突然背中に激痛が起こる発作の鍼灸症例
背中の激痛が突然起こる
患者さま
40代 男性
初来院
2018年12月30日
お悩みの症状
背中の筋肉が突然痛み、呼吸するのもつらい状態が年に2回くらい起こる
初来院までの経過
初めて起こったのは15年ほど前。
突然、呼吸が苦しくなるほどの背中の激痛が発作のように起こり、10~15分ほど続く。
年に2回くらい起こる。
11月くらいから春までに多い。
車によく乗る仕事なので、運転中に起こると危険なので不安が強い。
発作時は、じっとしているのはつらいので、カラダを後ろにそらせたり、深呼吸したりすると早く良くなることがある。
鼻づまりが多い(=花粉症がひどい)時に発作が起きやすいようだ。
なお、この件で病院にいったことはない。
治療方針
患者さんは「水湿」が多い肥満体系である。
車に乗って全国を回るような仕事スタイルでもあり、「疲労」と「動かない」の両方がある。
「痰飲」と「瘀血」が背中の筋肉部分に滞っていることが痛みになると判断。
その度合いが「冷え」「花粉症」「動かない」などで悪化し、ある一定の限度を超えたときに発作的に出現するのだろう。
湿と血の滞りをとりつつ、「脾」「腎」の虚を補って、少しくらい冷えたり動かなくても発作にならない体を作るようにする。
発作時以外は激痛はないので、肩コリや背中のコリ、腰痛など背部の慢性的な症状を指標とする。
治療と経過
1回目。
「中脘」に棒温灸。「天枢」「足三里」「合谷」「陰陵泉」に響かせて置鍼。「足三里」には台座灸を追加。足先にはホットパック。「肩こりの部位」「心兪~脾兪間の虚反応穴」に置鍼。「腰のコリ痛みの部位」に点灸+円皮鍼。
2回目(1週間後)。
腰痛は軽減。首から肩背のコリがある。
基本的に1回目と同様の内容とする。首肩のコリの部分にはパルス鍼を使用。
3~15回目(1~2週間に1回ペース)。
肩こりやひざ痛・寝違えなど、その時その時に気になる症状に対して丁寧に対処しつつ、脾腎虚を補う施術を積み重ねる。
仕事は忙しいようで過労気味だが、例の発作は起こらない。
15回目を終えた時点で6月下旬になっており、冬から春の時期を発作なく乗り切れたので、鍼灸もいったん終了とする。
同時に治療した症状
・肩こり
・腰痛
・ひざ痛
まとめ
通院している半年ほどの間では発作用の激痛は起こらなかった。
腰痛なども改善され、虚的な状態を多少なりとも補えたかと思う。
ただし、仕事が忙しく、車に乗りっぱなしのようなスタイルであり、典型的な生活習慣病である。
日常生活を整えていただければ、より発作の起きる可能性も減らせると考え、それとなく伝えた。
…が、こればかりは患者さん本人の気持ち次第である。
カラダは鍼灸に素直に反応するので元々の資質は良さがある。
これはより鍼灸が適している証しと思われる。
今後もうまく活用していただければ、と考える。