鍼を刺すとなぜ痛みが和らぐのか?

鍼治療の局所鎮痛|鎌ヶ谷市(新鎌ヶ谷)の鍼灸院

鍼治療の局所鎮痛の仕組み

鍼治療に鎮痛効果があることは長く言われてきました。
「EBM(証拠に基づく医療)」が重要と言われるなかで、鍼の局所の鎮痛が現代医学的にどのような仕組みで効果を発揮するのかは分かっていませんでした。
もちろん、仕組みは定かではない状況でも、世界中で鍼治療は行われていますので、我々鍼灸師は「経験的に効果が認められていることがイコール実践の根拠」としてきました。
私のような一介の鍼灸師にとっては「日々の実践で効果があることが大事」ですので、それ以上のうんちくはなくてもよいのですが、最近の知見で局所の鎮痛がなぜ起こるのかは分かってきているので、紹介します。

鍼の局所鎮痛に関する論文

鍼刺激による局所鎮痛にアデノシンA1受容体が関与している(Adenosine A1 receptors mediate local anti-nociceptive effects of acupuncture.)』
https://www.nature.com/articles/nn.2562

この論文では、
鎮痛効果を発揮する物質(アデノシン)が、マウスへ鍼をすることで放出されていることが確かめられています。
(※マウスの「足三里」(膝下にあるツボ)に鍼を打つとアデノシンの局所的濃度が上昇した。)
また、アデノシンによる鎮痛作用は「アデノシンA1受容体」が刺激されることが必要であることを見出しています。
その理由は、アデノシンA1受容体を作動させる薬を注射すると、鍼治療の鎮痛効果が再現されたからです。
さらに、通常アデノシンは代謝され少しずつ減っていくのですが、それを妨害(減らないように)してみると、アデノシンの増加とその鎮痛効果は増強しました。
これらから、アデノシンが鍼治療の鎮痛効果を仲介すること、およびアデノシンが減らないようにしてやることで鍼治療の効き目を延長できる可能性があることが示されました。

まとめ

今回は、鍼を刺した場所への効果(局所効果)についてでした。
ただし、鍼灸治療の効果・効能は、施術した局所だけのものではありません。
「足に鍼をすると胃の動きが良くなる」「腕に鍼をすると目がすっきりする」などはこの例です。
これらにはもっと別の仕組みがあります。
主なものは「局所だけで起こる仕組み」「脊髄反射でおこる仕組み」「脳髄の自律神経の働きで起こる仕組み」「脳内の鎮痛作用(快楽作用)で起こる仕組み」などが考えられます。

現在進行形ですが、
「現代風の鍼灸の仕組み」が明らかになるのはとても興味深いです。

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