冷え症の生理学的メカニズム
冷え症の生理学的メカニズム
冷えはやはり自律神経ですね。
自律神経系とは、呼吸や内臓の働き、体温調節などを、体が自動的に行ってくれるのに使っている神経系です。
「交感神経」と「副交感神経」があり、両者がシーソーのようにバランスをとりながら調整しています。
自律神経は脳(視床下部)がコントロールしています。
自律神経系が乱れると体温調節機能が正常に働かず、手足の血流量が少なるなると起きるのが「冷え」です。
そのことを確かめた論文を紹介します。
『冷え症の生理学的メカニズムについて』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnas/15/3/15_227/_article/-char/ja
【要約】
冷え症において、「冷え症群」と「非冷え症群」とを比較し、冷え症の生理学的メカニズムを明らかにすることを目的とした。
対象は若年健常女性20名 (冷え症群12名, 非冷え症群8名) とし, 晩秋 ・ 冬季に測定を実施した。
生理学的指標として、心拍数 ・ 血圧 ・ 末梢皮膚温 ・ 末梢血流量 ・ 鼓膜温 ・ サーモグラフィ ・ 四肢血圧脈波を用いた。
自律神経活動指標は、心拍変動を用いて周波数解析を行い、副交感神経活動指標と交感神経活動指標を求めた。
その結果、「冷え症群」は「非冷え症群」にくらべて副交感神経活動が低下し、交感神経活動が高かった。
末梢循環においては、冷え症群の血流量低下と皮膚温低下も明らかであった。
よって、冷え症者は安静時の副交感神経活動が小さく、交感神経活動の緊張により安静時すでに末梢の循環機能低下が起きていることを明らかにした。
当院の考察
冷えを改善しようと思ったら、自律神経失調を整えること。
血流と神経の調整は鍼灸の十八番ですので、冷え対策には鍼灸が良いワケです。
実際、当院にも冷えで悩まれる人が多くいらっしゃいますが、鍼灸を継続すると「冷えがゆるんでポカポカしてきました」などと言っていただけます。
自律神経の調整という言い方は現代医学的な発想ですが、実際の鍼灸治療は伝統的な東洋医学(鍼灸)の考え方で行います(※当院の場合)。
冷えは「温める力が足りない(気虚)」や「血流が悪くて起こる(血瘀)」などで起こると考えられています。
それらを改善するツボを使って鍼灸していきます。
気虚なら湧泉・足三里・脾兪・腎兪など、血瘀なら三陰交・膈兪・陽稜泉・合谷などを使います。
冷える原因の体質に踏み込んで鍼灸するとより冷え症が早く改善していきます。
もちろん、温灸やホットパックなど実際に温かい治療道具も多用していきますので、気持ち良く受けていただけるはずです。