鍼灸はなぜ痛みを緩和させるのか?(下行性抑制系)
鍼灸はなぜ痛みを緩和させるのか?
鍼灸(=東洋医学)の世界は、現代西洋医学的に解明されていることと不明なことに分かれています。
開拓途上、と言ったところ。
(※西洋医学的に開拓されなければいけないわけでもないとも考えますが…)
実際の施術の際、患者さんに「気の働き」や「経絡のありよう」を熱く語ってもなかなかピンと来てはいただけないので、どうしても西洋医学的な解釈モデルを簡便に話します。
今回のお題は「鍼灸がなぜ痛みを緩和させるのか?」
…そんな話を、書いてみようと思います。
鍼灸施術には「鍼の響き」「灸の熱感」など、ズーンとした重だるさやチクっとした熱さのような特有の感覚があります。
鍼やお灸が効いているサインだ、などと言ったりします。
これを現代医学的に言えば、鍼灸の刺激を「神経が感じている」わけです。
その部分をもう少し細かく説明します。
鍼灸の刺激は痛みや熱さの刺激です。
それら刺激は、皮膚や筋肉にあるセンサー(受容器)でキャッチされます。
そいつを「ポリモーダル受容器」と呼びます(センサーの名前です)。
そのセンサーが鍼灸刺激を感じて、それをセンサーにつながっている先の神経に伝えます。
「ポリモーダル受容器」は細い神経(Aδ線維やC線維ですがこの名前はどうでもいいです)につながっています。
それら神経は最終的には脳にまで通じてます。
痛み刺激(鍼灸の刺激)が脳にくると、脳は「痛みを緩和させる物質」を体に出して痛みを消そうとします。(一応その仕組みの名称を書いておくと、「下行性抑制系」や「広汎性侵害抑制調節」などと呼びます)。
痛みを緩和せる物質は「内因性オピオイド物質」のことで「脳内麻薬」などと呼ばれていますね。
(※人体に安全です。これまたとりあえず名前を挙げれば、βエンドロフィン・エンケファリン・ダイノルフィンなどです。)
『鍼灸する→刺激が脳に伝わる→脳から脳内麻薬でる→痛み和らぐ』
簡単に書くとこんな感じです。
ただし、「この仕組みだけ」で痛みをおさえている訳でありません。
これは複数ある仕組みのひとつ。
刺した場所でも別の鎮痛物資がでていたり、自律神経に作用し血流促進による鎮痛したりと、複数の仕組みが同時並行的に機能することで、効果になっています。
(※局所鎮痛の話は別にも書きました。)
まぁ一番最初に言ったように、現代医学的に解明されたもの・されていないもの・しなくて良いものが混在しているのが東洋医学(鍼灸)です。
ちなみに当院は、気血津液や五臓六腑など、伝統的な東洋医学に則って鍼灸施術をするスタイルの鍼灸院です。
(※それが一番効くと考えているからです(^^)/)
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