鍼灸の技術
お灸の最前線
『医道の日本』お灸特集
鍼灸師にはおなじみの業界誌『医道の日本』。
今月の特集は「お灸」ということで、同誌に時々出るスマッシュヒットだった気がします。
(※あくまで一個人の見解です)
雑誌の特集にありがちな「トピックを紹介するだけで深めることはできない」のは仕方ないことではあります。
…が、切り口がよくある「施術法としてのお灸」ネタだけでなく、「もぐさ(艾)」と「国際的な動き」と「お灸の効能(科学化)」を取り上げていて勉強になりました。
もぐさの製造方法
日中韓でもぐさの製造方法が異なるのは、あまり業界的には知られていない印象でしたので、その辺に軽くでも触れられていたのは良かったです。… 全文を読む
カッピング(吸い玉)療法とは
カッピング(吸い玉)は東洋医学のひとつの療法として、我々鍼灸師が鍼やお灸と併用する形で使っています。
ですので、基本的には健康増進や病気治療に使われます。
アスリートがメンテナンスに鍼灸と併用してカッピングをするのも見かけます。
また現在では治療目的ではなく、カッピングというとダイエットや美容として女性に人気があります。
日本だけでなく、中国や台湾などでも行われて流行っています。
そんなカッピングについてをご紹介します。
カッピング(吸い玉)について
カッピング(吸い玉)療法とは、透明のカップをツボ(=使用するのは背中やお腹のツボが多い)に吸着させ、カップの中を真空状態にし、血流促進をはかる施術方法です。… 全文を読む
鍼灸師の流派の実際
鍼灸師の流派の実際
少々古いですが『第5回鍼灸業態アンケート(医道の日本誌、2011年)』から。
これによると、治療方法として「東洋・西洋医学を折衷している派」が最多で43.3%います。
半数弱ですね。
「西洋医学派」は19.3%・「経絡治療派」は17.8%・「中医学派」は3.1%…などとなります。
自分が中医学を学んでいることもあり、「中医学を標榜している人が少ないな~」というのが第一印象。
ただこれは、「中医学」という名称が出てこないで中医理論が「標準的な東洋医学観」になっているのが原因かもと感じました(あくまで勝手な解釈ですが…)。
大きな数字に戻ると折衷派が最多というのは、実際の治療においてたとえば、基本的には経絡治療的な施術をしつつ、時々に応じて西洋医学的視点で施術したりもする…などの「ごちゃまぜ治療」をしている人が多いということでしょう。… 全文を読む
鍼のシリコン加工
ディスポ鍼とシリコン肉芽腫
私が鍼灸学校に通っていた頃(15~20年ほど前)多くの鍼灸院での使用鍼は、「滅菌しての再利用する鍼」を「使い捨て鍼(ディスポ鍼)」が駆逐目前という時代でした。
「鍼で肝炎やエイズにはなりませんよ、だって使い捨てだから」というポスターを張っているところも少なくありませんでした。
そのような時代を経て、今では感染に対する恐れはあまり聞きません。
それくらいディスポ鍼の使用が当たり前になってきたからでしょう。
そのディスポ鍼は、各社様々な特徴をうたう商品があります。
そのなかでも今回はシリコン加工について。
シリコンコーティング鍼のメリット・デメリット
… 全文を読む鍼灸事故について
鍼灸事故のなかでも鍼灸院内で解決したものではなく、賠償責任保険に関係したようなケースについての話をシェアします。
気胸
どのくらいの頻度で起きるか?
鍼灸師400人のうち1人くらいの確率で毎年起こるようです。
まず気胸は、軽度だとそのまま日常生活をしながら様子見ということになります。
もう少しひどいと入院して肺の空気を調節します。それに1週間くらいの入院期間が要るようです。
問題になるケースの基本は「入院での治療」になります。
これは表に出るのが賠償問題になるような程度の気胸だからからかもしれませんので、なんとなく解決してしまった気胸はもっと多く起こっているのかもしれませんね。… 全文を読む
治療では、いくつ・どんなツボ使う?
治療の際に使う鍼は1本?10本?100本?
「まぁ、どうだっていいやね(苦笑)」と言いたいです。
みな、好きにしたらいいのです。
「1本の方がコストがかからないよね」とか「セイ●ンの鍼で1回50本使用とかあり得んだろう」とか経営目線での邪念をはらませつつ…。
これは脱線。
「いやいや、やたら刺すのは害になるのでは…」とか「やはりしっかり必要な刺激量を与えないと効果が出ないのでは…」など、言いたいこともあるでしょうが、おそらく「正しい答え」はありません(…と思います)。
私自身の感覚としては、『より確実性の高い経穴を、少数厳選して、治療効果を引き出す手技をするのが理想だろう』とは考えています。… 全文を読む
治療の土台(ベース)
治療の土台(ベース)について聞かれた時、私は「『中医学』をベースにしています…」と答えています。
学生時代にかじった中で、その時の自分に一番しっくりくるような気がしたからです。
…とは言え、あくまで「考え方に中医学を据えた自分なりの治療」です。
中医学的な解釈で(自分の学びが)足りない部分は現代医学的な発想で代替させたり、他の鍼灸流派的発想で代替したり、心理学の考え方を取り入れてみたりしながら、とにかく日々なんとか治療しています。
ですので「中医学でやっています」とは恐れ多くも言えません。
ちなみに「中医学でやっている」とは、整体観・病理観・治療などが中医学思考で一貫していることだと思っています。… 全文を読む
治療についても語る意味
当院は自費で鍼灸治療を行う治療院です。
病気・悩みの改善・解消を目指して鍼灸治療をしていますが、鍼やお灸をする行為のパーツは鍼灸院のサービス全体の一部にしか過ぎないと考えています。
もちろん、鍼灸は主要パーツなのですが、鍼灸院に入ってきてから出ていくまでの一連の要素は本来一体不可分で、その「一連の流れの総合力」で改善・治癒が生み出されていくと考えています。
しかし、どうも医学的な観点から「改善・治癒」は「鍼を刺す行為・お灸をすえる行為のみ」で生み出されると思われています。
まずここに疑問があります…が今回は趣旨が違うので一旦横に置きますがいつでもどこかにその思いはあります。
もちろん、「鍼灸」が鍼灸院の「商品」なのだから、… 全文を読む