経脈とは

経脈とは|鎌ヶ谷市(新鎌ヶ谷)の鍼灸院

12経脈について

経脈の絶対性が鍼灸の場合は強くあります。
足の胃経はこういうルートで、経穴がこう並んでいて云々、手の小腸経は云々…など。
ただし、これもまたひとつの「解釈」「世界観」でしかないのだから、あまり細部に縛られるのは本来的ではないのでしょう。

そういう意味で経脈については『温灸読本』(宮川浩也著・/医道の日本社刊)がとても緩やかな解釈をしていて参考になります。
今回は少し経脈について書いてみます。

経脈の構成

経脈は「脈」とあるように、血管が基本です。
全身に張り巡らされた血管網が、やはり、古代では「巡るもののルート」であり「基礎」として考えました。

それをどうやって12系統にしたのかは謎です。
12系になる前段階では11系統だったり紆余曲折はありそうですね。
とにかく、結果的に12系統になりましたが、厳密には「12」である必然性は低いのかもしれません。
ただし、現在運用上・実践上は12経脈を意識した方が運用しやすいこともあり、ここは12あるものとして進めます。

経脈には「営気」「血」が脈管を流れ、「エネルギー」がそれらを包むように覆っている(浸透しているようなイメージでしょうか)とします。
※宮川先生は営気と血をあわせて「営血」と呼び、エネルギーと書いたものを「衛気」と呼んでいますので、ここではそれに倣います。

経脈はあるひとつの血管だけを指すのではなく、大きな血管とその分岐した細い血管とさらに毛細血管まで含んで、「その経脈の影響領域にかかわる全ての血管と血液を営血」とします。
だから、血管ベースで経脈が決まるのではなく、影響領域ベースでその中に含まれる血管を含めると考えた方が分かりやすいです。

その影響領域を満たしているのが「衛気」です。
これは、守ったり、開閉をつかさどったり、温めたり、しているエネルギーです。

それが全身を12ブロックに分けて「肺経」「胃経」「腎経」…となります。
12経筋や12皮部のようなものをイメージしてもらえれば結構です。

全身を12の影響領域に分けて、それぞれに特徴を持たせているのが経脈と言えるかと思います。

経脈の在り方

これは一言で言えば「巡っている」ことです。
量的に質的にしっかりとめぐることが生理であり、重要です。

山の泉(水源)から始まり、ちょろちょろと流れ、次第に集まって大きく太い流れになり、最終的には海にそそぐ。
そしてその海から水蒸気となって、雲となり、雨となり山に降り注ぐ。
とどまることなく巡ること。
巡りは循環しているということ。
変化しながら、でも大勢は不変であること。
こういった水の循環が体でも起こっていると考えています。

逆に言えば巡りが妨げられること=病気と言って良いと考えます。
これらをさらに細かく分類(カテゴライズ)していくと、八綱弁証・気血津液弁証・臓腑弁証・経絡弁証…となっていくのでしょう。

しかし、ここでは基本の基本として「巡っているかどうか」が健康不健康を分けるとしておきます。

巡りの悪さが形として出たものが「経穴」です。
ですので、経穴は健康体には存在しないと考えられるし、場所も動くし、良い場所を見つけそこを的確に刺激するがゆえに効果を発揮するといえるのです。

まとめ

こういう世界観を強く意識していなくても、じつは鍼灸施術はできます。
(たとえば、だからこそ現代鍼灸が成り立つ。)

では、その世界観を学ぶことに何の意味があるのか?
一番は、自分自身の施術に対する意識がより深まることが挙げられます。
治せる意識は念となって、効果を発揮するとも言えます。
明確な世界観を持っている方が強く信じられます。

それと同時に、経脈と経穴を意識することで治療が楽しくなることを挙げたい。
職人気質や学者然として、小難しくゴリゴリと学び続ける姿勢ではなく、単純に楽しんで鍼灸を行うための知識として学んでいくといいのかなと考えます。

効果を高める意味と、自分の鍼灸師としての立ち位置をしっかりさせる意味と、さらにはエンジョイするために学び続けたいですね!