痩せた男性は緑内障になりやすい!?
痩せた男性は緑内障になりやすい
国立長寿医療研究センターの研究によると「男性では高齢であること・体格が痩せていることが緑内障のリスクと関連することが分かりました。一方女性では、眼圧が高いこと・角膜の厚みが薄いことなどが緑内障のリスクを高くすることが分かりました」。
http://www.ncgg.go.jp/cgss/department/ep/topics/topics_edit22.html
痩せの東洋医学(鍼灸)視点
この研究では痩せていることと緑内障になることの繋がりは不明とのことですが、東洋医学的な視点で考えてみます。
東洋医学(鍼灸)で、緑内障(目の病気)に一番関係する臓腑と言えば「肝」です。
目の親分が肝ということです。
【肝の働き】
・気血循環の調節
・消化の促進
・情緒安定
・血の循環量の調節
・栄養分を運び、老廃物を回収する
・筋、じん帯、爪、目の機能を調節する
・自律神経に関与
「肝」が目を管理監督しているので、全身にストレスや自律神経系の乱れ、血流が悪さなど肝の働きの低下があり、なおかつ目の弱さが加わることで、緑内障になるのでしょう。
これが一般的な緑内障の東洋学的な背景。
ただしさらに男性は「脾虚」が加わることで余計に確率が高まるというのが今回の研究でした。
脾虚とは「全体に気(エネルギー)が不足しているタイプのことで、胃腸が弱く少食、疲れやすい、手足がだるい、風邪をひきやすい、ちょっと動いても汗がでる」などの状態です。
やせ型の人が多くなります(…が、ポチャッと太った人も脾虚であることが少なくありません)。
脾虚傾向のある人で、肝の病態も絡めば、緑内障も出やすくなります。
典型例としては、考え込みやすい人で、悩むと食が細り、疲れやすさや血流の悪さが出る人…でしょうか。
ようは痩せていることが緑内障を生むわけではなく、痩せ型の人が持つ特徴(全身のエネルギー不足)が目にも悪いということです。
とくに若い年代で緑内障になる人は脾虚傾向が強いと考えます。
(加齢は腎虚という別のエネルギー不足があり、それは一概に痩せる訳ではない為)
エネルギー不足が緑内障を生むなら、逆にエネルギーを補う治療が効果を出すだろうことが推察されます。
男性はより脾虚的な虚労には丁寧に当たっていくと効果が出やすいでしょう。
別の研究とまとめ
ちなみに、アメリカの研究ではこのようなものもあります。
『体格指数(BMI)と緑内障の関係』
https://iovs.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2148301
【目的】
緑内障の危険因子は、眼圧・角膜の薄さ・加齢が分かっている。
これに最近、開放隅角緑内障(OAG)のさらなる危険因子として、体格指数(BMI)が関与していることが示唆されている。
本研究ではOAGとBMIの関係を探ることである。
【結果】
過去10年間に緑内障の診断を受けた21,479人の患者のうち、1,673人のBMI値を計算した。
そのうち25.9%がBMI25以下だった。
患者の大多数はアフリカ系アメリカ人で平均年齢は70.2歳であった。
59%が女性であった。
【結論】
緑内障の1,673人の被験者のうち74.1%にBMI25以上が存在していた。
緑内障を発症した患者の多くが高いBMI値だったことは、低BMIが視神経障害と関連しているという最近の報告とは異なった。
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まとめ。
アメリカの研究は、日本の研究結果を覆すものですが、男女の区別がないので一概には比較できません。
(※日本の研究でも女性の場合は痩せ型とは無関係でした。)
鍼灸的に考えて、ポッチャリ型の脾虚もありますし、加齢の腎虚型もありますし、ストレスからくる肝うつ型もあります。
緑内障になりうるいろいろな原因型(これを「証(しょう」と言います)があるのです。
「痩せ型は、脾虚の代表特徴だから、緑内障になるタイプのひとつである」程度がちょうどよい認識でしょう。
その人の体質(=証)に合わせて施術するのが一番大事だというのは揺るぎませんね。
(※しかし、男女で差があるのも興味深い結果です。痩せ型の女性と緑内障の因果関係が見つけられなかった理由はわかりません。)
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