そもそも不妊症とは

不妊症は、一般的に夫婦が1年以上の定期的な性交渉で妊娠に至らない状態を指します。
原因としては様々あります。
女性の場合は卵管閉塞・子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣機能障害・多のう胞性卵巣症候群(PCOS)などが原因となりえます。
生殖器官に何らかの機能低下や障害があることで、卵子の排卵、精子との受精、受精卵の子宮への着床が正しく行われない障害が発生している、と考えられます。

ただし、検査をしても原因不明のことも少なくありません。
これは自律神経失調やホルモンバランスの乱れなどがあること、ストレスや生活習慣の悪影響を受けることなど、さまざまな要因に起因する場合があります。

不妊症は身体的な問題だけでなく、感情的な負担をかけ、夫婦関係にも影響を及ぼすことがあります。

不妊症を放置するとダメな理由

不妊症を放置することは問題です。
まず、不妊の原因に婦人科疾患があった場合、その疾患が進行・悪化することで妊娠の機会が失われやすくなります。
同時にその原因を無視することは他の健康問題につながる可能性があります。

また、放置された不妊状態がストレスや不安となり、夫婦関係に負の影響を与えることがあります。

さらに、放置することで時間が経ち年齢が上がることで、不妊治療の選択肢が制限される場合があります。

以上が放置がお薦めできない理由です。
婦人科の病院で早めの検査と、(必要に応じた)治療を受けることが大切になります。
ただし、病院(西洋医学)だけで成果が出づらいのも事実であり、ここに東洋医学(鍼灸)が役立てる余地があります。
西洋・東洋医学をうまく組み合わせることが、妊娠の可能性を高め、健康な出産までをサポートします。

不妊(妊活)と鍼灸

鍼灸では、身体を東洋医学的にみていきます。

東洋医学では「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の量と巡りが整っていることが健康であると考えています。
逆に言うと、量の過不足や巡りが滞るなどの体は不健康(病気)ととらえています。

では、不妊で悩む方の体はどうなっているのでしょうか。

大きく言うと、
「妊娠力に関係する腎(じん)の気血精不足」と「婦人科系をめぐる血の滞り＝瘀血(おけつ)」と「ストレスなどからくる気血の滞り＝気滞血瘀(きたいけつお)」と「体全体のエネルギー不足＝気血両虚(きけつりょうきょ)」です。

以下にその4つを解説します。

腎精不足(じんせいぶそく)・腎虚(じんきょ)

年齢を重ねるとホルモンの分泌が落ち、妊娠する力が弱くなってきます。
これを東洋医学では「腎精不足や腎虚」と呼んでいます。

腎精には親から受け継いだ生命力、遺伝子、人間が本来もっている生きる力が蓄えられています。
この盛衰が妊娠力に強く関係しています。
排卵誘発剤などの使用による卵巣への負担も、この腎のエネルギーを減らすと考えます。

ですので、
妊娠力のアップのためには「腎のエネルギーを補う」ツボを多く用います。

骨盤内の瘀血(おけつ)

骨盤内の血流を良くすると、分泌を促したホルモンがきちんと子宮や卵巣に届くようになります。
結果、卵の質が良くなり、着床しやすくなります。
逆に言えば、
骨盤内の血流が悪いことで、子宮や卵巣の機能が低下してしまいます。

ですので、
治療としては「血流を促進する」ツボを多く用います。

気滞血瘀(きたいけつお)

ストレスが過度にかかったり悩みがちな人では、気の巡りが滞りやすくなります。
気持ちがノビノビできない状態になります。
すると、気によって動かされている血のめぐりまでが悪くなってしまいます。
自律神経が乱れた状態とも言えます。

体温調節・ホルモン分泌・排卵・内膜を厚くする・月経血排出などはみな自律神経が行っています。
自律神経系の乱れは婦人科系の乱れに直結します。

ですので、
治療としては「気の巡りを促進する・リラックスに役立つ」ツボを多く用います。

気血両虚(きけつりょうきょ)

疲れ・貧血・やせ気味・月経量が少ない・月経周期が遅れがちなどが伴うケースです。
体全体が「エネルギー不足」の状態です。
いわば「栄養状態を改善する」ということで、これは「消化吸収の改善」に他なりません。

ですので、
治療としては消化吸収を良くする「胃腸に関係する気血を補う」ツボを多く用います。

以上のように、
体の状態もさまざまあり、その人なりの体質に合わせてツボを選択し、全身より施術していきます。

妊活鍼灸は、良い体質になることで赤ちゃんを授かるカラダを作ることが目的です。
体質改善こそが赤ちゃんを授かる近道です。

施術間隔（受け方）の目安