腰椎ヘルニアによるお尻の痛みが鍼灸治療で改善した症例
腰椎ヘルニアによるお尻の痛みへの鍼灸治療
腰椎椎間板ヘルニアは、腰痛や下肢の痺れ、痛みを引き起こす代表的な疾患です。
とくに、坐骨神経痛と呼ばれるお尻(臀部でんぶ)から下肢にかけての痛みは、日常生活に大きな支障をきたします。
今回は、10年前に腰椎ヘルニアと診断され、一時的に改善したものの、再び臀部痛に悩まされていた60代男性のケースです。
わずか2回の鍼灸治療で劇的な改善が見られたこの症例を通して、当院の鍼灸治療の特徴と効果をご紹介いたします。
患者さまについて
年齢・性別:
60代男性
主訴:
腰部から左臀部にかけての痛み
既往歴:
10年前に腰椎ヘルニアと診断、鎮痛薬服用も効果不十分。
当院の鍼灸治療で一時的に改善。
15年前に心筋梗塞の手術歴あり。
生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病)で服薬治療中。
現病歴:
1ヶ月前から左臀部に疼痛が出現。
徐々に悪化傾向。慢性的な腰痛も併発。
疼痛部位は1ヶ月間変化なし。動作時に疼痛が増強。
その他の症状:
寝つきが悪い。
この患者様は、10年前に腰椎ヘルニアと診断され、当時の治療では十分な効果が得られませんでした。
その後、当院の鍼灸治療で症状が改善した経験から、今回の再発に際しても鍼灸治療を選択されました。
生活習慣病の既往歴があること、過去に心筋梗塞を患っていることは、治療方針を決定する上で重要な情報となります。
東洋医学的考察
東洋医学では、痛みは「不通則痛(ふつうそくつう)」、つまり「流れが滞ると痛みが生じる」と考えます。
今回の患者様の症状は、腰部の経絡(主に膀胱経)の気血の流れが滞り、臀部に痛みが生じている状態と捉えられます。
とくに、
高齢であること、生活習慣病の既往歴があることから、気血の不足や瘀血(おけつ:血の滞り)も考慮する必要があります。
また、寝つきが悪いことから、心神不安(しんしんふあん:精神的な不安定)も影響していると考えられます。
治療方針
今回の治療方針は、以下の点を重視しました。
経絡疎通:
滞っている経絡の気血の流れを改善し、痛みを緩和する。
活血化瘀:
瘀血を取り除き、血行を促進する。
補腎強腰:
腎の機能を補い、腰を丈夫にする。
安神定驚:
心神を安定させ、睡眠を改善する。
これらの治療方針に基づき、おもに腰~臀部での気血瘀滞・腎虚(じんきょ:腎の機能低下)と判断し、この部分の経絡の疎通を図りました。
治療経過
1回目:
伏臥位(うつ伏せ)で、心兪、膈兪、肝兪、腰~臀部の局所(肓門、志室、臀部の反応点)、崑崙に鍼。
その後、腰の局所には点灸。
鍼はすべて毫鍼(ごうしん)を使用。刺鍼後、一定時間置鍼。腰部と臀部の圧痛点に施灸。
2回目(3日後):
少し改善したとのことで、基本的には1回目と同様の施術をすしました。
治療後、立って腰を動かしてもらうも痛みはないとのことだったので、今回で鍼灸治療は終了としました。
使用した主なツボとその代表的な効果
心兪(しんゆ):
循環器系の機能を整え、精神的安定をもたらす作用があります。
膈兪(かくゆ):
血流を促進する作用があります。
肝兪(かんゆ):
筋肉のコリや張りをほぐす作用があります。
志室(ししつ):
腰痛、足腰の冷え、頻尿などに効果があります。
崑崙(こんろん):
膀胱経の重要穴で、膀胱経絡上の足腰の症状に効果があります。
これらのツボを組み合わせることで、経絡の疎通、活血化瘀、補腎強腰、安神定驚といった効果を最大限に引き出し、患者様の症状改善に繋げることができました。
とくにお灸は、温熱刺激が深部にまで浸透し、血行促進と鎮痛効果を高めるため、今回の症例では非常に有効でした。
まとめ
今回の症例を通して、鍼灸治療が腰椎ヘルニアによる臀部痛に対して非常に有効であることが改めて示されました。
とくに、当院では、患者様の状態を丁寧に把握し、東洋医学的な視点から原因を特定した上で、最適なツボを選定し、鍼と灸を組み合わせた治療を行っています。
今回の患者様のように、長年腰痛や坐骨神経痛に悩まされている方は、ぜひ鍼灸治療をお試しください。
当院は、皆様の健康を心からサポートいたします。
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