「年のせい」と諦めていた腰痛への鍼灸症例
加齢性腰痛への鍼灸治療
「年のせいだから仕方ない」「立ち仕事だから腰が痛くて当たり前」。
そう諦めていませんか?
当院には、病院で「年のせい」と言われた腰痛や、長年の仕事による身体の不調を抱え、諦めかけていた多くの方が来院されます。
今回ご紹介する症例は、まさにそうした悩みを抱えていた50代の患者さまの症例です。
長年の腰痛に加え、手首の痛み、不眠、強い疲労感に悩まされていた彼女が、当院の鍼灸治療を通して心身ともに健康を取り戻していく過程を、詳しくご紹介いたします。
これをお読みの方で長年のお悩みをお持ちの方に、鍼灸治療という選択肢を知っていただき、希望を持っていただきたいと願っています。
患者さまについて
年齢・性別:
50代女性
鍼灸院に来るまでの経緯:
主な訴えは、右腰から足にかけての重い痛みでした。
その痛みは4~5年前から徐々に現れ始め、昨年は整骨院やマッサージに通っていたものの、一時的な改善しか見られませんでした。
最近では痛みが悪化し、歩行時にも痛みを感じるようになり、気分も落ち込んでいました。
病院では「年齢によるものと、立ち仕事が原因」と診断され、根本的な解決策は見出せずにいました。
腰痛以外にも、中途覚醒型の不眠と強い疲労感、そして右手首の運動痛も抱えていました。
お話をお伺いする中で、彼女は非常に真面目で何事にも一生懸命に取り組む性格であることが分かりました。
立ち仕事に加え、お孫さんの面倒も見るなど、多忙な日々を送る中で心身ともに疲弊している様子が伺えました。
東洋医学的考察
東洋医学では、身体の不調は単なる局所の問題として捉えるのではなく、全身のバランスの崩れとして捉えます。
今回の患者さまの場合、長年の腰痛は「気血不足」と「血流の滞り」が原因であると考えました。
「気」は生命エネルギーであり、「血」は西洋医学で言う血液や体を養う物質でありと、体を構成する重要な要素です。
この「気血不足」とは、体に必要な栄養やエネルギーが不足している状態を指し、鈍い痛みや疲労感、不眠などを引き起こします。
とくに東洋医学では、栄養不足が慢性的な痛みを引き起こすと考えられています。
また、「血流の滞り」は、痛みのある部位への栄養供給を妨げ、痛みを増強させる要因となります。
さらに、患者さまの「頑張り屋さん」な性格が、精神的な疲労を蓄積させ、それが身体の不調に影響を与えていると考えました。
精神的なストレスは「気」の流れを滞らせ、身体の様々な機能に悪影響を及ぼします。
治療方針
上記の東洋医学的な考察に基づき、以下の治療方針を立てました。
気血の補充と血流の促進:
体のエネルギーを高め、血行を促進するツボを選定し、身体の内側から痛みを改善することを目指します。
精神的なリラックスの促進:
「頑張り屋さん」な性格からくる精神的な疲労に対応するため、心身のリラックスを促すツボを併用します。
局所の治療:
腰の痛みと手首の痛みに対して、直接的なアプローチを行います。
これらの治療方針に基づき、鍼灸治療と温灸を組み合わせて行うことにしました。
治療経過
1回目:
仰向けで、 「中脘」「関元」に棒温灸をしました。「足三里」「曲池」「太谿」に置鍼をしました。
うつ伏せで、「肩コリの局所」に軽く響かせる鍼をし、「心兪~肝兪間の虚反応穴」に浅めの置鍼、「腰のコリ痛みの部位」に鍼+お灸+円皮鍼を行いました。
2回目(1週間後):
治療後、少し眠気を感じたとのこと。
腰の痛みは若干改善していました。前回と同様の治療を行いました。
3~5回目(1週間に1回ペース):
仕事が忙しい時など、負荷がかかると腰や手首の痛みは出るものの、以前のようにひどくなることはなくなりました。
動悸やめまいなどの症状もありません。
現在:
良い状態を維持し、さらに改善するため、1~2週間に1回のペースで継続通院中です。
治療を通して、患者さまは「身体がついてこない」ことへの不満や不快感が軽減し、鍼灸治療の効果を実感していただけるようになりました。
とくに、体の疲れだけでなく、気持ちの面にも寄り添うことで、肉体的なツラさが軽減していくことを実感していただいています。
使用した主なツボとその代表的な効果
中脘(ちゅうかん):
胃腸の働きを整え、消化吸収を高める効果があります。
全身の栄養状態を改善し、気血を補充する上で重要なツボです。
関元(かんげん):
丹田(おへその下)に位置し、生命エネルギーの源となるツボです。
全身の活力を高め、冷えの改善にも効果があります。
足三里(あしさんり):
胃腸の働きを整え、消化不良や便秘、下痢などに効果があります。
また、全身の疲労回復にも効果があります。
曲池(きょくち):
血行促進作用があり、肩こりや首のこり、手首の痛みなどに効果があります。
太谿(たいけい):
腎の機能を高め、体の水分代謝を整える効果があります。
また、足腰の冷えや痛み、不眠などにも効果があります。
心兪(しんゆ)・肝兪(かんゆ):
背部にあるツボで、それぞれ心と肝の働きを調整します。
精神的なストレスを和らげ、リラックス効果を高めます。
これらのツボを患者さまの状態に合わせて適切に組み合わせることで、最大限の効果を引き出すように努めています。
まとめ
今回の症例を通して、鍼灸治療が長年の腰痛や身体の不調、そして精神的な疲労にも効果を発揮することがお分かりいただけたかと思います。
「年のせい」と諦めていた症状が改善していくことで、患者さまは鍼灸の価値を実感し、前向きな気持ちを取り戻されました。
当院では、単に症状を和らげるだけでなく、患者さま一人ひとりの心身の状態に寄り添い、根本的な改善を目指した治療を行っています。
「どこに行っても良くならない」「もう諦めている」という方も、ぜひ一度当院にご相談ください。
長年のお悩みを解消し、より豊かな生活を送るためのお手伝いをさせていただきます。
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