効果があります。
とくに頭部や顔面の不調、精神的な緊張やイライラを鎮めるのに用いられます。
滞りを改善し、心身をリラックスさせる効果が期待できます。
■太衝（たいしょう）
足の甲にあるツボ。
「肝」の気の滞りを改善する代表的なツボです。
ストレスや怒り、不安、イライラといった感情のコントロールに関わり、気の巡りを円滑にすることでこれらの不調を和らげます。
合谷と合わせて「四関穴」と呼ばれ、全身の気の流れを整えるのに重要視されます。
■内関（ないかん）
手首の内側にあるツボ。
心や精神を安らかにする効果があります。
動悸、不安感、吐き気、乗り物酔い、不眠など、精神的な緊張やストレスに伴う様々な症状に有効です。
乱れた「神」（精神活動）を落ち着かせる働きがあります。
■膻中（だんちゅう）
胸の中央にあるツボ。
膻中は「気会（きえ）」とも呼ばれ、「気（エネルギー）」が集まる重要なツボです。
緊張や不安をやわらげ、気持ちを安定させる。胸のつかえ感や動悸を和らげるなど自律神経を整える効果があります。
以上はあくま代表的なツボです。
実際の施術の際は、患者さまの体質（タイプ）や症状によって、全身から最適なツボを選んで施術していきます。
パニック障害への鍼灸の論文・研究
国内外の研究でもパニック障害(不安障害)への鍼灸は有効性を確かめられています。
■薬物療法や認知行動療法で十分な効果がなかった不安障害のある患者を対象に、鍼治療を実施し、10週間の鍼治療により有意な不安軽減とさらに10週間後にも維持が認められたことを報告しています。
Randomised controlled trial on the use of acupuncture in adults with chronic, non-responding anxiety symptoms（Acupuncture Med, 2015）
■患者の不安を軽減することを目的とした鍼治療は、有益な効果があることを示唆しています。
Effectiveness of acupuncture on anxiety disorder: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials
当鍼灸院でも、あなたの不安障害・パニック障害を改善するために最大限の施術をさせていただきます。
メンタル不調鍼灸のよくある質問と回答
Q: 鍼灸で本当に気分が楽になりますか？
A: はい、多くの患者さまが「気持ちが軽くなった」「よく眠れた」と実感されています。
自律神経のバランスを整えることで心も穏やかになります。
「あなたの不調症状が“絶対”に治ります」と確定的なことは申し上げられませんが、鍼灸院では多くの患者さんの症状改善に成功しています。
西洋医学だけでなく東洋医学(鍼灸)との併用が効果的です。
Q: なぜメンタルの不調で体のツボを使うのですか？
A: 心と体は密接に繋がっていると考えます。
体の特定のツボ（経穴）は内臓の機能や気の流れと関連しており、これらのツボを刺激することで、体のバランスを整え、結果的に自律神経の乱れや感情の安定に繋がると考えます。
Q: 通う頻度はどのくらいですか？
A: 症状の重さによりますが、初めは週1回程度をおすすめします。
体の反応を見て徐々に間隔を空けていきます。
Q: どのくらいの期間続ける必要がありますか？
A: 症状の重さによりますが、通常は3か月ほどで体質の変化を実感される方が多いです。
Q: 鍼灸が不安改善にどのように役立つのですか？
A: 鍼灸施術は自律神経の調整とストレス軽減に効果的ですので、自律神経機能を整えてメンタル改善に役立ちます。
Q: 施術の頻度はどのくらいですか？
A: 施術の頻度は個別の状態によりますが、通常は週に1回が一般的です。
Q: 薬と鍼灸治療は併用できますか？
A: はい、薬と鍼灸治療は併用することができます。
ご不安な場合は医師の指示を仰いでください。
西洋医学的な治療と併用することで、お薬の効果を助けたり、副作用の軽減が期待できる場合もあります。
現在服用されているお薬は必ず問診時にお知らせください。
Q: 鍼やお灸は痛いですか？
A: いいえ、極力痛みを感じないよう心地よく施術します。鍼は痛くなく、お灸は心地よい温熱感が特徴です。
Q: 施術後はどのような状態になりますか？
A: 施術後は体が温まったり、リラックスして眠気を感じたりする方が多いです。
だるさや眠気は体が変化している好転反応の場合もあります。
施術後はお風呂を避け、ゆっくりお過ごしいただくことをお勧めします。
Q: カウンセリングや精神科への通院と併用できますか？
A: はい、併用は可能です。
専門医やカウンセラーの先生の治療と並行して、鍼灸では体の側面からメンタル不調へのアプローチを行います。
Q: 鍼灸の安全性はどうですか？
A: 鍼灸は安全で、国家資格を持つ専門家によって提供されます。感染症のリスクはほとんどありません。
Q: 鍼灸治療の副作用はありますか？
A: 通常、副作用はほとんどありません。治療後に軽い疲労感があることがあります。
安全性が高く、副作用の心配はほとんどありませんが、個人によっては軽度の赤みや内出血が現れることがあります。
Q: 鍼灸治療は保険が効きますか？
A: 申し訳ございません。当院の鍼灸施術は実費となります。
Q: どのようにして鍼灸の効果を最大限に引き出すことができますか？
A: 鍼灸治療の成功には生活習慣や食事の改善が重要です。鍼灸師がアドバイスします。
Q: 鍼灸治療の効果を感じるまでに時間がかかりますか？
A: 効果を感じるまでには個人差がありますが、通常は数回の治療後に改善を実感できることがあります。
初回の施術後から体調の変化を感じる方もいらっしゃいますが、持続的な改善のためには継続的な治療が必要です。
Q: メンタル不調以外の症状も同時に治療できますか？
A: はい、他の症状や不調も同時に治療できます。
肩こり・頭痛・便秘下痢・慢性疲労・ストレス・冷えなど、複数の不調に同時並行して治療します。
メンタル不調でお悩みの方へ院長より
深いお悩みの中にいらっしゃることと存じます。
ぜひそのお悩みが軽くなるお手伝いをさせてください。
25年の臨床経験を持つ院長が、あなたの話を丁寧に伺います。
東洋医学に基づいて心と体を読み解き、お一人お一人の体質（タイプ）に合わせた施術で、つらいメンタル症状にアプローチします。
自律神経の乱れやホルモンバランス、疲労やストレスによる気血の滞りを改善し、心地よい施術で心身の緊張を和らげます。
「病院以外で何かできることはないか？」「薬に頼らないで良くならないか？」「体質改善をしたい」
このようなご希望があれば、お一人で抱え込まずにご相談ください。
あなたの心と体が軽くなるよう、お手伝いします。
