PMS(月経前症候群)のイライラに鍼が効くという研究
PMS(月経前症候群)のイライラに鍼が効くという研究
生理周期で排卵後から月経までの期間に起こる不快な症状を、PMS(月経前症候群)と呼びます。
体の痛みやだるさといった身体的症状のほか、情緒不安定になる、イライラする、落ち込むといったメンタル面での悩みなどです。
生理前(高温期)のホルモンのせい(イライラなどは心のバランスを整えるセロトニンが減少するせい)と考えられていますが、はっきりとは分かっていません。
家事・子育て・仕事と日々の疲労やストレスを感じやすい30代の女性に多いです。
疲れとストレス…。
心身を整えるために「自分をいたわる(生活習慣に気を配る)」のも大切ですね。
今回はそんなPMSで悩む(とくにイライラ)人に、鍼灸が役立てるという研究を紹介します。
『月経前症候群の精神症状に対する鍼治療効果の比較試験』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/67/3/67_264/_article/-char/ja
【要約】
月経前のイライラを主訴にする患者を、「鍼治療群」と「無治療群」に分けて比較した。
精神症状の程度はSRS—18質問票を用いて測定した。
治療群に対して1週間に1回ペースで計6回の施術を行った。
結果、鍼治療群の方が無治療群より改善が見られた。鍼治療群の73.3%が治療効果に満足しイライラを含むすべての症状の程度が改善した。
結論。PMSの精神症状が1クールの鍼治療によって改善した。
「使用したツボ」
百会・神庭・内関・大陵・神門・膻中・鳩尾・巨闕・上脘・中脘・水分・気海・期門・足三里・陽陵泉・陰陵泉・中都・豊隆・三陰交・復溜・太渓・太衝
「施術方法」
寸3-2番鍼で切皮のみとし、手技は行わず置鍼15分。
当院の考察
月経前症候群は生理痛そのものよりもつらいとおっしゃる患者さんもいます。
またそこまででなくとも、不快な症状があることは生活の質を落とすことにもなり、何とか改善したい症状かと思われます。
痛みやだるさなど身体的なつらさだけでなく、イライラや気分の落ち込みなど精神的なつらさもあります。
研究で使用したツボは、数が多いですね(笑)
ただ、精神安定・疲労回復などを意識しているツボ選びです。
浅く刺すスタイルですので、ツボ数は多いけど、身体への負担は少ないでしょう。
今回は研究のために一律どのような人にも同じ治療だったようですが、本来的には「ツボの数」「刺激の質と量」はその人に合わせたオーダーメイドが大事です。
(※余談ですが一律的な治療でも効くんだから鍼灸は大したものです(笑))
さて今回の論文では、イライラに鍼が効く、という結果でした。
これまた、日ごろ当院でも経験している通りです。
鍼灸治療は、薬のような副作用はなく、精神的な症状にも効果を発揮します。
基本的に不快なく受けていただける、安全な治療法です。
月経痛も不快ですし、PMSも負けず劣らず不快な症状かと思います。
ホルモンバランスが原因だとすれば、不妊にもつながります。
月経周期や月経の状態などは、健康のバロメーターだと考え、整えていかれることをおススメしたいです。
生活習慣も大事ですし、人の手を借りて整えるのも良いです。
鍼灸はそのお役に立てるはずです。
頼ってみてください。
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