めまい・耳鳴り・耳閉塞感でお悩みの方への鍼灸症例
めまい・耳鳴り・耳の閉そく感への鍼灸治療
「最近、めまいがひどくて…」「耳鳴りがずっと気になって集中できない」「耳が詰まったような感じがして不快…」このような症状でお悩みではありませんか?
めまい、耳鳴り、耳閉塞感は、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、精神的なストレスにもつながります。
病院で検査を受けても異常が見つからず、薬を飲んでもなかなか改善しないという方も少なくありません。
当院では、東洋医学の観点からこれらの症状にアプローチし、根本的な改善を目指す鍼灸治療を行っています。
今回は、実際に当院で行った症例をもとに、めまい、耳鳴り、耳閉塞感に対する鍼灸治療の効果と、当院の治療の特徴をご紹介します。
患者さんについて
年齢・性別:
40代女性
初診までの経緯:
1ヶ月前から右耳の耳鳴りに悩まされ、その後、めまいと右耳の閉塞感も現れるようになりました。
耳鼻科を受診したものの、聴力検査では異常が見られず、ビタミン剤を処方されるにとどまりました。
薬を服用しても症状は改善せず、日常生活にも支障が出始めたため、鍼灸を試したいと当院を受診されました。
初診時の症状:
・右耳の耳鳴り
・めまい
・右耳の閉塞感
・後頭部から背中にかけてのコリ
・疲れ
・ストレス
・手足の冷え
・眠りが浅い
仕事と家事に追われる毎日で、疲労とストレスが蓄積している状態でした。
東洋医学的考察
東洋医学では、身体の不調は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」のバランスの乱れによって引き起こされると考えます。
この患者さんの場合、疲労とストレスによって「気」の巡りが滞り(気滞)、血の巡りも悪くなっている状態(瘀血)と判断しました。
また、「気」の不足(気虚)もみられ、身体の根本的なエネルギー不足が症状を悪化させていると考えました。
とくに、耳は「腎(じん)」と密接な関係があるとされており、腎の機能低下は耳の症状を引き起こしやすいとされています。
この患者さんの場合、手足の冷えや眠りの浅さといった症状からも、腎の機能低下が示唆されました。
治療方針
上記の東洋医学的考察に基づき、以下の治療方針を立てました。
疏肝理気・活血化瘀:
気の巡りを改善し、血の巡りをスムーズにする。
補気健脾:
不足した気を補い、身体の根本的なエネルギーを高める。
補腎益精:
腎の機能を高め、耳の症状を根本から改善する。
これらの治療方針に基づき、鍼灸治療と温灸を組み合わせて行いました。
治療経過
1回目;
「右期門」「中脘」に棒温灸。
「右合谷」「右外関」「右聴会」「陽陵泉」「太衝」「太谿」に置鍼。
「右聴会」にお灸を追加。
「太衝」に円皮鍼追加。
「肩こりの局所」に単刺。
「完骨」「右翳風」「肺兪」~「脾兪」に置鍼。
「神道」「脊中」に棒温灸。
初回の治療後、患者さんは「体が温まり、リラックスできた」と仰いました。
2回目の治療後には、めまいは改善傾向にあるものの、耳の閉塞感と耳鳴りは残るとのことでした。
後頭部のコリは少し改善していました。
その後も週に1回のペースで治療を続けました。
3回目から6回目にかけて、後頭部から肩甲骨にかけてのコリは大幅に改善し、首や肩の動きもスムーズになりました。
耳鳴りはまだ残っていましたが、以前よりは気にならなくなってきたとのことでした。
鍼灸治療と並行して、患者さんには日常生活での注意点もお伝えしました。
具体的には、
・適度な運動を取り入れる
・バランスの取れた食事を心がける
・十分な睡眠時間を確保する
・ストレスを溜め込まないようにリラックスする時間を作る
…などです。
6回の治療後、症状改善もあり病院の薬も減ったため、患者さまと相談の上、一旦鍼灸治療を終了することになりました。
症状は完全に消失したわけではありませんでしたが、日常生活に支障がない程度まで改善し、患者さんも満足されていました。
使用した主なツボとその代表的な効果
この患者さんの治療で使用した主なツボとその代表的な効果は以下の通りです。
期門(きもん):
肝経のツボで、気の巡りを改善し、ストレスによる不調を和らげる効果があります。
中脘(ちゅうかん):
胃のツボで、消化機能を高め、体のエネルギーを補う効果があります。
合谷(ごうこく):
全身の気の巡りを整え、痛みを和らげる効果があります。
外関(がいかん):
耳の症状や頭痛、肩こりなどに効果があります。
聴会(ちょうえ):
耳鳴りや難聴、めまいなどに効果があります。
陽陵泉(ようりょうせん):
筋肉の緊張を緩め、関節の痛みを和らげる効果があります。
太衝(たいしょう):
気の巡りを整え、精神的な緊張を和らげる効果があります。
太谿(たいけい):
腎の機能を高め、体の根本的なエネルギーを補う効果があります。
完骨(かんこつ):
頭痛やめまい、耳鳴りなどに効果があります。
翳風(えいふう):
耳鳴りや難聴、顔面神経麻痺などに効果があります。
肺兪(はいゆ)~脾兪(ひゆ):
背部のツボで、それぞれ内臓系の機能を高め、体の抵抗力や消化機能を改善する効果があります。
神道(しんどう):
精神的な安定をもたらし、自律神経のバランスを整える効果があります。
脊中(せきちゅう):
身体の中心を整え、全身の機能を活性化する効果があります。
これらのツボに鍼とお灸を行うことで、患者さまの症状に合わせた効果的な治療を行いました。
まとめ
今回の症例では、鍼灸治療によって患者さんのめまい、耳鳴り、耳閉塞感といったつらい症状が改善しました。
とくに、首や肩のコリが改善したことで、首から上の症状の緩和に繋がったと考えられます。
元々の生活で、仕事や家事の疲労とストレスが多大であったようです。
生活習慣が絡んだ症状は、その習慣が変更されない限り症状改善を阻害しがちであるがこればかりは仕方ないことです。
少しでも良くなるよう最大限の施術を行います。
耳鳴り→めまい/耳閉感という順番で症状が出てきたので、改善は根の浅い(めまい/耳閉感→耳鳴りの)順番でよくなってきいきました。
こういう風に改善することもよくあります。
当院では、東洋医学に基づいた丁寧なカウンセリングと的確な診断を行い、患者さま一人ひとりの症状に合わせたオーダーメイドの治療を提供しています。
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