長引く咳に効くツボ

長引く咳に効くツボ

長引く咳に効くツボ・写真1

「長引く咳」について、東洋医学の視点からセルフケアの方法について解説していきます。

長引く咳の中で最も多いのが「咳喘息」です
咳喘息はアレルギーによって起こる病気です。

喘息と言えば「気管支喘息」がありますが、気管支喘息のようにヒューヒュー、ゼーゼーといった喘鳴や呼吸困難を伴わない、咳だけの喘息が咳喘息です。

咳喘息について

長引く咳に効くツボ・写真2

咳喘息の特徴は以下のとおりです。

・喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)は伴わない
・寝る前、深夜、早朝に咳が悪化する
・季節の変わり目、悪天候、運動により咳が悪化する
・喉のイガイガ感や締め付け感、胸の重たさを感じることがある

これらの症状に心当たりがある方は、咳喘息の可能性があります。

咳喘息は市販薬では効果が乏しい

咳喘息は、市販されている風邪薬では治らず、咳止めもほとんど効果がありません。
これは、咳喘息が気管支の炎症によって引き起こされるため、風邪薬のように一時的に症状を抑えるだけでは根本的な解決にならないからです。

咳の症状が長引くときは、まずは病院を受診するようにしましょう。

西洋医学での咳喘息の治療は、薬で症状を緩和させる治療が基本です。

気管支拡張剤:
狭くなっている気管支を広げて、咳の症状を抑えます。

吸入ステロイド剤:
咳喘息の原因となっている気道の炎症を抑えます。

これらの薬は症状の緩和には効果的ですが、体質そのものを改善するものではありません。

咳喘息でなくとも、長引く咳はまずは病院(西洋医学)での検査・診察を行い、原因を特定することが重要です

その上で、セルフケアとして、そして体質改善を目指す方法として、東洋医学のケアを取り入れてみてください。

長引く咳におすすめのツボ

長引く咳におすすめのツボをご紹介します。
これらのツボは、東洋医学の考え方に基づき、呼吸器系の機能を整え、咳を鎮める効果が期待できます。

尺沢


手のひらを上にして腕をのばしヒジの曲がりジワの中央やや外側にあるくぼみ。
肺経という経絡に属し、肺の機能を整える作用があります。

天突


左右の鎖骨を結んだ中央部のくぼみにあります。
任脈という経絡に属し、呼吸をスムーズにする効果があります。

大椎・定喘・肺兪あたり

大きくエリアでドライヤーお灸やホットパックなどで温めてください。
目安として肺兪と定喘の動画をつけます。
長引く咳に効くツボ・写真3

「肺兪」

「定喘」

大椎は首の付け根、定喘は肩甲骨の内側、肺兪は背骨の両脇にあります。
これらのエリアを温めることで、呼吸器系の機能を高めることができます。
ここでは、肺兪と定喘の位置を示す動画をご紹介します。

ツボを自分で探す時のコツ

より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。

ツボの基本位置を確認

鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。

押して探す

だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。

体の反応をみる

ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。

ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。

ドライヤーお灸のやり方と注意事項

ドライヤーお灸は、火を使わずにドライヤーの温風を利用してツボを温める、手軽で安全な方法です。
広い範囲を温める場合や、火を使うお灸に抵抗がある方や、初めてお灸を試す方におすすめです。

ドライヤーお灸のやり方

準備

ドライヤーと、もしあればですが、姿見もしくは手鏡を用意します。
手鏡があると、背中など見えにくい部分のツボを温める際に便利です。

温風の当て方

ドライヤーを肌から5~10cmほど離します。
近すぎると熱くなりすぎるため、必ず距離を保ってください。

温風の温度は、低温(50~60度程度)に設定します。
ドライヤーに温度調節機能がない場合は、ドライヤーと肌の距離を調整することで熱さを調節します。
熱く感じたらすぐにドライヤーを離すようにしてください。

温風を当てる時間は、1つのツボにつき、熱いと感じたら離す、を5回程度繰り返します。
連続して長時間当て続けるのは避けましょう。

温める場所

特定のツボを意識する必要はありますが、厳密な位置にこだわる必要はありません。
ドライヤーの温風は比較的広い範囲に当たるため、「面」で温めるイメージで大丈夫です。
ツボの周辺をじんわりと温めることで、効果が期待できます。

行う頻度

朝晩2回程度行うのがおすすめです。
ご自身の体調や生活に合わせて、無理のない範囲で行ってください。

ドライヤーお灸の注意事項

・怪我や炎症、痛みなどで熱を持っている部位には使用しないでください。症状が悪化する可能性があります。

・泥酔時や発熱時など、体調がすぐれない場合は使用を控えましょう。

・他人にドライヤーお灸を行うのは避けてください。
温度の感じ方には個人差があり、火傷をさせてしまう可能性があります。

・使用中に皮膚に異常(赤み、かゆみ、痛みなど)が現れた場合は、直ちに使用を中止し、必要に応じて医師に相談してください。

・同じ部位に長時間当て続けないように注意してください。
低温火傷の原因となることがあります。

せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点

ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。

「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。

せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。

せんねん灸の使い方

種類を選ぶ

「せんねん灸」には様々な種類があります。
せんねん灸

「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。
せんねん灸種類
初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。

ツボの場所を決める

どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。

準備

お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。

台座の裏紙を剥がす

「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。

もぐさに点火

巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。

皮膚に据える

火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。

取り外す

使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。

お灸をする上での注意事項

・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。

・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。

・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。

・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。

・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。

・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。

・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。

・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。

上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。

セルフケアのツボ押しの方法と注意点

ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。

ツボ押しの方法

リラックスできる環境を整える

静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。

ツボの位置を確認

書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。

指の腹で押す

親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。

適度な力で押す

「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。

時間をかけて押す

1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。

呼吸を意識する

力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。

温めてから行うと効果的

入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。

ツボ押しをする上での注意事項

・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。

・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。

・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。

・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。

・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。

・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。

・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。

・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。

上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。

鍼灸院での本格的な鍼灸

呼吸器系の不調がなかなか治らないのは、「自律神経の乱れ」「免疫力の低下」「疲労」「ストレス」などで心身の弱りがあることが根本的な原因であることが多いです。

セルフケアはあくまで簡易的な施術ですので、咳喘息などの長引く咳に再びかからないためにも、体質改善のための本格的な全身鍼灸を鍼灸院で受けることをお勧めします。

当院では、東洋医学の診察法に基づき、患者様一人ひとりの体質を丁寧に把握し、全身のツボ(経穴)の中から、その方に最適なツボを選び、鍼とお灸で丁寧に施術していきます。

痛みをほとんど感じない鍼と、心地よい温かさのお灸を使用し、リラックスした状態で施術を受けていただけます。
体全体のバランスを整え、免疫力や自己治癒力を高めることで、咳の症状を根本から改善し、再発を防ぐことを目指します。

長引く咳でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
あなたの症状と体質に合わせた最適な施術で、健康な体を取り戻すお手伝いをさせていただきます。

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