二人目不妊、仕事と育児の疲れが強い鍼灸症例

二人目不妊への鍼灸治療

不妊症例3

一人目のお子さんを出産後、二人目を希望するもののなかなか恵まれない「二人目不妊」は、仕事や育児との両立の中で心身ともに大きな負担となり、深刻な悩みとなっているケースも少なくありません。

当院では、このようなお悩みを抱える多くの患者様と向き合い、東洋医学の観点からの鍼灸治療を通じて、心身のバランスを整え、自然な妊娠力を高めるサポートを行っております。

今回は、二人目不妊、仕事と育児の疲れに悩んでいた30代女性の症例を通して、当院の鍼灸治療がどのように患者様の心身に寄り添い、妊娠へと繋がっていったのかをご紹介いたします

この記事を通して、同じような2人目不妊でお悩みの方々に、鍼灸治療という選択肢を知っていただければ幸いです。

患者さまについて

年齢・性別:
30代女性。

鍼灸院に来るまでの経緯:
一人目のお子さんを出産後、一歳になったのを機に二人目の妊活を開始されました。

一人目の際は、不妊治療のクリニックでのタイミング療法と黄体ホルモン補充療法を経て5ヶ月で妊娠に至った経験をお持ちでした。

しかし、二人目の妊活では、1年間自分たちでタイミングを試みるも結果が出ませんでした。
再び婦人科病院での治療を開始します。

前回同様の治療を4ヶ月続けたところで妊娠が判明するも、8週で流産というおツラい経験をされました。

その後、体調と精神的な不調が重なり、一旦治療を中断します。

半年間の休養を経て、転院し新しい病院で人工授精にステップアップされました。

人工授精を継続する中で、病院への通院によるストレスを感じるようになり、「病院だけでなく、他の治療法も試してみたい」という思いから当院へ来院されました。

不妊のお悩みに加え、慢性の肩こり、腰痛、疲労感、冷えのぼせなど、仕事と育児による身体的な負担が大きいことが伺えました。

東洋医学的考察

東洋医学では、妊娠は「腎(じん)」の働きと密接に関わっていると考えます。
「腎」は生命の根源的なエネルギーを蓄える場所であり、成長、発育、生殖機能を司ります。

また、気・血・水(き・けつ・すい)という身体を構成する要素のバランスも重要です。
この患者様の場合、仕事、育児、家事による過労が「気」の消耗(気虚)を引き起こし、気の巡り(気滞)と血の巡り(血瘀)の滞りを生じさせている状態と考えられました。

とくに、流産後の体調不良は、血の不足(血虚)と瘀血(おけつ)が影響している可能性がありました。

冷えのぼせは、気の巡りが悪く、上半身に熱がこもり、下半身が冷える状態を示しています。

これらの症状を総合的に判断し、「腎」を補い、「気」を巡らせ、「血」を活かすことを治療の基本方針としました。

現代医学的に見ると、自律神経の乱れも示唆されており、施術中はリラックスできるような環境づくりも重視しました。

治療方針

上記の東洋医学的考察に基づき、以下の点を重視した治療方針を立てました。

腎の補強:
生殖機能を司る「腎」の働きを高めることで、妊娠しやすい身体づくりを目指します。

気血の巡りの改善:
気の巡りをスムーズにし、血の滞りを解消することで、全身の機能回復と体質改善を図ります。

心身のリラックス:
鍼灸施術によるリラックス効果を高め、自律神経のバランスを整え、精神的なストレスを緩和します。

肩こりの改善:
肩こりは精神的な緊張にも繋がりやすく、リラックスを妨げる要因となるため、重点的に施術を行います。

治療経過

1回目:
仰向けで、「関元」に棒温灸とお灸を施し体を温め、エネルギーの源である「腎」を補いました。
「肓兪」「合谷」「内関」「太衝」「三陰交」に置鍼をしました。
うつ伏せで、「心兪」「膏肓」「脾兪」「腎兪」「次髎」、そして「肩こりの局所」への鍼治療を行いました。
足にはホットパックを使用し、全身のリラックスを促しました。

2回目以降(1~2週間に1回ペース):
その時の体調に合わせて配穴を調整しつつ、同様の治療を継続しました。

1ヶ月ほどで腰痛は改善し、その後は「婦人科系」、「肩こり」、「疲労」が主な訴えとなりました。

病院での治療(排卵チェックと人工授精)と並行して鍼灸治療を継続していただきました。

治療開始から1年後、病院でAMH(抗ミュラー管ホルモン)の数値が低いことを指摘され、体外受精へのステップアップを決断されました。

当院では、体外受精に向けた体調管理もサポートさせていただきました。
そして、初回の採卵で1個の卵子を採取、胚盤胞で凍結保存し、その凍結胚を移植した結果、無事に着床し、妊娠反応陽性となりました。

鍼灸治療開始から約1年半後のことでした。

使用した主なツボとその代表的な効果

以下に、治療で使用した主なツボとその代表的な効果をご紹介します。

関元(かんげん):
下腹部にあるツボで、気を補い、生殖機能を高める効果があります。

肓兪(こうゆ):
おへその横にあるツボで、気の巡りを整え、消化器系の不調を改善します。

合谷(ごうこく):
手の甲にあるツボで、全身の気の巡りを整え、痛みを緩和する効果があります。

内関(ないかん):
手首の内側にあるツボで、精神安定作用があり、吐き気や動悸を鎮めます。

太衝(たいしょう):
足の甲にあるツボで、肝の機能を整え、気の巡りを改善します。

三陰交(さんいんこう):
内くるぶしの上にあるツボで、婦人科系の不調に効果があり、血行を促進します。

心兪(しんゆ):
背中にあるツボで、精神安定作用があり、心臓の機能を整えます。

膏肓(こうこう):
背中にあるツボで、免疫力を高め、慢性的な疲労に効果があります。

脾兪(ひゆ):
背中にあるツボで、消化器系の機能を整え、栄養の吸収を助けます。

腎兪(じんゆ):
背中にあるツボで、「腎」の機能を高め、生殖機能をサポートします。

次髎(じりょう):
仙骨部にあるツボで、骨盤内の血行を促進し、婦人科系の不調に効果があります。

これらのツボを組み合わせることで、患者様の症状に合わせた効果的な治療を行うことができました。

まとめ

この症例は、フルタイムで働きながら育児と家事をこなし、二人目不妊という悩みを抱えていた女性が、鍼灸治療を通して心身のバランスを取り戻し、念願の妊娠に至ったケースです

当院の鍼灸治療は、単に症状を緩和するだけでなく、患者様の心に寄り添い、心身全体の調和を促すことを大切にしています。

「ここに来るのが気分転換になる」「疲れが取れる」という患者様の言葉は、まさに当院が目指す治療の形を表していると言えるでしょう。

今回のケースでは、ご懐妊まで1年半という期間を要しましたが、これは当院の妊活鍼灸の中では比較的長い部類に入ります。
平均的には6~7ヶ月で良い結果が出ることが多いです。
しかし、最終的に良い結果に繋がったことは、私たちにとっても大きな喜びです。

もしあなたが、不妊やその他の体調不良で悩んでいるなら、ぜひ一度当院にご相談ください。

妊活鍼灸の詳しくはこちら

不妊治療・妊活