脈診を学ぶ

脈診|鎌ヶ谷市(新鎌ヶ谷)の鍼灸院

脈診の学び方

脈診は重要だけど難しいと言われます。
でも、少しずつ上達する方法はあります。
とくに初心者向けに、私自身の取り組みを書きます。

ここでの基本的な考えは「自分のレベルで臨床に活かせればそれが良い脈診」ということです。
アカデミックに通用する考え方ではないのであしからず(^^;)

なぜ上達しないのか?

初心者が取り組む間違った方向性は、このふたつではないでしょうか。

【本を読む】
教科書を読んも脈診は上手くなりません。
なぜなら、眠くなるからです。
実践に則さない教科書ははっきり言って眠いです。
教科書から脈診を上達させようというのは「無理」です。
ただし、「日々の臨床で悩んで読む教科書」は役位たちますので、教科書批判ではありません。

【ただ脈を診るだけ】
漫然と脈を診るだけでも上達はしません。
実践的であることは有意義ですが、上達スピードという面では遅いでしょう。

これらで脈診が上達しない理由は『自分なりの脈の定義がないから』です。
脈診とは脈をそれぞれの意味付けにカテゴライズ(分類)する作業ですが、それは自分の中に物差しがあって初めてできることです。
物差しがないのに測れませんよね。
もちろん、普遍的な物差しが存在していればそれをマスターすることから始めればいいのですが、いかんせん脈診は感性や感覚の世界(主観の世界)のものです。
100人が100人、ピッタリ納得するような「物差し」はないと考える方が自然です。
ようするに、カテゴライズするために「マイ物差し」を持たねばならない、ということです。

自分の脈の定義をつくるために

一番手っ取り早いのは「問診」です。
問診から患者さんを弁証します。
その弁証と脈を当てはめていくのです。

たとえば問診で「脾虚証」だと判断したとします。
すると脈は「虚脈」が考えられますので、脈を診るとたしかに弱い気がします。
ここでこの脈を「虚脈」とカテゴライズします。

この段階では1例しかないので、まだまだ数が足りません。
同じような弁証(症例)の方を10/30/50例と診ていくうちに、「これが虚の脈」というふうに固まっていくと思います。

作業としては、脈の感覚を「自分の脳内脈診マップ」に印付けするような作業でしょうか。
たとえば、虚実の横軸と寒熱の縦軸と表裏の奥行軸くらいで立体図をイメージしてどの辺にくるかをポイント付けしておきます。
「一応このくらいかな」で結構です。
それを積んでいくと情報が集まってきて、より精度のあるマップができてくる気がします。
これはもちろん、私自身の話ですが…。

注意事項

【問診に影響されている?】
脈を診た時の感覚が問診に影響されてしまう(「虚証と診たから虚っぽい脈に思える」のは正しい脈診と言えるのか?)という疑問を持つ人がいます。
全然問題ないと考えます。
おそらくそれは脈のデータ量が少ないので不安なだけ。
明らかに自分が想像した脈(虚証だから虚の脈)に反していなければ、一旦はそれを虚脈と判断するのは間違っていません。
虚という線で進めて施術して、実際の体(症状)の変化をみていけばいいのです。
最終的にはそれを自分の脈の定義にフィードバックさせるのです。

【人によって脈の定義が異なる?】
人によって脈の診立てが違うのは当然あります。みな、自分だけの物差しですから。
脈の食い違いは些細な話で、最終的には一貫性のある施術できれば良いのです。
自分なりの診立てに則った施術です。
隣りの人と脈が違っていても、それがどちらかが間違っているわけではないのです。

まとめ

教科書を読んでも「いまいちな気持ち」になるのが脈診の部分。
「これってどういうこと?」と。
それは自分の経験値が足りないからです。
だから、まずは経験値を高めるような環境を作ることが重要です。
施術できる環境です。
もしくは、問診して脈を診られる環境。
データをたくさん自分の中にためることが、最速の上達ではないかと考えます。
逆に言うと、良い書籍を読んでも、達人の話を聞いても、自分に実践が伴わないとなかなか上達しづらいですよね…。

お互いに頑張りましょう(^^)/