抗がん剤の副作用(手足のしびれ)の鍼灸症例
抗がん剤の副作用(手足のしびれ)
患者さま
50代 男性
初来院
2015年9月9日
お悩みの症状
大腸がんの抗がん剤副作用(手足のしびれ)
初来院までの経過
2014年秋に血便が出たもののそのまま放置。3ヵ月前(2015年6月)に内視鏡検査を受け「大腸がん」と診断。
2ヶ月前に腹腔鏡での摘出手術(横行結腸部)。リンパ節転移あり。
退院して2週間後から抗がん剤開始。
手足のしびれ・吐き気も出始め、2回目の抗がん剤投与があったところで今後の副作用対策に鍼灸を希望して来院。
手術の頃から、不安感も強く不眠気味である。
治療方針
抗がん剤により気血の巡りが乱れているので、特に胃腸の巡りを整えることを重視する。
また、手足のしびれ対策には末端まで血を巡らせるよう末端部を刺激。
大病の不安も当然あり、リラックスできるよう、背部兪穴も多めに使用することとする。
治療と経過
1回目。
「曲池」「内関(+円皮鍼)」「足三里(+台座灸)」「太渓」に鍼。「中カン」に温灸。「風池」「心兪」「肝兪」「脾兪」「腎兪」に鍼+温灸。「足指先端」にお灸。
2~14回目(1週~2週間に1回ペース)。
足はしびれよりも湿疹様の水疱が多くでき、それが破れて痛む事が辛い。また不眠を強く訴える。全身の冷えも感じる。
「気」「水」の巡りを強めることにする。
「ダン中」「不容」「合谷」「足三里」「太渓」に鍼。足にホットパック。「風池」「心兪」「肝兪」「胆兪」「腎兪」に鍼+円皮鍼。
疲れ、胸やけ、腰痛、吐き気…などその都度の訴えにあわせて多少の配穴をかえつつ、上記を継続。
最後の頃は、めまいふらつき感を強く訴えていた。
気が上焦にめぐっていないことの証しと思う。
鍼灸施術を14回終えるころ、抗がん剤治療が終了。
15~27回目(2~3週間に1回ペース)
めまいふらつきは鍼灸施術の結果、改善。
代わりに息苦しさを訴え、病院でCT検査をし「間質性肺炎」であると診断。
気管支拡張の薬を使い始める。
大腸癌の方は経過良好。
手足のしびれは少しずつ改善されていき、息苦しさも少しずつだが改善される。
ちょうど鍼灸開始から1年ほど経つ。
28~43回目(2~3週間に1回ペース)
少し咳が出るが苦しいわけではない状態で、基本的には安定している。
病院での経過観察でも、癌も呼吸器も問題なく安定維持。
再発予防と健康増進という目的で、鍼灸施術も継続中。
同時に治療した症状
・疲れ
・ストレス
・腰痛
・不眠
・咳
まとめ
仕事やプライベートなどで忙しくされている中、2~3週間に1回ペースで施術を続けてきた。
抗がん剤治療の頃はもう少し頻度よく施術できればよかったが、こればかりは仕方ない。
副作用で苦しい時期もあったが、その後は経過は悪くない。
逆に患者さんの生活軸の中で安定的に通っていただけることで、鍼灸もお役に立てていると感じる。
男性に多いことだが、仕事が忙しいのが気になる。
日常でも身体のこともいたわって欲しい。