原因不明の不妊で鍼灸のみで約3ヶ月で妊娠に至った鍼灸症例

原因不明の不妊で鍼灸単独で妊娠した鍼灸治療

婦人科病院に行かず鍼灸で体を整えたい症例

近年、晩婚化やライフスタイルの変化に伴い、不妊に悩むご夫婦が増加傾向にあります。
不妊治療といえば、高度生殖医療を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、体への負担や経済的な負担、そして精神的なストレスも少なくありません。

当院では、西洋医学と併用を前提にした、東洋医学に基づく鍼灸治療で、妊娠を望む多くのご夫婦をサポートしてまいりました。

今回は、婦人科への通院経験はあるものの、その後は当院の鍼灸治療のみで約3ヶ月という短期間で自然妊娠に至った30代女性症例です

この症例を通して、当院の不妊鍼灸がどのように妊娠をサポートするのかをお伝えいたします。

患者さまについて

年齢: 30代

性別: 女性

主訴: 一人目不妊

大きな病気やケガ: 特になし

その他の症状:
不妊の他に、肩こり、目の疲れ、時折起こる頭痛、そして手足の冷えも訴えていました。
これらの症状は、東洋医学的に不妊と深く関連していると考えられます。

鍼灸院にくるまでの経緯

患者さまは1年前から妊活を開始し、自分たちでタイミングを試みるも妊娠に至らず。
9ヶ月後には婦人科を受診し、ご夫婦ともに検査を受けましたが、とくに異常は見つかりませんでした。

その後、排卵誘発剤を使用したタイミング療法を3回試みましたが、やはり結果は得られませんでした。

その後、新型コロナウイルス感染症の流行を機に婦人科への通院を中断。

基礎体温測定と排卵検査薬を用いた自己タイミング法に戻しましたが、状況は変わらず。

病院では原因が無いと言われているので、他に何かできることをしたいと当院の鍼灸をご希望されて来院されました。

病院には通わず、鍼灸で体質を整えながら自然な妊娠を目指したいという希望をお持ちでした。

東洋医学的考察

東洋医学では、妊娠は「腎(じん)」の機能と密接に関わっていると考えます。
「腎」は生命エネルギーの源であり、成長、発育、生殖を司る重要な臓器です。
また、「肝(かん)」は血を貯蔵し、全身に血を巡らせる役割を担い、「脾(ひ)」は飲食物から栄養を吸収し、全身に運ぶ働きをしています。

この患者さまの場合、手足の冷えは「腎陽虚(じんようきょ)」、肩こりや目の疲れ、頭痛は「肝気鬱結(かんきうっけつ)」、全体的な気血の不足は「気血両虚(きけつりょうきょ)」の状態を示していました。

つまり、生命エネルギーの不足、血の巡りの滞り、栄養の不足が複合的に重なり、妊娠しにくい体質になっていると考えられました。

治療方針

上記の東洋医学的診断に基づき、以下の治療方針を立てました。

補腎益精(ほじんえきせい):
「腎」の機能を高め、生命エネルギーを補う。

疏肝理気(そかんりき):
「肝」の気を巡らせ、気の滞りを解消する。

健脾益気(けんぴえっき):
「脾」の機能を高め、栄養の吸収と運搬を促進する。

活血化瘀(かっけつかお):
血の巡りを改善し、血の滞りを解消する。

これらの治療方針に基づき、鍼とお灸を組み合わせた施術を行うことで、体の内側から妊娠しやすい状態へと導くことを目指しました。

治療経過

初期治療(1~13回目):

「中脘」「関元」に棒温灸。
「天枢」「中封」「陽陵泉」「足三里」「三陰交」に置鍼。
「天枢」に円皮鍼。
「肩こりの局所」に単刺。
「風池」「心兪」「肝兪」「脾兪」「腎兪」に置鍼。
「脊中」「命門」に棒温灸。

初回の治療では、体の状態を丁寧に把握し、上記の治療方針に沿ったツボを選定。
特に棒温灸を用いることで、体の深部から温め、気血の巡りを促進しました。

患者さまからは「治療後、目の疲れが楽になった」との声があり、効果を実感していただくことができました。

その後も週1~2回のペースで治療を継続。
施術内容は初回とほぼ同様でしたが、患者さまの状態に合わせて微調整を行いました。

妊娠の兆候と治療の変更(12~13回目):
鍼灸治療開始から生理周期で3周期目、鍼灸治療では12回目の時に患者様から「生理が遅れている」との報告を受け、「妊娠しているかもしれない」とのことでした。

この報告を受け、刺激量を控えめにした施術に変更。

つわりのような症状も若干あったため、リラックス効果の高いツボを重点的に使用しました。

そして、13回目の治療時に病院で妊娠が確認されたとの嬉しい報告を受けました。
この時点で、治療の目的を妊娠維持へと切り替えました。

妊娠維持のための治療(14~17回目):
妊娠初期は流産の可能性もあるため、引き続き慎重な施術を行いました。
お灸を中心に、安胎(あんたい)効果のあるツボを選定し、母体の安定と胎児の健やかな成長をサポートしました。
妊娠11週を迎え、初期の不安がなくなったため、患者さまと相談の上、一旦鍼灸治療を終了としました。

使用した主なツボとその代表的な効果

中脘(ちゅうかん):
胃の不調を整え、消化吸収を促進。

関元(かんげん):
生命エネルギーの源である「丹田(たんでん)」に位置し、全身の機能を高める。

天枢(てんすう):
大腸の働きを整え、便通を改善。

中封(ちゅうほう):
肝経のツボで、気の巡りを改善。

陽陵泉(ようりょうせん):
胆経のツボで、筋肉や関節の痛みを緩和。

足三里(あしさんり):
胃腸の働きを整え、全身の機能を高める万能のツボ。

三陰交(さんいんこう):
肝・脾・腎の経絡が交わるツボで、婦人科疾患に効果的。

風池(ふうち):
首や肩のこり、頭痛、目の疲れに効果的。

心兪(しんゆ):
心臓の機能を整え、精神安定作用も期待できる。

肝兪(かんゆ):
肝臓の機能を整え、血の巡りを改善。

脾兪(ひゆ):
脾臓の機能を整え、消化吸収を促進。

腎兪(じんゆ):
腎臓の機能を高め、生命エネルギーを補う。

脊中(せきちゅう):
全身の機能を調整する効果がある。

命門(めいもん):
生命エネルギーの源である「命門の火」を温める。

不容(ふよう):
胃の不調を整える。

内関(ないかん):
胸の不快感や吐き気を緩和。

太谿(たいけい):
腎臓の機能を高める。

まとめ

この症例は、婦人科での検査で特に異常が見つからなかったにもかかわらず、1年以上妊娠に至らなかった女性が、当院の鍼灸治療のみで約3ヶ月という短期間で自然妊娠に至ったケースです

この結果は、
鍼灸治療が、東洋医学に基づいた的確な診断と施術によって、体の内側から妊娠しやすい状態へと導く効果があることを示しています

また、肉体的な改善だけでなく、精神的な安心感を提供することも、妊娠をサポートする上で重要な要素であると考えています。

当院では、不妊に悩むすべての女性に寄り添い、一人ひとりの状態に合わせた丁寧な施術を行っています。
「赤ちゃんを授かりたい」という切実な願いを叶えるために、東洋医学の力で最大限のサポートをさせていただきます。

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