抗がん剤の副作用(気持ち悪いなど)のびわ温灸症例

乳がん肺転移に伴う諸症状へのびわ温灸治療

乳がんの肺転移|鎌ヶ谷市(新鎌ヶ谷)の鍼灸院

近年、がん治療は目覚ましい進歩を遂げていますが、化学療法(抗がん剤治療)に伴う副作用は、患者様のQOL(生活の質)を著しく低下させる要因の一つです。
吐き気、倦怠感、疼痛など、その症状は多岐にわたり、治療の継続を困難にする場合もあります。

このような状況において、西洋医学的治療と並行し、東洋医学的なアプローチが注目を集めています。

とくに、自然の恵みであるびわの葉を用いた温灸療法は、身体を温め、気の巡りを整えることで、副作用の軽減や体調の維持に効果を発揮する可能性があります。

今回は、乳がんの肺転移に対し抗がん剤治療を受けている患者様に対し、3年間にわたりびわ温灸を中心とした施術を継続した症例を報告します

この症例を通して、びわ温灸が患者様の生活をどのように支え、QOLの向上に貢献し得るのかを考察し、当院の治療に対する考え方をご紹介したいと思います。

患者さまについて

年齢・性別:
40代女性。

鍼灸院に来るまでの経緯:
3年前に乳がんの診断を受け、部分切除手術と放射線治療、ホルモン療法を経て経過観察をしておりました。

しかし、4ヶ月前に肺への転移が判明し、3ヶ月前から抗がん剤治療を開始します。
抗がん剤治療に伴い、吐き気、動悸、肩甲骨付近の疼痛などの副作用に悩まされていました。

これらの症状を緩和し、今後の体調管理も含めたサポートを求めて、当院へ来院されました。
患者様は、仕事、育児、家事など、日常生活を精力的に送りたいという強い希望をお持ちでした。

東洋医学的考察

東洋医学では、病気は身体全体のバランスの乱れによって引き起こされると考えます。

とくに、がんのような慢性疾患は、気・血・水(生命エネルギー、血液、体液)の巡りの滞りや、五臓(肝・心・脾・肺・腎)の機能低下と深く関わっていると捉えます。

この患者様の場合、抗がん剤の副作用は、とくに肝・腎・脾の機能低下と関連が深いと考えました。
肝は解毒作用を担い、抗がん剤の代謝に負担がかかります。
腎は生命力の源であり、抗がん剤による消耗の影響を受けやすいです。
脾は消化吸収を司り、吐き気や食欲不振といった症状と関連します。

また、肺は呼吸を司り、肺転移の影響を受けています。
乳房と肺を通る経絡(気の通り道)である大腸経、肺経、胃経のバランスも考慮する必要がありました。

これらの東洋医学的な視点から、全身のバランスを整え、自然治癒力を高めることを目的とした治療方針を立てました。

治療方針

患者様のご希望であるびわ温灸を中心に、全身の気の巡りを改善し、五臓の機能を高めることを目的としました。

とくに、肝・腎・脾の機能を強化し、抗がん剤の副作用軽減を目指しました。

また、肺と乳房に関連する経絡を意識し、気の流れをスムーズにすることで、呼吸器系の症状緩和も図りました。

治療は、患者様の体調や症状の変化に合わせて、使用するツボや施術方法を調整する個別対応を基本としました。

治療経過

1回目:
初診時、患者様は吐き気、動悸、肩甲骨付近の疼痛を訴えていました。
仰向けで、「湧泉」「三陰交」「足三里」「臍周辺」「中脘」「合谷」「曲池」「尺沢」「内関」などのツボにびわ温灸を行いました。
うつ伏せで、背部には、背部兪穴と疼痛部位に施術を行いました。

その後、週に1回のペースで同様の施術を4回行いました。
すると、右肩甲骨付近の痛みが軽減してきたと実感されるようになりました。

その後は、10日から2週間に1回のペースで施術を継続しました。

抗がん剤治療の継続に伴い、倦怠感や動悸などが波のように出現しましたが、その都度、患者様の状態を丁寧に伺い、症状に合わせたツボを選定し、施術を行いました。

足指のしびれや鼻血などの症状も出現しましたが、同様に個別対応を行いました。

びわ温灸開始から9ヶ月後、抗がん剤治療は一旦終了し、ホルモン療法に切り替わりました。
その後も、体調管理のためにびわ温灸(カッピングも併用)を継続することとなりました。

ホルモン療法への切り替え後も、PET検査の結果に合わせて施術内容を調整し、脾の働き強化をメインに施術を継続しました。

その後、マーカー値の悪化に伴い、再び抗がん剤治療が開始されましたが、びわ温灸は継続して行われました。

現在、びわ温灸を開始してから3年が経過しましたが、患者様はがんにまつわる自覚症状はなく、仕事、育児、家事など、以前と変わらず精力的に生活を送られています。

今後も、病気の悪化予防や健康増進のために、びわ温灸を活用したいと仰っていただいております。

使用した主なツボとその代表的な効果

湧泉(ゆうせん):
足の裏にあるツボで、腎の機能を高め、全身の活力を向上させる効果があります。

三陰交(さんいんこう):
内くるぶしの上にあるツボで、肝・脾・腎の機能を調整し、婦人科系の症状にも効果があります。

足三里(あしさんり):
膝の下にあるツボで、胃腸の働きを整え、全身の免疫力を高める効果があります。

合谷(ごうこく):
手の甲にあるツボで、全身の気の巡りを改善し、痛みを緩和する効果があります。

曲池(きょくち):
肘にあるツボで、解毒作用を高め、皮膚疾患などにも効果があります。

内関(ないかん):
手首にあるツボで、吐き気や動悸を鎮める効果があります。

背部兪穴(はいぶゆけつ):
背中にあるツボで、各臓腑と対応しており、臓腑の機能を調整する効果があります。

まとめ

本症例は、びわ温灸ががんそのものを治癒する効果を示すものではありません。
しかし、抗がん剤治療に伴う様々な副作用を緩和し、患者様のQOLを維持・向上させる可能性を示唆しています

3年間にわたる継続治療を通して、患者様は日常生活を精力的に送ることができています。
これは、びわ温灸が単なる症状緩和だけでなく、患者様の生活全体を支える力を持っていることの証と言えるでしょう。

当院では、西洋医学的治療と東洋医学的治療を統合的に捉え、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療を提供することを心掛けています。

病気と闘う患者様が、より快適に、より自分らしく生きられるよう、今後も誠心誠意、施術に取り組んでまいります。
当院のびわ温灸にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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