生理不順
生理不順とは
月経周期は、個人により多少の差はありますが、約1ヶ月のサイクルで回っています。
一般的に正常な月経とは、周期が25〜38日、周期の変動が6日以内、持続が3〜7日とのこと。
生理不順とは、生理周期が一定でない、経血量が極端に多いまたは少ない、生理が何カ月も来ないなどの異常がある状態を指します。
西洋医学では、以下のような原因が考えられます。
ホルモンバランスの乱れ
生理は脳の視床下部－下垂体－卵巣系（HPO軸）によってコントロールされています。
このホルモンのバランスが乱れると、正常な排卵や生理が起こりにくくなります。
ホルモンバランスが乱れる原因には「ストレス」「過度なダイエット」「肥満」などがあります。
強いストレスがかかると、視床下部の働きが乱れ、排卵がスムーズに行われなくなります。
過度なダイエットや栄養不足では、脳が「今は妊娠に適さない」と判断し、生理が止まることがあります。
脂肪組織はエストロゲン（女性ホルモン）を分泌するため、過剰な体脂肪はホルモンバランスを乱す原因になります。
多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）
排卵障害を引き起こす代表的な疾患で、卵巣に多数の小さな卵胞が溜まり、排卵しにくくなる病気です。
男性ホルモン（アンドロゲン）の増加も関与しており、生理不順や無排卵の原因になります。
甲状腺の異常
甲状腺ホルモンは、代謝や生殖機能にも影響を与えます。
■甲状腺機能低下症（橋本病など）
ホルモン分泌が減ると生理周期が長くなり、月経過多になることがあります。
■甲状腺機能亢進症（バセドウ病など）
ホルモンが過剰になると生理周期が短くなるか、生理が止まることがあります。
高プロラクチン血症
プロラクチンは本来、授乳期に分泌されるホルモンですが、ストレスや脳の病気（下垂体腫瘍など）によって異常に増えると、排卵が抑制され、生理不順の原因になります。
早発卵巣不全（POI）
40歳未満で卵巣の機能が低下し、生理が止まる病気です。
更年期と同じような症状（ほてり、発汗、不眠など）を伴うことがあります。
子宮や卵巣の病気
■子宮筋腫
子宮にできる良性の腫瘍で、月経過多や不正出血を引き起こします。
■子宮内膜症
子宮内膜に似た組織が子宮外に増殖し、強い生理痛や不正出血を引き起こします。
■卵巣嚢腫
卵巣に嚢胞ができ、生理周期の乱れや排卵障害を起こすことがあります。
生理不順を放置するとダメな理由
不妊症のリスク
生理不順の多くは排卵障害と関連しています。
排卵がスムーズに行われないと、自然妊娠が難しくなります。
とくにPCOSや高プロラクチン血症は、不妊の主な原因となるため、早めの治療が必要です。
子宮や卵巣の病気が進行する可能性
生理不順の背景には、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫などの病気が隠れていることがあります。
これらの病気は放置すると悪化し、不妊症や手術が必要になるケースもあります。
生活の質（QOL）の低下
生理不順によるホルモンバランスの乱れは、以下のような症状を引き起こすことがあります。
■肌荒れ・抜け毛
女性ホルモンの減少により、肌や髪の健康が損なわれることがあります。
■情緒不安定・うつ症状
ホルモンバランスの乱れは、イライラや気分の落ち込みを引き起こし、精神的なストレスが増えます。
■強い生理痛や経血異常
生理不順が続くと、次の生理時に大量の経血が出たり、強い痛みを伴ったりすることがあります。
更年期障害のリスクが高まる
ホルモンバランスが乱れたまま放置すると、更年期に入る前から更年期症状（ほてり、動悸、疲労感など）が出やすくなる可能性があります。
骨粗しょう症や生活習慣病のリスク増加
エストロゲン（女性ホルモン）は骨の健康を保つ働きをしています。
生理不順が続き、エストロゲンが不足すると、骨密度が低下し、将来的に骨粗しょう症のリスクが高まります。
また、ホルモンの影響で糖尿病や高血圧のリスクも増加する可能性があります。
以上、生理不順は、単なる体質や一時的なストレスの影響だけでなく、ホルモン異常や婦人科系疾患のサインであることが多いため、放置せずに対処することが大切です。
とくに、生理が3カ月以上来ない、周期が極端に不規則、経血量が多すぎる・少なすぎる、生理痛がひどいといった場合は、婦人科を受診することをおすすめします。
まずは婦人科の病院で検査などを受けることをお勧めいたします。
その結果、病院(西洋医学)でできることがあればそれをしつつ、同時並行で鍼灸(東洋医学)を受けられることをお勧めいたします。
東洋医学の強み｜自然治癒力を引き出す施術
西洋医学は、「症状を抑えること」が得意です。
例えば、頭痛なら痛み止め、炎症なら抗生剤といった具合に対処します。
一方、東洋医学は「症状の原因となる体質」に着目し、体全体のバランスを整える「体質改善」を目指します。
