コロナ感染症(COVID-19)に「円皮鍼」が効く|科学的根拠|研究論文
コロナ感染症に「円皮鍼」が効くという研究

2026年現在、ニュースではすっかり報道されなくなり、逆にコロナ感染はすっかり根付いた感があります。
時々流行の波がやってきますし、実際に感染してツラい思いをする人もいます。
2024年にMedicine誌に掲載された単盲検ランダム化比較試験で、薬物療法に円皮鍼を併用すると、症状改善が早く、悪化率が低下し、免疫指標(リンパ球増加・CRP低下)が有意に改善したことが科学的に証明されました。
しかも重篤な副作用はなく、安全性が高いことも確認されています。
今回はこの論文を、東洋医学の視点からわかりやすく解説します。
論文の内容と結果

2024年に医学誌『Medicine』に掲載された、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する鍼治療の有効性を検証した論文です。
論文タイトル:
Utilizing press needle acupuncture to treat mild-to-moderate COVID-19: A single-blind, randomized controlled trial(軽度から中等度のCOVID-19治療における円皮鍼の活用:単盲検ランダム化比較試験)
著者:
Jiawei Yuan ほか(南方医科大学白雲病院ほか)
出典:
Medicine (Baltimore), 2024 Oct 4;103(40):e39810.
この論文は、2022年12月~2023年1月に中国の病院で実施された単盲検・ランダム化比較試験です。
■主な内容
対象:軽中度COVID-19入院患者116名を「対象群:薬物単独群」58名と「介入群:薬物+円皮鍼併用」58名とに分ける。
1. 対照群:西洋薬による標準的な治療のみを受けるグループ
2. 介入群:西洋薬による治療に加え、「円皮鍼(えんぴしん:シール状の小さな鍼)」の治療を1日1回、6日間連続、左右交互で受けるグループ
【使用したツボ(経穴)】
LI4:合谷(ごうこく)
LI11:曲池(きょくち)
LU7:列缺(れっけつ)
LU9:太淵(たいえん)
GV14:大椎(だいつい)
CV4:関元(かんげん)
CV6:気海(きかい)
ST36:足三里(あしさんり)

合谷に円皮鍼を貼る写真
結果
結果として、鍼治療を併用したグループには、回復の早さと重症化予防の効果が確認されました。
具体的なデータは以下の通りです。
■症状の回復が早い
鍼治療を受けたグループの方が、喉の痛み、咳、発熱、倦怠感などの症状が早く改善しました。
■PCR検査の陰性化が早い
PCR検査が陰性になるまでの期間の中央値は、薬のみのグループが「7日」だったのに対し、鍼治療を受けたグループは「5日」と有意に短縮されました。
■重症化率が低い
症状が悪化(重症化または死亡)した割合は、薬のみのグループが「22.41%」だったのに対し、鍼治療を受けたグループは「8.62%」と低く抑えられました。
■血液検査における免疫・炎症数値の改善
鍼治療を受けたグループは、免疫に関わる「リンパ球(LYM)」の数値が有意に上昇し、体内の炎症を示す「C反応性タンパク(CRP)」の数値が低下しました。
■安全性
重篤な有害事象ゼロ。軽度の局所反応のみでした。
この論文は、円皮鍼という物理的なアプローチが、実際に血液中の免疫細胞や炎症物質に直接的な影響を与え、ウイルスの排除や症状の回復を早めることを科学的に実証したものです。
東洋医学的な解釈

