不眠症には耳ツボを併用した方が効くか?

不眠症の鍼治療に耳ツボを併用した方が効くか?

不眠症に鍼灸|千葉県|鎌ヶ谷・船橋・松戸

鍼治療には催眠作用があります。
今までの他の研究でも、不眠症に対してニセ鍼治療より効果的である結果が示されてきました。

特殊鍼法である耳介鍼もまた不眠症の治療に有効です。
耳の鍼治療は三叉神経、顔面、舌咽頭、迷走神経を含むいくつかの脳神経活動を増強し、交感神経の不均衡を改善することで効果につながると考えられています。

通常の鍼治療では不眠症に効果の出るツボとしては内関(PC6)や四神聡(EX-HN1)があります。
これらのツボへの刺激は、脊髄および三叉神経の感覚系を活性化することで不眠症に効果を出すと考えられます。

このように身体の鍼と耳鍼は違ったルートで効き目を出すのだから、通常の鍼治療と耳ツボ治療を併用したら、通常の鍼治療単独よりも効果を出すのではないかと推測した研究があるのでご紹介します。

『不眠症のための鍼治療(耳ツボを併用した鍼治療)』
https://aim.bmj.com/content/36/1/2

【概要】
鍼治療単独と耳ツボ+鍼治療の併用が不眠症に効くのかどうかの高品質で大規模な治験はほとんどない。
(耳ツボ+通常の鍼の)併用の優越性をテストするための試験を実施する。
不眠症を有する224人の被験者を「鍼治療単独群」「鍼治療+耳介鍼治療(併用療法)群」「無治療群」に3:3:1の比率で無作為に分類した。
「鍼治療」と「併用療法」は、週に3回を3週間提供された。
治療の開始時、1週間後、4週間後、および13週間後に評価を行った。

結果。
「鍼単独治療群」と「併用療法群」との間に有意差はなかった。
しかし、両方の治療は、不眠症、不安/抑うつ症状および疲労を軽減する上で「無治療群」よりも優れていた。
その治療効果は、治療後13週間維持された。

結論。
試験が短期であるなどの制限あるものであるが、耳ツボ治療によって通常の鍼治療の効果が増すとは言えなかった。
ただし、鍼治療と併用療法は安全で、軽度の催眠効果があり、少なくとも効果は13週間続いた。

「治療方法」
・鍼治療でのツボは、四神聡・安眠・内関・神門・三陰交・印堂・百会。および耳ツボの神門。
体鍼には0.25×25mmのステンレス鍼、耳鍼には0.20×25mmのステンレス鍼を用いた。
刺入の深さは、ツボに応じて2mm~25mmで得気を感じる程度。
外科用テープまたはヘアピンを用いて針を固定した。
その後、4Hz周波数のパルス刺激を30分間行う。
(※耳ツボの神門は普通によく使われるツボなので通常治療に含めた。)
・耳ツボは、神門・心臓・腎臓、肝臓、脾臓、後頭部および皮質に粒を貼り、刺激してもらう方法。

当院の考察

耳ツボと不眠

耳ツボを併用しても通常の鍼治療以上の効果は出なかったが、どちらも同じく不眠症の改善には役立った、という結果。
今後の治療方法(耳ツボを加えるか否か)の判断には役立つ結果でした。
(※もちろん今回の治療だけで治療方針を決める訳ではありません。)

不眠に鍼灸が有効というのは普段の治療でも感じています。
ですので試験で「鍼治療群が無治療群よりも効果あった」のは日常の実感と一致しています。

不眠の改善の鍼灸には、やはり全身鍼灸が適しています。
(※今回の研究で使われたツボは頭・腕・足など全身でした。)

そして、ある程度継続的な治療を受けることで効果になってきます。
(※これまた今回の研究でも、週3回の治療を3週間でした。)

「薬の治療以外の何かないか?」と考えられたら鍼灸をおススメします。
お待ちしています。

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