【顔面神経麻痺の鍼灸症例】ベル麻痺による顔のゆがみ・閉眼困難が改善した40代女性のケース
顔面神経麻痺(ベル麻痺)は鍼灸で改善する?40代女性の症例と回復経過を紹介

※本記事は国家資格(はり師・きゅう師)を保有する院長が執筆しています。
※当院の実際の症例に基づきますが、患者様のプライバシー保護のため、個人が特定されないよう一部情報を変更して記載しております。
※効果には個人差があります。
「突然、片側の顔が動かなくなった」「目が閉じない」「口元がゆがんでしまった」。
顔面神経麻痺(ベル麻痺)は、ある日突然発症するため、多くの方が強い不安を感じます。
「このまま元に戻るのだろうか」
「後遺症が残ってしまうのではないか」
「鍼灸は効果があるのだろうか」
そのような思いで当院へご相談いただく患者様は少なくありません。
顔面神経麻痺の治療では、まず耳鼻科での早期治療が非常に重要です。
そのうえで、鍼灸を併用することで血流改善や筋肉の緊張緩和、自律神経の調整を図り、回復をサポートできる可能性があります。
今回は、発症から8日後にご来院された40代女性のベル麻痺の症例をご紹介します。
実際にどのような経過をたどり、どのように改善していったのかを詳しくお伝えします。
患者さまの情報と経緯
年齢・性別・お住まい:
40代女性・鎌ケ谷市在住
主訴:
右顔面神経麻痺(ベル麻痺)、首肩こり
鍼灸院に来るまでの経緯:
8日前より右眼瞼閉鎖不全、眼瞼下垂、口角下垂が出現。
翌日、耳鼻科を受診し、ベル麻痺と診断。
ステロイド、抗ウイルス薬、ビタミン剤を処方される。
1週間後再診し、ビタミン剤のみの処方となる。
「鍼灸で少しでも改善すれば」との思いで当院を受診。
背景:
中学3年生の受験生を持つ母親であり、子供の受験に伴う精神的ストレスを感じている。
その他の症状:
首肩こり、精神的ストレス、睡眠の質の低下(眠りが浅い)。
この患者様は、受験生の母親という立場からくる精神的ストレスに加え、突然の顔面神経麻痺の発症という二重の苦しみを抱えていました。
当院では、単に顔の麻痺を改善するだけでなく、これらの背景にある要因にも着目し、心身両面からのアプローチを行い
ました。
この人を東洋医学ではどうみるか?
東洋医学では、顔面神経麻痺は経絡の気血の流れの滞りによって引き起こされると考えます。
とくに、顔面部を走行する陽明経と少陽経の気血の流れが重要です。
今回の患者様の場合、以下の要因が複合的に関与していると判断しました。
肝気鬱結:
受験という環境要因からくる精神的ストレスは、肝気の流れを滞らせ、気鬱を引き起こします。
肝は気の巡りを主り、メンタル面の調整もしており、ストレスによって気の流れが滞ると、全身の気血の巡りに影響を及ぼします。
風寒の侵襲:
冬の寒さは、体表から風寒の邪が侵入しやすく、経絡の気血の流れを阻害します。
気滞血瘀:
上記の要因が複合的に作用し、気血の流れが滞り、瘀血を生じさせます。
これが首肩こりの原因となり、顔面部の血流にも悪影響を及ぼします。
これらの東洋医学的な病理観に基づき、気の巡りを改善し、血流を促進する治療を行うことが重要となります。
治療方針
上記の東洋医学的考察に基づき、以下の治療方針を立てました。
肝気の流れをスムーズにし、精神的なストレスを緩和します。
体表に侵入した風寒の邪を取り除きます。
滞った血流を改善し、瘀血を取り除きます。
顔面部および全身の経絡の流れを整えます。
治療内容と実際の経過
1回目:
天枢の棒温灸。
右合谷と手三里、右足三里と陽陵泉にパルス鍼。
顔面神経麻痺局所(右陽白、四白、太陽周辺)に知熱灸。
肩こり局所に知熱灸、首こり局所、心兪、膈兪、肝兪に置鍼。
2回目(5日後):
麻痺に変化なし。
首肩こりに改善が見られる。
天枢の棒温灸、右足三里-陽陵泉にパルス鍼。
側頭部~前頭部の緊張部位に置鍼。
顔面麻痺局所に知熱灸。
首肩こり局所に知熱灸。
百会付近の緊張部位、首こり局所、心兪、膈兪、肝兪に置鍼。首こりに円皮鍼。
3回目(3日後):
麻痺にわずかな改善が見られる。
睡眠も改善傾向。
肩甲骨周りのこりも軽減傾向。
2回目に準じた施術を行う。
4~6回目(4日ごと):
徐々に麻痺が改善し、6回目の段階でほぼ消失。
3回目に準じて治療を行い、この回で鍼灸治療を終了とする。
治療期間中、患者様の精神状態にも配慮し、傾聴と共感に努めました。
治療を重ねるごとに、顔の麻痺だけでなく、首肩こり、睡眠の質、精神状態も改善していく様子が見られました。
鍼灸師としての感想とまとめ
今回の症例では、耳鼻科での薬物治療と並行して鍼灸治療を行い、6回の施術で顔面神経麻痺の症状が大きく改善しました。
また、顔の麻痺だけではなく、
・首肩こり
・睡眠の質の低下
・精神的ストレス
といった、麻痺の背景にあった不調も同時に改善していったことが印象的でした。
顔面神経麻痺は、発症直後の適切な治療が非常に重要な病気です。
まずは耳鼻科を受診し、必要な検査や薬物治療を受けてください。
そのうえで、
* 麻痺の回復を少しでも早めたい
* 顔の違和感やこわばりが続いている
* 首肩こりや睡眠の不調も一緒に改善したい
* 後遺症をできるだけ残したくない
このようなお悩みがある方にとって、鍼灸は選択肢の一つになり得ます。
当院では、お一人おひとりの状態を丁寧に確認し、その時期や症状に合わせた施術を行っています。
顔面神経麻痺でお悩みの方は、一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。
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