この研究では、東洋医学の「弁証(べんしょう:体質や病態の分析)」の理論に則ってツボ(経穴)が選択されている点が興味深いです。
研究で使われた代表的なツボとその東洋医学的な意味合いを見てみましょう。
・合谷(ごうこく:LI4)と曲池(きょくち:LI11)
手の甲と肘にあるツボです。東洋医学では「風邪(ふうじゃ:外からのウイルスのこと)」を追い払い、熱を下げる働きがあるとされます。
・足三里(あしさんり:ST36)
膝の下にある有名なツボです。「気(エネルギー)」を補い、外部の病邪に対する抵抗力(免疫力)を高め、体内の余分な湿気を取り除くために使われます。
・関元(かんげん:CV4)と気海(きかい:CV6)
おへその下にあるツボです。「気」を調和させて巡りを良くし、身体の根本的な活力を引き出します。
東洋医学では、ウイルスによる正気(せいき)の消耗で脾肺が弱り、気血が滞り、疲労・息切れ・だるさが残っているとみます。
これらのツボを刺激することで、体本来が持っている「自然治癒力」のスイッチを入れ、ウイルスと戦ったり、回復させたりするためのエネルギー(気)を全身に巡らせたのです。
現代医学の言葉に置き換えれば、これは「自律神経の調整」と「免疫システムの正常化」に他なりません。
論文内でも、合谷(LI4)への刺激が迷走神経(副交感神経)の経路を活性化させ、マクロファージ(免疫細胞)からの炎症性物質の過剰な放出(サイトカインストーム)を抑えるメカニズムが指摘されています。
また、足三里(ST36)への刺激がドーパミンの放出を促し、炎症性サイトカイン(IL-6など)の放出を抑制することも示唆されています。
局所(腕や足)への鍼刺激が、なぜ全身の炎症を抑え、肺の症状まで改善するのか。すべての細胞レベルでの分子メカニズムが完全に解明されているわけではありません。
これらは現時点での有力な推測です。
「分かりません」と申し上げるべき未解明の領域も医学にはまだ多く残されています。
しかし、東洋医学が数千年の歴史の中で「このツボを使えば全身の状態が良くなる」と経験的に体系化してきた事実に対し、現代の科学が後から追いつき、データとして裏付けを出し始めています。
論文の感想
当院でも0.16mmの細鍼をベースに、円皮鍼やお灸を併用して持続刺激を実現しています。
体が温まり、こりがほぐれ、心地よい倦怠感の後に元気が湧く変化を、多くの患者さんが実感されています。
これが自律神経が整う感覚であり、免疫作用が向上する変化だと考えています。
鍼治療は「外から薬を入れる」治療ではありません。
患者さん自身の体が持っている「治す力(免疫力・回復力)」を最大限に引き出す治療です。
今回の研究で使われた「合谷」や「足三里」といったツボは、特別な病気の時だけ使うツボではなく、日々の疲労回復や、胃腸の不調、自律神経の乱れに対して、毎日のように臨床で使っている基本的なツボです。
感染後疲労で来院される患者さんは、「体が重い」「自律神経が乱れて動悸や息切れが続く」などとおっしゃる方もいます。
論文の「円皮鍼で、PCR陰転まで時間短縮・悪化率の低下・炎症数値の改善」は、「鍼灸が免疫と炎症を整える」という実体験とも一致します。
円皮鍼での「重篤な副作用ゼロ」という安全性の指摘も大事なことだと感じます。
自律神経の乱れに力を入れている当院にとって、大きな科学的裏付けになりました。
本格的な鍼灸院での施術のススメ
最新論文が証明したのは、円皮鍼を薬物療法に併用すると、軽中度COVID-19の症状改善が速く、悪化を防ぎ、免疫・炎症指標を有意に整えるという結果でした。
これは「気血を巡らせ正気を補う」と東洋医学で言っていた理屈の実証で、当院での実感とも重なります。
コロナ感染症の場合、感染時に鍼灸院に治療に来るのは難しいと考えますので、治りが悪い時やコロナ後遺症などが疑われる時に活用ください。
「感染後の疲労が取れない」「だるさや息切れが続く」
——そんなお悩みを抱える皆さん。
病院以外で何かないかと考えていれば「鍼灸」をお試しください。
当院は、部分的なマッサージや整体は一切行わない「鍼とお灸の専門院」です。
鍼とお灸を正しく駆使すれば、全身のあらゆる不調に対応できると考えています。
「鍼は痛そう」と不安に思われる方も多いですが、当院で使用する鍼は0.16mmと髪の毛ほどの細さで、多くの方が「全く痛くない」と驚かれます。
お灸も、棒灸や台座灸などを症状に合わせて使い分け、熱すぎない心地よい温かさで全身の血流を整えていきます。
施術後は、体が芯から温まり、こりがほぐれ、少し経つと体の奥から元気が湧いてくるのを実感いただけるはずです。
ぜひ一度、当院にご相談ください。
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