慢性痛への鍼灸

慢性痛への鍼灸

慢性痛の鍼灸|千葉県|鎌ヶ谷・船橋・松戸

米国のオピオイド問題

オピオイド鎮痛剤は、強力な鎮痛作用を発揮する薬剤です。
がんの痛みや手術の際の痛みなど、強い痛みを抑えるために使用されています。
神経に作用しますので「気分の高揚」が表れることもあります。
オピオイドの代表例が『モルヒネ』です。

米国では、慢性痛の治療に使われるオピオイド系の鎮痛剤が乱用されて問題になっています。
中毒状態になっている者は190万人・死亡者は1999年から2014年までで16万5000人とも言われています。
オピオイド鎮痛剤には驚くほどの常習性があります。

日本においては、多くのオピオイド鎮痛剤は『医療用麻薬』に指定されています。
そのため処方にあたっては、医師には特別な免許が必要となります。
また、医師のみならず、薬剤師、製薬会社も特別な免許が必要となります。
このような厳密な管理が日本では行われていますので、アメリカのような状況は起きていません。

慢性疼痛のための鍼治療

このようなオピオイド禍を受けて、米国では「痛みの改善法としての鍼灸」が注目されています。
そのひとつの研究例をご紹介します。

『米国バーモント州における慢性疼痛のための鍼治療』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29662722

【概要】
オピオイド危機に対応して、2016年のバーモント州議会は、バーモント州メディケイドを受けている慢性疼痛患者の鍼治療を評価する調査をした。
慢性疼痛を有するメディケイド患者156名が、バーモント州で鍼灸師免許を持った28人の鍼灸師から60日間以内に12回の鍼治療を受けることにした。
痛み強度・痛みの干渉・身体機能・疲労・不安・抑うつ・睡眠障害の変化を評価するために、PROMIS®アンケートを治療期間の前および後に行った。

結果。
幅広い疼痛愁訴を持った患者は、期間中に平均8.2回治療を受けた。
鍼治療後に、平均疼痛強度、身体機能、疲労、不安、うつ病、睡眠障害、および社会的孤立の有意な改善を示した。
鎮痛薬(非オピオイド)を使用している患者の57%が使用の減少を報告。
オピオイド薬を使用している患者の32%は、介入後にオピオイド薬の使用を減らしたと報告。
雇用された患者の74%が能力の改善を報告。
慢性疼痛のある患者には鍼治療を推奨すると回答した。

結論。
慢性疼痛に対する鍼治療が実現可能であり、バーモント州メディケイド集団の患者によく受け入れられることを示している。
認可された鍼灸師からのケアを受けたことは、鍼治療前と比べて、身体的、機能的、心理的、感情的、および職業能力的に有意な改善を示した。

当院の考察

慢性痛の鍼灸
アメリカでは「鍼灸で鎮痛することでオピオイドの使用量を減らせる」という流れで考えられますが、日本ではオピオイド禍は関係ないので、おもに「鎮痛作用としての鍼灸」という面だけで考えます。
様々な慢性の痛みをもつ多数の人へ鍼灸した結果、それらの人の身体・心理・仕事的に機能が改善したという結果でした。

もちろんすべての人の状態が改善する、なんてことはないでしょう。
ただ、1例だけに劇的に効いたという報告とは逆の意味での「鍼灸の可能性」が垣間見える気がします。

鍼灸は鎮痛作用があります。
「鍼灸をした場所(局所)」で起こる鎮痛作用もあれば、「痛みを脳に伝えるルート上で起こる」鎮痛作用、「脳内で起こる」鎮痛作用などが確認されています。
複合的に鎮痛作用があるので、様々な痛みに対応できるのだと考えられます。

また、鍼灸はその施術形態からも「人と人の交流」があります。
コミュニケーションや手当てのような、人と人のエネルギーの交流のようなものも治療効果に含まれるはずです。
それがリラックス作用にもつながります。

鍼灸「だけ」で全てが上手くいく、とは言いません。
病院での治療や薬とうまく併用することで、鍼灸のチカラも活きてきます。
「病院の治療以外に何かできるかことはないか!?」と考えた際は、鍼灸も頼って下さい。
お待ちしております。

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