不妊ストレスを減らす東洋医学の手法に注目
ストレスを減らす漢方薬は妊娠に良いようだ
妊娠を妨げる要素の一つにストレスが挙げられます。
当院の不妊鍼灸コラムでも「不妊ストレス」については記事を書きました。
『ストレスや不安は体外受精を失敗させる?』
『不妊女性のメンタルに鍼治療』
今回は、肝鬱気滞の状態の不妊患者さんに、それを解消する漢方薬を使用した論文をご紹介して、東洋医学(漢方薬・鍼灸)をストレス対策に活用して欲しいことを書きます。
なお、東洋医学でストレスがある状態を「肝鬱気滞」と言います。
こういう状態の方が呈する症状としては、乳房が張って痛い・お腹が張って痛い・抑うつ・イライラ・生理周期が不安定、などがあります。
『肝鬱気滞の漢方治療が奏効した不妊患者7症例』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/69/3/69_300/_pdf/-char/ja
【概要】
ストレスの多い不妊患者は肝鬱気滞になっていることが多い。
そこで、病院での治療と並行して漢方治療を行った。
年齢は平均36歳で肝鬱気滞+他の体質を持つ7人の不妊患者。
(肝気鬱結2例・肝気鬱結+腎虚3例・肝気鬱結+瘀血1例・肝気鬱結+瘀血+気血両虚1例)
それぞれのタイプに合わせた漢方薬を処方。
結果。
2~9ヵ月で妊娠(平均6ヶ月)。
正常分娩3例・帝王切開2例・流産1例・転院1例。
ストレスを緩和させることで妊娠にプラスとなる。
当院の考察
今回はストレス対策を漢方薬で行うことで不妊で悩む人の妊娠に役立てるという結果でした。
鍼灸師としても納得の結果です。
鍼灸も漢方薬も東洋医学としては仲間です。
人体の見方や考え方は同じです。
治療手段が異なります(鍼灸はツボに刺激・漢方は生薬を煮出して飲む)。
平均6ヶ月の期間をかけて漢方薬を飲むことで上手くいったとの報告です。
これは体質改善にはそのくらいの期間がかかる、ということを意味しています。
当院の不妊鍼灸も6ヶ月の継続をおススメすることが多いです。
この辺も鍼灸と漢方の共通性を感じます。
ですので、「漢方薬と鍼灸どちらがいいですか?」と聞かれることもありますが、一番の答えは「両方併用」です(笑)
但しどちらかに絞りたい(経済的理由などで)ということなら、「好きな方から試してみて欲しい」です。この辺に関しては以前に記事を書きました。
『不妊症には漢方薬か鍼灸か?』
少し話がそれましたが、ストレス対策は大事です。
ようはリラックスですよね。
日常生活でもストレス発散して欲しいですが、家庭の中では夫婦だけで煮詰まってしまってなかなか難しいかも知れません。
そんな時はコリをほぐしたり痛みを取ったりする作用が強い鍼灸という手段があります。
ストレスがあるとカラダがこり固まってしまいやすいです。
(それが肝鬱気滞の「張って痛む」という症状になてきます。)
そのコリをほぐすとカラダがゆるゆるしてきます。
こり固まっていると知らず知らずに重さやだるさがでるので、それから解放されることで爽快になります。
血流もよくなるので温かくもなります。
カラダがそのように変化してくると、自然とココロもゆるゆるしてきます。
余裕なくギチギチしていたココロにゆとりが出て、知らず知らずに笑顔が出ます。
その結果、ホルモンバランスを含め婦人科系も活性化してくるので、お子さんを授かりやすくなると考えます。
これが東洋医学が得意とする「体質からアプローチする方法」です。
病院だけの治療で心身がこり固まってしまっているようでしたら、ぜひ東洋医学もお力になれます。
活用してみて下さい。