【症例】唾液づわり(よだれづわり)でお悩みの妊婦さん|鍼灸治療4回で症状が軽減した事例

【よだれづわり症例】妊娠12週の唾液づわりが4回の鍼灸で激減した30代女性のケース

唾液つわりの鍼灸症例
※本記事は国家資格(はり師・きゅう師)を保有する院長が執筆しています。
※当院の実際の症例に基づきますが、患者様のプライバシー保護のため、個人が特定されないよう一部情報を変更して記載しております。
※効果には個人差があります。


妊娠中のつわり症状のひとつに、「唾液づわり(よだれづわり)」があります。
唾液が次々と出てきて飲み込むと気持ち悪くなるため、常にティッシュや容器が手放せず、日常生活に大きな支障を感じる方も少なくありません。

今回は、妊娠12週頃から唾液づわりと吐き気に悩まされていた30代女性の症例をご紹介します

まず結果からお伝えすると、約3週間・4回の鍼灸治療を行い、ご本人の評価で症状は10段階中「10」から「2」程度まで軽減しました

ただし、つわりは妊娠経過に伴って自然に軽快することもあるため、本症例の改善がすべて鍼灸によるものとは断定できません。
本記事では実際の経過と東洋医学的な考察を交えながら、唾液づわりに対する鍼灸治療の一例をご紹介します。

【症例概要】

・30代女性
・妊娠12週で来院
・主訴:唾液づわり、吐き気
・治療期間:約3週間
・治療回数:4回
・経過:症状評価10→2まで軽減

患者さまの情報と経緯

年齢・性別:
30代の女性

鍼灸院に来るまでの経緯:
現在妊娠12週目。
自然妊娠で、妊娠が分かってから胃のムカムカが始まったとのことでした。
妊娠7週頃から吐き気が強まり、9週頃にはつばと痰が増え、吐き気もさらに強くなったそうです。
唾液や痰を飲み込むと気持ちが悪いため、頻繁に吐き出しており、一日中つらい状態が続いていました。
寝ている時のみ症状が和らぐものの、唾液を吐き出した瞬間は楽になっても、すぐにまた溜まってしまうため、落ち着く暇がありません。

今回は二人目の妊娠でしたが、一人目の時はつわりはあったものの唾液づわりではなく、妊娠14週ほどで改善した経験をお持ちでした。

その他の症状としては、
冷えのぼせ、疲れ、片頭痛と肩こりを訴えていました。

この人を東洋医学ではどうみるか?

東洋医学では、唾液づわりは「脾虚(ひきょ)」と「痰湿(たんしつ)」が大きく関与していると考えます。

「脾」は消化吸収を司る臓腑であり、「脾虚」はその機能が低下している状態を指します。
脾の機能が低下すると、体内の水分代謝がうまくいかなくなり、「痰湿」という余分な水分が体内に溜まりやすくなります。

この痰湿が、唾液の過剰分泌や吐き気などの原因となると考えられます。

今回の患者さまは、もともと疲れやすいという体質、つまり脾虚の傾向がありました。
妊娠によってさらに脾の負担が増し、痰湿が生じやすくなったと考えられます。

また、冷えのぼせは、体内の気の巡りが悪くなっていることを示唆しています。

これらの症状を総合的に判断し、患者さまの状態を東洋医学的に捉えることで、適切な治療方針を立てることができます。

治療方針

脾の機能を高め、体内の余分な水分である痰湿を取り除くことを目的としました。

具体的には、気血を補いながら、中焦(消化器系)の湿を取り除くことを重視しました。

鍼灸治療は、身体のバランスを整え、自然治癒力を高める効果があります。
患者さまの症状や体質に合わせてツボ(経穴)を選び、鍼やお灸を用いて刺激することで、気の流れをスムーズにし、体内の環境を整えていきます。

刺激量はあくまで過多にならないようにソフトに行いながら、要所要所でしっかり刺激を与える方法で行い、負担なく安心して治療を受けていただけるように配慮しています。

治療内容と実際の経過

1回目:
仰向けで、「内関」「足三里」「三陰交」「太谿」に浅く置鍼し、「内関」「太白」にお灸と円皮鍼を追加しました。「中脘」「関元」には棒温灸を行いました。
うつ伏せで、「心兪」「隔兪」「腎兪」には浅く置鍼、「脾兪」には棒温灸を行いました。

2回目(1週間後):
妊娠13週に入っていました。
初回の鍼灸治療後、少しダルさが出たものの、すぐに軽快したとのことでした。
つわりは続いており、とくに夜の方がつらい状態でした。
基本的には1回目と同様の施術を行い、必要に応じて円皮鍼や点灸を随時追加しました。
背兪は「胃の六つ灸」にお灸を行いました。

3回目、4回目(1週間おきペース):
治療を重ねるごとに、唾液づわりは少しずつ改善していきました
最初のつらさを10段階の10とすると、3回目の時点で「5」、4回目の時点で「2」くらいに改善しました(0は全く症状がない状態)
施術内容は1回目に準じて行いました。

症状が軽快している様子が見られたため、4回の治療で鍼灸を終了としました。

鍼灸師としての感想とまとめ

今回ご紹介したのは、妊娠12週頃から唾液づわりと吐き気に悩まされていた30代女性の症例でした。

東洋医学では、消化吸収に関わる「脾」の働きの低下や、水分代謝の乱れによって生じる「痰湿」が症状に関与していると考え、体質や全身状態を踏まえながら施術を行いました。

結果として、約3週間・4回の施術を経て、患者さまご本人の評価では症状の大幅な軽減がみられました

一方で、つわり症状は妊娠週数の経過とともに自然に軽快することも多く、本症例だけで鍼灸の効果を断定することはできません。
また、症状や改善の程度には個人差があります。

それでも、つらい症状のなかで少しでも身体が楽になることや、「何かできることがある」という安心感は妊娠期間を過ごすうえで大切な要素だと考えています

当院では、お身体への負担に配慮しながら、妊娠中の体調変化に合わせた鍼灸施術を行っています。唾液づわりや吐き気などのつわり症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

つわりの詳しいページはこちら

つわり(妊娠悪阻)