抗がん剤の副作用(足裏のしびれ)の鍼灸症例

抗がん剤の副作用(足裏のしびれ)

その他症例6:抗がん剤の副作用(足裏しびれ)

患者さま

50代 男性

初来院

2016年6月13日

お悩みの症状

多発性骨髄腫の抗がん剤副作用(足のしびれ・ダルさ)

初来院までの経過

1年前(2015年春)から腰痛が始まり、少しずつ悪化。
2015年9月には痛みで動けなくなり、病院で診察すると「腰椎圧迫骨折」と言われる。
さらにその原因を調べ、「多発性骨髄腫」と診断。
分子標的薬や抗がん剤治療開始。
結果、少しずつ「体力が落ちる」。「ストレス」や「不眠」から幻覚・幻聴が出る。「足先がしびれる」。
圧迫骨折している腰椎辺の「腰痛」もある。
現在、自家造血幹細胞の移植を控えている時期である。
足しびれを改善したいのと、少しでも体調全般を良くしたく、鍼灸を希望して来院。

治療方針

極度のだるさや疲れを訴えてはいたが、脈状はしっかりしていたので「虚」より「滞り」の方が大きいと判断。
とくに「気」と「水」の滞りを強く感じたので、気滞と湿邪を減らすことに重点を置く。
巡りを整えるため、刺激量はしっかり行う。

治療と経過

1回目。
「ダン中」「合谷」「太衝」「太渓」に鍼。「中カン」に温灸。「隔兪」「肝兪」「脾兪」「腎兪」に鍼+温灸。「足指先端」にお灸。
2回目(1週後)。
足指のしびれが少し良いようだ、とのこと。その代わり足の裏側にしびれが目立つようになった。
腰から背中の痛みも少し良いようだ、とのこと。
ただし「気持ちに体(体力など)がついていかない」と嘆かれる。
前回の施術を継続。ただし、背中の局所にはパルスを併用。
3回目(1か月後)
自家移植の処置を受けるため1か月入院してきた。
体力の低下が激しい。足のしびれは少し改善。
この回は体力回復の意味を込める。
「中カン」「下カン」にお灸。「合谷」「曲池」「足三里」に鍼。「隔兪」「肝兪」「脾兪」「腎兪」に鍼。骨折した椎骨辺(胸椎11~腰椎2番辺)に温灸。
4~12回目(1・2週間に1回ペース)
その都度の訴えに対応しつつも、2回目の治療を模して継続。
移植の入退院から3ヶ月後、足しびれはほぼなし。背中から腰の痛みも少しずつ良い。病院での経過も良好とのこと。
13~23回目(2週間に1回ペース)
体力も少しずつ戻ってきて、鍼灸開始後9か月後の23回目終了時点で職場復帰のため、鍼灸も一旦終了。
このころは、体調メンテナンスや健康増進の意味合いでの施術。
「中カン」「関元」に温灸。「合谷」「太渓」「足三里」に鍼。「隔兪」「肝兪」「脾兪」「腎兪」等コリのある場所に鍼。足の冷えがある際にはホットパック。
24~30回目(1ヶ月に1回ペース)
23回目の施術から4か月後に来院。
鍼灸をしている方が調子が良いとのことで、1ヶ月に1回ペースで再開。
現在も健康増進目的で施術を継続中。

同時に治療した症状

・背部痛~腰痛
・疲れ
・ストレス

まとめ

病院での治療が癌そのものには効果を出したが、気力・体力のような部分では鍼灸施術で大きく改善したことを患者さん自身が自覚されたケース。
疲れ感の軽減やしびれや痛みの改善に関しては、鍼灸施術の効果を感じていただけた。
施術者からみても、来るたびに元気になっていったような感じがした。
元々素因として体力的なものはあったので、それが抗がん剤治療などで大きく落ち込んでいたのを回復させるのに、鍼灸が有効だったのだと思われる。
現在、仕事が過労状態で心配であるが、鍼灸でできる限り応援したい。

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