40代の不妊、AMH値が低い鍼灸症例
40代の不妊、AMH値が低い症例
患者さま
40代 女性
初来院
2017年6月30日
お悩みの症状
一人目不妊
初来院までの経過
10年ほど前から妊活開始。自分たちでタイミングを取っていた。
3年前に不妊の専門病院にいく。
患者さん(奥さま)はAMHの値が低いことを指摘され、ご主人は「無精子症」と診断される。
また同時期ご主人がバセドー病を発症し、しばらくその治療をするために妊活もお休み。
1年ほど前、別の不妊専門病院に転院し、ご主人は精索静脈溜のための手術を受け、採取した精子を凍結する。
その後、採卵しての顕微授精が試みるが、採卵しても卵子が0~1個しか取れないケースや、移植しても着床しないなどを5回ほど繰り返す。
疲れなどもあり、少し休みの期間を設けることにして、その間に鍼灸を受けるために来院。
治療方針
虚証ではないが、AMH値が低いことから、血流が悪いことがうかがえるので、婦人科系に関する骨盤付近の血流をよくするような治療をすることとする。
スポーツを熱心にされている方で、素体の気血の充実しているタイプなので、刺激はしっかりめに行うことにする。
体の筋肉全体がかたいことからも、気血の巡りを疎通させるようにこころがけることとする。
治療と経過
1回目。
「天枢」「陽陵泉」「三陰交」「太衝」「太渓」「合谷」に鍼。腹部はお灸も追加。「肩から肩甲間部のコリ部分」「肝兪」「腎兪」「次リョウ」に鍼+お灸。
2~29回目(1週間~10日ペース)。
その時その時の気になる場所(肩こりだったり腰痛だったり)をケアしつつ、基本は1回目同様の施術を継続。
適宜パルス鍼も併用。
この間、採卵2回(1回空胞・1回移植)するも着床せず。
鍼灸院に来て7ヶ月後の施術29回目のあとに採卵して初期胚の移植を予定。
30回目(前回より2週間後)。
移植後の鍼灸。
「下腹部の硬い部位」にお灸。「陰陵泉」「三陰交」「太渓」「太衝」に浅く鍼。「心兪」「肝兪」「腎兪」「次リョウ(+お灸)」に鍼。
31~36回目(7~10日ペース)
病院で妊娠陽性反応を得る。
その後もケアのため鍼灸施術は継続中。
現在妊娠10週になり、不妊の専門病院は卒業し近所の産婦人科へ通院開始。
同時に治療した症状
・肩こり
まとめ
採卵しても少なかったり、移植を繰り返しても成功しなかったケース。
明るいお人柄だったため、妊活の苦労や不安などを施術中に出すことはほとんどなかったが、経緯を知るとおそらく様々な葛藤があったのではないかと推察される。
状況は楽観視できなかったので陽性反応のお知らせは嬉しかった。
鍼灸治療も7か月ほどかよっていただきご懐妊となった。
これは(お子さんを授かるまでの期間が短い人もいればもっと長い人もいるが)平均的には6~7ヶ月ほどであるから、スタンダードな期間といえるだろう。
やはり体質を整えるには半年程度の期間をみることが大事だと感じる。