頭痛ひとつとっても、血流の滞り・冷え・ストレスなど原因はさまざま。
鍼灸は、その人に合ったツボを刺激し、本来の治る力を引き出します。
不調の原因は目に見える症状だけではなく、体の内側のバランスの乱れにあります。
例えるなら、私たちの体は、大河を流れる水のようなもの。
血液や気（エネルギー）が滞りなく巡ることで、健康という豊かな流れが保たれます。
しかし、ストレスや不規則な生活習慣によって、川のどこかに泥や石が溜まり、水の流れが悪くなってしまうことがあります。
それが体の不調として現れるのです。
鍼灸は、川の流れを整える水路の管理人のようなもの。
滞った部分を取り除き、スムーズな流れを取り戻すことで、体全体が元気に機能するように導きます。
東洋医学は、2千年の経験値を持つ体質改善の医学です。
鍼灸では「脈・舌・お腹」を診て、気・血・水の流れを察し、ツボ（経穴）に刺激を与えることで、全身の調和を取り戻します。
生理不順と鍼灸
生理不順は、
東洋医学では「エネルギー不足（体や心の疲れ）」「ストレス（気づまり）」「血液のめぐりの悪さ」の3つが関係して起こるとされています。
月経が早まる人
●エネルギーが足りない人
月経の量が多く、経血の色が薄い、気力がなくすぐ疲れてしまうタイプ。
●めぐりが悪い人
月経の量が多く色は紫色で粘っている、口が渇いていつもソワソワしているように感じる。
便秘がちな人はこちらのタイプ。熱を冷ますことによって対応します。
月経が遅れる人
●血が足りない人
体がいつも虚弱であって食欲がなかったりして食べないため栄養が補給できない事があり血が足りないタイプ。
●体が冷えている人
寒がりでむくみやすいタイプ。
●ストレスがたまっている人
ストレスがたまっていて気が滞っているタイプ。
月経が不定期な人
●ストレスがたまっている人
ストレスによって月経が不定期になるタイプ。
●精力が足らない人
生理をおこすパワーが少ないタイプ。
以上のように、生理不順には気血水の異常状態が原因であるとみます。
専門用語的には、
「気虚（ききょ：気が不足した状態）」や「気鬱・気滞（きうつ・きたい：気の流れが障害された状態）」、「気逆（きぎゃく：気の流れが逆行した状態）」「瘀血（おけつ）」「腎虚（じんきょ）」などと言います。
これらの原因に効果あるツボを多く用いて、体質改善を図っていきます。
鍼灸は、良い体質になることで生理周期を整えることが目的です。
体質改善こそが一番の根本かつ近道です。
生理不順鍼灸のよくある質問と回答
Q: 生理不順って本当に鍼灸で治りますか？
A: はい、「あなたの生理不順が“絶対”に治ります」と確定的なことは申し上げられませんが、鍼灸院では多くの患者さんが生理不順の症状改善に成功しています。
西洋医学だけでなく東洋医学(鍼灸)との併用が効果的です。
Q: どのくらいの期間続ける必要がありますか？
A: 症状の程度によりますが、通常は数週間から数ヶ月の継続的な治療が必要です。
Q: 鍼灸が生理不順改善にどのように役立つのですか？
A: 鍼灸施術は自律神経の調整とストレス軽減に効果的で、婦人科系の機能を改善するのに役立ちます。
Q: 施術後にどのような効果や変化が期待できますか？
A: 施術後、多くの患者さんが生理痛の軽減や周期の安定、不快な症状の減少を報告しています。
Q: 生理不順以外にも鍼灸で治療できる症状はありますか？
A: はい、不妊治療、自律神経失調症、肩腰のコリ、ストレスなど多くの症状に対応しています。
Q: 施術の頻度はどのくらいですか？
A: 施術の頻度は個別の状態によりますが、通常は週に1回が一般的です。
Q: 鍼やお灸は痛いですか？
A: いいえ、極力痛みを感じないよう心地よく施術します。鍼は痛くなく、お灸は心地よい温熱感が特徴です。
Q: どのように予約を取れますか？
A: 予約は電話またはウェブサイトから取ることができます。
完全予約制で待ち時間はありません。
Q: 鍼灸治療中に他の治療を受けても大丈夫ですか？
A: 他の治療との併用は個別の状況によります。鍼灸師と相談してください。
Q: 鍼灸の安全性はどうですか？
A: 鍼灸は安全で、国家資格を持つ専門家によって提供されます。感染症のリスクはほとんどありません。
Q: 鍼灸治療の副作用はありますか？
A: 通常、副作用はほとんどありません。治療後に軽い疲労感があることがあります。
Q: 鍼灸治療は保険が効きますか？
A: 申し訳ございません。当院の鍼灸施術は実費となります。
Q: どのようにして鍼灸の効果を最大限に引き出すことができますか？
A: 鍼灸治療の成功には生活習慣や食事の改善が重要です。鍼灸師がアドバイスします。
Q: 鍼灸治療は病院の治療と併用できますか？
A: はい、鍼灸治療は病院の治療と併用できます。病院で出来ることは積極的になさってください。
Q: 鍼灸治療の効果を感じるまでに時間がかかりますか？
A: 効果を感じるまでには個人差がありますが、通常は数回の治療後に改善を実感できることがあります。
