30代の不妊、排卵障害と内膜症のある鍼灸症例

30代不妊(排卵障害と鍼灸内膜症がある体外受精)

不妊

患者さま

30代 女性

初来院

2018年9月15日

お悩みの症状

一人目不妊

初来院までの経過

生理痛がつらく婦人科病院にいったところ「子宮内膜症」と診断され、そこから2年間ピルを飲んでいた。
3年前から妊活開始するにあたり病院でも検査を受ける。
排卵しづらいなどホルモンバランスの悪さを指摘され、「排卵誘発剤を使ってのタイミング療法」を提案される。
タイミング療法を6回行うもうまくいかず。
その後仕事も忙しくなり、半年ほど中断。
再開後は人工授精を行うもうまくいかず。
4ヶ月ほど前に、体外受精にステップアップすることにする。
この段階で、病院でできること以外でも可能性を高めたいと鍼灸院に来院。

婦人科系以外では、「くび肩こり」からくる「頭痛」がある。

治療方針

イライラなどのストレス(肝気うつ)があると判断し、気滞血瘀の解消をメインにすえる。
瘀血体質。
心・肝の気血をめぐらせることとする。
自覚症状としてくび肩コリなどがあるので、その時に応じてそのコリを取っていく。

治療と経過

1回目。
「関元」に温灸+お灸。「合谷」「三陰交」「陽陵泉」「太衝」に鍼。足先にホットパック。「首~肩甲間部のコリ部分」「膏肓」「隔兪」「肝兪」「次髎」に鍼+円皮鍼。
2回目~10回目(1週間に1回ペース)。
その時その時の体調やコリの場所などにより若干の配穴を変えながら、基本は同様の施術とする。
円皮鍼やパルス鍼などを加えることも多かった。
生理痛は少し改善している気がするとのこと。
7回目の施術終了後に、採卵をする。
4個取れたうちの受精卵1個を2日後に移植する。
残った受精卵のうちひとつが胚盤胞まで育ったので凍結した。
11回目(10回目の1週間後)。
判定日の翌日の来院。陽性反応とのこと。
妊娠初期も、引き続き鍼灸を継続希望される。
肝・脾・腎の働きを補うような配穴に変更し、全体的にソフトな刺激に切り替える。
12~15回目(2週間に1回ペース)。
妊娠6週くらいからつわりの症状が出だす。
つわり対策に「内関」「足三里」「胃の六つ灸」あたりを鍼・灸・円皮鍼などで疎通させるように刺激する。
妊娠初期の大変さも無事経過し、近所の産婦人科さんに転院した妊娠11週まで鍼灸にいらしていただき終了となった。

同時に治療した症状

・頭痛
・肩こり

まとめ

陽性反応が出るまで3ヶ月だった。
気血(体力面)はしっかりしていたので、逆にそれが滞らずめぐるように鍼灸を行った。
穴性的に、臓腑的に、そして実際の体のコリ的に、めぐりを浴するよう心がけた。
めぐりをしっかりさせて、IVFを行った結果、一回の移植で無事に妊娠できたのはうれしかった。
体質改善しつつ結果が出る最短の単位が3ヶ月だと考えているので、ひとつセオリーどおりの展開だったか、と思う。