乗り物酔いに効くツボ
乗り物酔いでお悩みの方へ
乗り物酔いの根本的な改善には東洋医学の視点が非常に有効だと考えています。
今回は、乗り物酔いのメカニズムから、ご自身でできるツボ押し、そして当院で行っている本格的な鍼灸治療まで解説いたします。
乗り物酔いとは
乗り物酔いは、車、バス、電車、船など、乗り物の揺れや不規則な加速・減速によって引き起こされる、めまい、吐き気、嘔吐などの不快な症状です。
医学的には「動揺病」とも呼ばれます。
その原因は、内耳(三半規管や耳石器)からの情報と、目や体からの情報が脳内で一致しないことによって生じる混乱です。
例えば、車内で本を読んでいる時、目は静止した本を捉えていますが、体は車の揺れを感じています。
この情報のギャップが自律神経の乱れを引き起こし、乗り物酔いの症状につながると考えられています。
また、ガソリンなどの匂い、不安や緊張などの精神的な要因、睡眠不足や疲労、体調不良なども、乗り物酔いを引き起こす、あるいは悪化させる要因となります。
普段は乗り物酔いをしない方でも、体調が優れない時に急に症状が現れることも珍しくありません。
乗り物酔いの対策
一般的な対策としては、
・十分な睡眠と休息をとり、疲れを溜めないこと
・長距離移動の場合はこまめに休憩を挟むこと
・移動中は読書やスマートフォンの操作を避けること
・換気を良くし、リラックスできる環境を保つこと
・必要に応じて酔い止め薬を服用すること
…などが挙げられます。
これらの対策は、症状を一時的に緩和する効果はありますが、根本的な体質改善には繋がりません。
乗り物酔いに効くツボ|東洋医学の視点から
東洋医学(鍼灸)では、乗り物酔いは「気の巡り」が悪くなった状態、つまり「気滞(きたい)」と捉えます。
気は、身体を巡るエネルギーのようなもので、その流れが滞ると様々な不調が現れます。
乗り物酔いも、気の巡りが悪くなることで自律神経のバランスが崩れ、症状が現れると考えます。
そこで、気の巡りを改善するために、ご自身でできるセルフケアとしてツボ押しをご紹介します。
乗り物に乗る日の朝や、移動中にも、これらのツボを優しく刺激することで、症状の緩和が期待できます。
乗り物酔い対策におススメのツボ
太衝(たいしょう)
足の甲にあります。足の親指と人差し指の骨が交わる所です。
肝経のツボで、気の巡りを整え、イライラや精神的な緊張を和らげる効果があります。
合谷(ごうこく)
親指と人さし指の骨がまじわったところから、やや人さし指よりのへこみが合谷です。
全身の気の巡りを改善する万能のツボと言われています。特に、吐き気や頭痛の緩和に効果的です。
内関(ないかん)
手首の曲がりジワに薬指をおき指幅3本そろえて人さし指があたっているところ、腕の幅の真ん中が内関です。
胸のつかえや吐き気、動悸などに効果があります。乗り物酔いには特に重要なツボです。
膻中(だんちゅう)
胸のツボ。体の真ん中のラインと左右の乳首を結んだラインが重なるところ。
気の流れをスムーズにし、呼吸を楽にする効果があります。
とくに「合谷」と「内関」は、腕や手にあるため、乗り物に乗る前から、乗っている最中にも手軽に刺激することができます。
ツボを自分で探す時のコツ
より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。
ツボの基本位置を確認
鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。
押して探す
だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。
体の反応をみる
ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。
ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。
セルフケアのツボ押しの方法と注意点
ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。
ツボ押しの方法
リラックスできる環境を整える
静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。
ツボの位置を確認
書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。
指の腹で押す
親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。
適度な力で押す
「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。
時間をかけて押す
1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。
呼吸を意識する
力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。
温めてから行うと効果的
入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。
ツボ押しをする上での注意事項
・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。
・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。
・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。
・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。
・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。
・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。
・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。
・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。
上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
深呼吸の方法|自律神経を整える
腹式呼吸は、自律神経のバランスを整えるのに非常に効果的です。
とくに、副交感神経を優位にすることで、リラックス効果を高め、乗り物酔いの症状を緩和するのに役立ちます。
深呼吸のやり方
・楽な姿勢で座り、背筋を伸ばします。
・両手をおへその下あたりに当てます。
・4つ数えながら、口からゆっくりと息を吐き切ります。お腹が凹むのを感じましょう。
・鼻からゆっくりと8つ数えながら息を吸い込みます。お腹が膨らむのを両手で感じましょう。
・4つ数える間、息を止めます。
・再び、4つ数えながら口から息を吐き切ります。
・この深呼吸を5~10回ほど繰り返します。
乗り物に乗る前や、気分が悪くなってきた時に行うと効果的です。
根本的な改善には鍼灸治療|当院の施術について
上記でご紹介したツボ押しや深呼吸は、あくまでセルフケアであり、症状の一時的な緩和を目的としています。
乗り物酔いを根本的に改善したいとお考えであれば、鍼灸治療が非常に有効です。
当院では、東洋医学に基づいた丁寧な問診と検査(脈診、舌診、腹診など)を行い、患者様一人ひとりの体質や症状に合わせたオーダーメイドの治療を提供しています。
乗り物酔いは、自律神経の乱れだけでなく、胃腸の弱りや、精神的なストレス、冷えなど、様々な要因が複雑に絡み合って起こることがあります。
当院の鍼灸治療では、全身のツボ(経穴)を使い、これらの根本原因にアプローチすることで、体質を改善し、乗り物酔いを起こしにくい身体へと導きます。
当院で使用する鍼は非常に細く、ほとんど痛みを感じません。
お灸も熱くなく、心地よい温かさで身体を温めます。施術中はリラックスして過ごしていただけます。
乗り物酔いは、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、旅行やレジャーなど、楽しいはずの時間を台無しにしてしまうこともあります。
もしあなたが、長年乗り物酔いに悩んでおり、根本的な改善を望んでいるのであれば、ぜひ一度当院にご相談ください。